融合と連携に合わせた人事・賃金制度
組合
都市手当、扶養手当、職務手当、技術手当、特殊勤務手当を廃止する理由を明らかにすること。
会社(文書回答)
組織の見直しを基盤として社員の成長をグループ成長の原動力としていく成長の好循環を通じて新グループ経営ビジョンを達成し、JR東日本グループが持続的に成長する志の強い企業グループとなるため、人事・賃金制度等を抜本的に見直すこととした。
組合
なぜ、「国鉄由来の・・・」にこだわって今回のような手当廃止になったのか。
会社
乗務員などを含め各職種で働いている中で融合と連携を担うことになるが、それに合わせた賃金体系にしなければならない。国鉄由来の賃金体系だと、これからの働き方に合っていないことから新しい制度に見直すこととした。今後、さらに融合と連携を深めることになり、業務的には深度化すると考えている。
組合
会社は、これまでの手当を廃止する一方、「業務手当」を新設し、「鉄道オペレーション」で「①勤務の特性」として「作業ダイヤにより勤務する社員」には「5000円」、定例的に深夜に勤務する社員」に「10000円」、「②運転取扱業務」に従事する者に「10000円」を支払うとしているが、このようにした理由は何か。
会社
今後、社員が担う役割はさらに多様化していくことを前提にして、業務手当を新設する。
組合
作業ダイヤと深夜帯で勤務する者に分けた理由は何か。
会社
鉄道オペレーションの場合、深夜帯業務があり、負担が大きいということもあり考慮し、作業ダイヤにより勤務する者は5000円。深夜帯に勤務する場合は10000円とした。
②の運転取扱業務については、運転適性検査を持っている者が対象となる。運適を持っている場合、鉄道にとっては安全を担うなどかなり重要であることから10000円とした。
組合
「定例的に深夜帯に勤務する社員」の「定例的」とはどの程度をさすのか。
会社
これまでの「専ら(もっぱら)」という考え方を廃止したいと考えた。深夜帯に泊まれる状況があり、実際に泊まることになれば10000円を支払うことになる。
組合
「専ら」は専門的に行っている場合、「定例的」は数回でも入っいいれば対象になるという意味合いで良いか。
会社
そのように理解してもらえば良い。
「経過措置」5年間は賃金が上がらず
組合
新人事・賃金制度に移行する場合、これまでと比較して賃金が減額になる場合に「経過措置」が行われるが、現行100%として、来年4月1日時点で減額で80%になったと想定すると、翌年には、「能力昇給」とベアがあり、そして、経過措置を含めて100%となっているが、それでは昇給やベアが全く反映されず、現行と同じ賃金が今後5年間も続くことになる。これでは納得できるはずがない。
会社
これはあくまでも緩和措置の取り扱いである。能力昇給とベアは期末手当にも影響することになる。経過措置の上にベアと能力昇給分を上げてしまうと、他の社員と比較して上回ってしまうため、あくまでも緩和措置として取り扱うことになる。
組合
今、他の社員ということがでたが、他の者は4月1日時点で100%になり、翌年の昇給とベアが加算されれば100%を超すことになる。これは乗務員の場合が想定されると思うが、減額になった者とならなかった者との差が出ることになり、会社の説明では納得できない。
会社
あくまでも改正場面での緩和措置である。改正時には、前回でも説明したとおり一定の賃金引き上げを行うことになっている。その中で乗務員でもごく一部の方が減額になり、それに対して緩和措置として経過措置を行うことになる。
組合
ごく一部というが、一部でも不利益を被るようなことがあってはならないはずだ。
組合
減額になる業務としてはどの部分を想定しているのか。
会社
乗務員では新幹線、都市手当で15%の地域の方などを想定している。
組合
この経過措置のとリ扱いは、少なくとも5年間は賃金が全く上がらないのと同じであり、全く不当な扱いだということは今日の団交の場で指摘しておく。
朝夜額G単価、準深夜額F単価を新設
組合
「特定時間割増手当」を新設した理由及び「深夜額」を「45/100」に引き上げた理由、「朝夜額」「準深夜額」を新設した理由を明らかにすること。
会社(文書回答)
夜間早朝時間帯の勤務や不規則な勤務による社員の負担を踏まえ、特定時間割増手当を新設し、従前の深夜帯よりも広い時間帯に対して、時間単位の割増賃金により支給することとした。
会社
夜間早朝時間帯の勤務や不規則で長時間の勤務に対して一定の手当を出すことで考えた。社員にもわかりやすく拡充して、18時~20時は朝夜額G単価として15/100を新設、20時~22時は準深夜額F単価として30/100を新設、深夜額C単価は5%引き上げて45/100に改正、さらに、5時~7時は準深夜額F単価として30/100を新設、7時~9時は朝夜額G単価として15/100を新設した。
