幕張車両センター労災死亡事故で首都圏本部団交(8/20)

9604

JRが多重下請けを許可―全責任は JR・CTSにある! 外注化を撤回しろ!

8月20日、動労千葉は幕張車両センターで発生した労災死亡事故について首都圏本部との団体交渉を実施した。交渉の中でJRが「第三者委託承認」という形で多重下請けを容認してきたことが明らかになった。その中で死亡事故が引き起こされた。完全にJRの責任だ! 「グループ会社一体で効率的な業務執行体制」といって進めてきた外注化が死亡事故に行き着いたのだ。すべての外注化をただちに撤回しろ!

いまだに「原因不明」?

組合
約2ヶ月経っているが、「原因不明」と回答されている。

会社
因果関係はまだ不明だ。

組合
他に死亡災害などはあるのか。

会社
小山新幹線車両センターでも6月8日に発生した。業務は車内清掃。当該はJR東日本テクノハートの労働者だ。

組合
熱中症が疑われるのか。

会社
詳しくは話せないが疑いはある。

組合
「不明」で終わらせていいことではない。改めてしっかり調査し、公表すべきだ。

あまりにずさんな熱中症対策

組合
当日の対応について、首都圏本部としてどう考えているのか。

会社
作業責任者は「顔が赤い」と異変を感じ取っている。不在にもすぐ気がついて、探しに行っている。管理監督として大きな問題はなかったと考えている。

組合
倒れて休んでいる時に付き添ってない時点で全然ダメ。それで「良かった」と言うべきでない。休憩所に移動する時も、当該がいないのに移動している。熱中症であれば休憩中に目を離すなというのは鉄則。問題にならないくらいずさんだ。

会社
結果的に亡くなっていることを考えれば、同じ事象を起こさないためにどうすべきかという認識はある。

無責任な外注化の結果

組合
タイミーの人が2人いた。車両センター構内というのは普通の人は入れない。当日来た人が、車両に触れる作業についている。本人の体調管理という問題もあるが、車両の安全、鉄道運行の安全という意味でも相当問題がある。どう考えているのか。

会社
コンディショングリーンへの委託は知り得なかった。これから検討はする。

組合
今回、道具の用意も安全教育もCTSが行っている。秩父商会やコンディショングリーンは、頭数を揃えてその現場に来てもらう以上のものではない。結局、労働力を提供しているだけ。偽装請負ではないのか。

会社
道具をどこが用意するかは、契約上の問題だ。

組合
熱中症対策についても、CTSでは4月ぐらいから散々言われ、勉強会もある。徐々に暑さに体も慣らして、やっと乗り切っている。だけど、スキマバイトで初めて来た人が今回倒れて亡くなった。極めて無責任に外注化が行われた結果だ。

会社
秩父商会から先の委託は知らなかった。

JRが「第三者委託」を承認

組合
今回の外板清掃は、幕張でどのくらいやっているのか。

会社
25年度の契約数は369両。24年度は221両。23年度は320両。23年度の実績は303両だった。作業の記録は編成単位ではなく各車両単位で行っている。

組合
委託する業務量がかなり増えている。

会社
CTSから「増やして大丈夫」「増やしてほしい」と要請があり、業務量を増やした。

組合
仕事はさらに秩父商会に委託された。

会社
秩父商会までは第三者委託承認の手続きをやっているので知っている。毎年の契約更新時、まずCTSと契約して、その後にCTSから「秩父商会に委託してよいか」と承認願いが来て、それを首都圏本部として承認している。

組合
いつから承認しているのか。

会社
京葉では2016年から。幕張は22年11月8日から。

組合
申請があれば認めるのか。

会社
清掃に関してCTSと遜色ない技術力を持っているということで承認した。

組合
しかし、秩父商会ではできず、コンディショングリーンに委託していた。

会社
そこまでは知り得なかった。

組合
死亡事故が起こって明らかになった。現在の見解を聞きたい。

会社
今後、検討する。

組合
安全教育はCTSがやっている。秩父商会自身だって、構内の危険が伴う現場で、独立して業務を遂行できるような会社ではない。熱中症対策についても極めて不十分。秩父商会への外注化自身が非常に問題がある。JRが第三者委託を承認したこと自体が間違っていたとはっきりさせないと、もう一度同じことが起こる。

会社
外板清掃の技術力については遜色ない。京葉で実績があり、清掃の出来栄えも確認した上で判断したことだ。

組合
秩父商会は独自で要員確保さえできていなかった。

会社
そこは知らなかった。

外注化をただちに撤回すべき

組合
動労千葉は鉄道業務の外注化に反対してきた。JRが鉄道運行に関わるすべてに責任を持つべきだと一貫して主張している。清掃業務も当然必須。外注化されたことで起きた事故だ。JRが直営で責任を持つべきだ。今回、1人の労働者の方が亡くなった。外注化をすべて撤回すべきだ。

会社
外注化についての主張は分かった。引き続き、グループ会社と一体となって、効率的な業務執行体制を構築していく考えである。

組合
「命や安全より効率優先」としか聞こえない。「効率的な業務運営」といってきたことが、極めて重大な事態に行き着いた。深刻に受け止め、厳しく振り返るべきだ。

会社
われわれも深刻に受け止めている。命に関わる事象。今後起きないようにどうするべきなのか考えていきたい。

組合
そうであれば、「今後も効率的な業務運営を構築」では片付けられない。再発防止には踏み込んだ検証が必要だ。秩父商会が委託にたる企業なのかということは、第三者委託承認をしたJRの責任だ。死亡事故はほとんど外注先の労働者。外注化に問題がある。

(以上)

タイトルとURLをコピーしました