6/29乗務員勤務制度提案解明交渉@
乗務員を使い捨てにするな!
乗務員勤務制度改悪粉砕へ全力で闘おう
「乗務員に戻りたい助役」の気持ちは汲むが、高齢者対策は無視!?
6月29日、動労総連合申9号、申10号に基づき、「乗務員勤務制度の見直し」提案の解明交渉を行った。今回の乗務員勤務制度改悪は、乗務員の極限的な労働強化と人員削減、乗務員そのものの解体へ行き着く重大な攻撃だ。
そして、乗務員への攻撃を通じて、分社化・転籍強制、ローカル線切り捨てなどあらゆる攻撃を一挙に推し進める「第3の分割・民営化」攻撃の本丸ともいうべきものだ。この攻撃を許すことは絶対にできない。
われわれは、会社の狙いを明らかにするとともに、提案の不当性を徹底的に追及した。
団体交渉の概要は以下の通り。
賃金関係提案・団体交渉開催
組合 会社は、5月18日に賃金関係を別途提示するとしながら未だに提案していない。また、申し入れから1ヶ月以上団体交渉が開催されてこなかった。
会社 乗務員勤務制度の見直し提案を行い、賃金部分については別途提案とした。成案となったので、7月3日に提案する。
人口・社員数減少と施策との関係
組合 多様な働き方と乗務効率の向上がなぜ必要なのか。
会社 現在の乗務員勤務は92年に策定され26年間運用されている。その間、日本の人口減少に伴う社会・経済構造の変化が急速に進んでいる。一人ひとりの社員の能力をさらに発揮していただきたい。社員のライフスタイルの充実と働きがいのさらなる創出を目指して、より柔軟でダイバーシティという概念に沿った働き方という観点から、多様性と効率性の両立が必要。
組合 人口減少とどうつながるのか。
会社 JR東日本という会社を運営するにあたって、社員も減る、人口も減る。仕事のやり方も、少しずつは見直し、効率性の追求を行わなければならない。「働き方改革」法案は本日成立したが、そういった観点から女性が働きやすい環境にしていかなければならない。
組合 社員数が減っているのは会社の施策だ。
会社 人口が減れば、定期収入が減る。同じだけ社員を抱えれば、人件費は固定費なので、経営にとって危ない。収入を得なければ赤字になるので、社員数と人件費との兼ね合いで採用を行っている。子育てや介護している世代に向けて今回の改正を打ち出している。
組合 採用数はどうなっているのか。
会社 生産年齢人口の減少に比例して採用数を減らしているわけではない。いびつな年齢構成もあり、退職者も多いので、採用数は維持してきた。
組合 今後も採用数は維持していくのか。
会社 2019年度は昨年と同数(1700名程度)。その先は、社会状況に応じて変化もある。輸送サービススタッフという形で出しているが、仕事の形も変わってくる。業務運営に必要な要員を確保するために採用し続ける考えは同じ。
「多様な働き方」について
組合 乗務員勤務制度については、これまで本線乗務しなかった人たちを乗せることによって多様な働き方ということか。
会社 提案資料の「多様な働き方の実現」にある全体だ(育児介護勤務者の行路選択制、勤務制限緩和、指導担当・支社課員・当務主務の本線乗務)。
組合 一人が多様な仕事をやるのか、一つの仕事を色んな人がやるのか。
会社 一つは育児・介護の方々。固定化するのではなく、希望すれば長い勤務もできるという新しい働き方。今日は駅の窓口、次は車両センターという考えではない。
組合 むしろ指導員、当務主務、支社課員に、乗務させることではないのか。
会社 全体が多様な働き方。指導担当には定期行路に乗ってもらい技量の維持や発見を指導に活かすことを目的にやる。
乗務員の将来像と乗務員勤務制度見直しについて
組合 社長の就任挨拶などを見ると、業務のあり方や組織のあり方を変えていくとある。今後の業務量をどう考えているのか。
会社 基本的に機械化できる仕事は機械化、システム化する。現行だと、自動運転はできないので、運転士は必ず必要。ワンマン化できないところでは車掌が必要。順次、技術が発展していく。
組合 将来的に輸送サービスに従事する社員は、今までの役割分担を超えるとある。
会社 業務の機械化、システム化、技術革新で鉄道のスタイルそのものも変わる。自動運転になった場合、運転士や車掌という仕事がなくなることもあり得る。その場合、枠組みを超えて車内で人ならではの仕事をやってもらう。
組合 サービススタッフ、グリーンスタッフと呼ばれるような仕事か。