組合
日勤の場合でも早出や遅番、長日勤などの場合も朝夜額が対象になるということでいいか。
会社
時間で決まるので、対象時間に勤務した場合は毎日でも対象になる。
住宅等手当ー地域額、住居額等を設定
組合
「住宅等手当を新設した理由及び、「地域額」の区分を「地域A 東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪」、「地域B A以外の道府県」とした理由及び、「地域A45000円」「地域B10000円」とした理由を明らかにすること。
会社(文書回答)
社員が働く場所に関わらずより安心して活躍ができるよう、住宅支援の要素も加味した居住地基準の住宅等手当を新設することとし、社員の住環境やライフサイクルに応じて支給できるよう、地域額、住居額及び別居額により支給することとした。なお、住宅等手当(地域額)は、住居費をはじめとする生計費の地域差を総合的に勘案したものである。
組合
「地域額」の区分を、首都圏+愛知、大阪とその他に分けた理由は何か。
会社
社員の住宅支援の要素を加味し、わかりやすいという点も考慮した。
組合
都市部の場合、住宅が高いことや、業務的にも首都圏の業務量が多いということを含めて検討したということか。
会社
これまでは在勤する場所により都市手当を基準にしていたが、仕事と住宅に関する手当として今回、住宅等手当と住居額を支払うこととした。
組合
福利厚生のカフェテリアプランで、賃貸住宅の場合最大15年が限度だが、今回は、その期限を過ぎていても対象になるということか。
会社
その場合は、福利厚生の部分であり、今回の住宅等手当及び住居額は制度としての内容であり、対象部分の金額を支払うことになる。
組合
「住宅等手当」の「地域A」に愛知、大阪が入っているが、その理由は。
会社
新幹線車両の製造の関係で出向者がいるためそれへの対応である。
企業型確定拠出年金ー元本確保型を選択 すればリスクはない
組合
退職手当を廃止して「企業型確定拠出年金」を導入する理由及び目的を明らかにすること。
会社(文書回答)
人生100年時代における資産形成の必要性を踏まえ、社員が自身のライフプランに応じた資産を運用し、退職後の生活を充実させることができるよう、第2基本給も含め退職一時金制度を廃止し、全社員を対象とした企業型確定拠出年金を導入することとした。
会社
これまで退職一時金という形で行ってきたが、平成採用者の第2基本給(定期昇給の30%)の金額がかなり多くなって退職金が目減りするということもあってそれを見直すことや、今後、社員の生活、ライフスタイルを充実したものとするために企業型確定拠出年金を導入することとした。
会社としては、確定拠出年金を導入して、それを1%での運用を念頭においているが、それを行うことで退職時の年金受取額が社員にとってはかなり有利になるのではないかと考えている。会社の税金対策よりは社員のことを考えて導入することとした。
組合
提案時に会社側から、「運用にあたってはリスクがある」旨の回答が数回出たが、社員は運用の素人であり、それで運用を行うこと自体無理があるのではないか。
会社
社員が選択することになるが、元本確保型で運用すれば、元本は保証されるので、マイナスになることはない。しかし、あくまでも本人の選択なので、会社として元本確保型にして下さいとは言えないので「リスク」という言葉で説明した。
組合
運用の種類を含めて選択肢はどうなっているのか。
会社
そこはまだ詳細が決まっていないので、今後、説明会などを行っていきたい。
組合
今回答のあった説明会はいつ頃を予定しているのか。
会社
大まかなスケジュールは示しているが、詳細が決まらないとできないと考えているが、少なくとも人事・賃金制度の改定に間に合うように行っていきたい。
組合
運用を行う会社は決まっているのか。
会社
全体の運営は日本生命が行い、資産管理(運用)は三菱UFJ信託が行うことになっている。
組合
会社資料で確定拠出年金のイメージがあるが、これは勤続15年、35歳、基本給30万円を想定しているが、この場合の移換金については、今回提案されているあらたな人事・賃金制度に基づき計算が行われているということで良いのか。
会社
そのとおりだ。今年度内に一旦整理退職したという形で移換金を計算することになる。その場合、来年4月1日時点での移換金を計算するので、第2基本給はその時点で廃止になっているので基本給から差し引くことはなく、基本給はそのままで計算することになる。
組合
移換金については、8年間で移換するとしているが、その理由は何か。
会社
法律上、一括で移換することはできないことになっている。一定程度の期間を設けて移換するということになっているので、8年間という形で移換することにした。
組合
会社拠出金が各等級によって違うが、その理由は何か。
会社
退職一時金を試算した内容を考慮して算出した金額になっている。最大55000円なので、その範囲内で設定した。
組合
会社資料の中で「運用イメージ」があるが、「元本確保型」の内「定期預金」と「保険」となっているが、この中身はどうなっているのか。
会社
元本確保型には、定期預金型や保険型など色々あり、そのイメージを簡略化して記載している。今後、いくつかの商品を選択できるようになるので、その中から選んでもらうようになるので、説明会等で説明していきたい。
組合
今回、確定拠出年金に移行するとしているが、これにともない早期退職加算金を廃止にするとしている。これまで何らかの理由で60歳未満で退職せざるを得ない場合には最大1200万円が支払われていた。これがなくなることは大きな問題だと考えている。
会社
50歳以降の方については、確定拠出年金に移行せず退職一時金として受け取ることができるようにしている。
また、26年度に満45歳から60歳になる方については、2031年度までの間、早期退職加算金制度を経過措置として維持したいと考えている。
賃金格差を考慮しエルダーに経過措置
組合
エルダー社員制度について、「経過措置」として各等級の金額(例 係職9万円)を設定した理由は何か。
会社(文書回答)
定年退職年齢が引き上げとなる世代との賃金格差を考慮し、エルダー社員に対して定額を支給する経過措置を講じることとした。
組合
経過措置と金額設定の理由はどうか。
会社
文書回答のとおりであるが、エルダー社員には今後も経験を活かしてグループ会社で活躍してもらいたいと考えている。その観点から今回の制度見直しで現役世代が一定の賃金引き上げになること、さらに、来年度からは定年年齢が65歳まで引上げになり、生活設計を維持することなども含めて雇用契約満了時まで経過措置を設けたものである。
金額は、各等級の賃金差等を考慮して設定したものである。
組合
経過措置ではなく、エルダー賃金を引き上げることは考えなかったのか。
会社
それも考えた、エルダー賃金を引き上げた場合、雇用継続給付金に影響して支給されない可能性もあることから、今回のような経過措置として支払うこととした。
セカンドキャリアスタッフ制度を新設
組合
「セカンドキャリアスタッフ制度」を新設した理由及び、「再雇用の希望に沿えない場合」とはどのような場合を想定しているのか明らかにすること。
会社(文書回答)
社員の働く意欲に応え、豊富な経験やスキルをグループのさらなる成長につなげるため、満65歳以降の新たな再雇用制度としてセカンドキャリアスタッフ制度を新設することとした。なお、再雇用についてはグループ会社等の雇用ニーズに踏まえつつ、勤務評価、健康状態等を考慮し、グループ会社等と調整が可能な場合に再雇用を行うこととする。
組合
「再雇用に沿えない場合」として想定していることはどのようなことか。
会社
グループ会社の雇用のニーズに踏まえ調整していくので、調整がダメな場合は希望に沿えないことがある。
組合
千葉の場合は、説明会を行って本人の希望を把握することを行っているが、今働いている業務を希望して、それで希望に沿えない場合があるのか。
会社
グループ会社で今後の体制や業務の関係で変更などを考えている場合などもあると考えている。必ずしも全員が入れるわけではない。
組合
今、エルダーで働いている人達は、少なくても5年、検修業務の外注化で出向になった人達は検修や構内業務などを10年以上も行っている。その人達にとってみれば、今さら他の仕事に行くことなど全く想定していないし、通勤や仕事の面でも慣れているし、その方が会社にとっても有利だと思うが。
会社
そのままの業務で希望することはあると考えている。一方でグループ会社もプロパーの採用も行っているし、生産性向上で必要な人数を減らしていることなどもあると思うが、そうしたことを想定して調整することになる。
調整できた場合は今の仕事をやっていただき、調整できない時は別のグループ会社を紹介することもあると考えている。
組合
恣意的な評価を行うことがあってはならないと考えているが。
会社
それはあり得ない。勤務評価等を見ながら評価を行うことになる。
組合
勤務評価の中に組合所属や組合活動は含まれていないか。
会社
それは含まれない。あくまでも業務上の問題である。
組合
差別がないようにあらためて口頭で申し入れる。
会社
差別はしていないと考えている。
(了)