会社 営業職とかの壁を取っ払って、ときには切符を売る、ときには運転士、ときには指令業務もできればいい。総体的な枠組みをイメージしている。確定したものではなく、会社としてそういう方向に向かうという意思表示。
組合 自動運転になった場合、資格の関係はどうなるのか。
会社 関係省庁との法律的な調整は今後発生してくる。ワンマン運転も、自動運転で列車は走るが、案内や列車防護要員が必要となれば、車掌だけというのも今後ありうる。輸送サービスに関わる社員全体を含めて輸送サービススタッフ。携わり方が変わる。一律ではなく、地域性やお客様の状況によって変わる。
組合 それと今回の提案はどうつながるのか。
会社 提案資料に輸送サービススタッフは、将来のビジョンとして掲げた。将来、ゆりかもめのように乗務員がいなくなれば、勤務制度もなくなる。未来の話ではなく、今の環境に合わせた働き方の提案。
組合 女性社員が増えていることへの対応は必要。しかし、輸送サービススタッフまでいくと話は別問題だ。
会社 会社も変わらなければならない。どう鉄道分野を残すか。または鉄道分野はここまでにして、別の成長分野に力を注ぐか。どう会社を存続していくのかを考えなければいけない。会社が向かう方向を示して、社員一人ひとりに、会社がどう進むべきか考えてもらう。
組合 輸送サービススタッフとして一括りにしたら、安全の維持や技術継承などできなくなる。専門的な人が安心して働き続けられる職場を確保するべき。
指導担当、支社課員、当務主務の本線乗務の位置づけ組合 支社課員や指導員に本線乗務させる必要性はなにか。 会社 指導業務だけに特化してしまうと、凝り固まってしまうこともある。本線乗務していれば危ないところも新型車両の特性もわかる。 組合 専門に業務していた仕事の壁を突破することが目的か。育介の短時間行路を実現するための要員確保なのか。 会社 要員確保という位置づけではない。多様な働き方という意味では両方。育介の人は働き方が固定化されているから、幅を広げたい。支社の人も第一線で働く感覚を持ちつつ、支社の企画部門で働いてもらいたい。新しく作る当務主務には助役の適性がある。だが、運転士や車掌に戻りたい人もいる。自分がダメだと思えば戻れる。内勤、指令、当直とじっくり養成するのが難しい状況。乗務しながらでも当務主務で当直を経験できるのは有利。
なぜ高齢者対策が無視されたのか
組合 高齢者やエルダー本体雇用で、行路を軽減してほしいと思う人はたくさんいる。その対策が含まれていないのはなぜか。
会社 エルダーの方でも育児介護を申請すればそうなる。
組合 体がきつくてギリギリの人、倒れてしまった人もいる。高齢者対策は最優先の問題だ。まったく無視されている。
会社 今回のこととエルダーのことは全く別物。エルダーについては何回も個人の意見を聞いた。本線エルダーの希望は多い。希望していないのに本線エルダーにさせられたという人がいるのか。
組合 今のエルダー制度がそういう条件だからだ。エルダーに行く前から改善を要求している。助役が現場に戻りたい気持ちは汲むが、エルダーや高齢者については一顧だにしないのか。
会社 今回の提案には入っていない。
駅業務委託と乗務員養成、今後の採用のあり方
組合 会社は駅業務の委託を進めているが、駅への配属はきちんとできるのか。
会社 現在のところ、乗務員予定で入った人は、駅から車掌、運転士という今まで通りの対応。会社も課題だと思っている。今の採用形態をいつまで維持できるか。今後議論は必要という認識。
組合 地方では自分の支社で駅員を養成できない状況だ。
会社 採用は地方の方が苦しい。各支社での対応がどこまで続けられるかは議論が必要。運転関係は、優秀な人でも運適医適を通らないと採用できない。
組合 会社は採用が厳しいといいながら、外注化を進めている。JRでも厳しいのにグループ会社で人が集まるのか。
会社 乗務員は資格が必要なので別。
組合 運転関係でいうと構内業務は必要。駅の場合、輸送職の委託は考えていないのか。
会社 将来的にはあるかもしれないが、現段階では輸送は本体という考え。
組合 会社としても採用、ライフサイクルの関係を課題として考えているということは確認した。
食事時間帯の拡大について
会社 効率性を確保しつつ、食事時間を確保する。現行の稠密線区の朝食時間は30分以上が標準。7時から10時は列車が多い。6時からにすれば35分までは作れる。
組合 それは到着してから次に乗るまでの時間。現場では移動、準備、トイレの時間もある。35分でも少ない。
会社の認識が現場の実態と違うことは指摘しておく。
【その2へ続く】 |