No.


全組合員の力で実現した春闘ストの地平B

我慢できない現実に

この団結で立ち向かう

闘いが切りひらいた大きな地平


われわれの闘いは情勢をとらえた
賃金・雇用・権利の分水嶺
 これまで提起してきたように、02春闘は賃金と賃金制度、そして雇用と権利をめぐる分水嶺としての位置をもつ情勢のなかでの闘いとなった。
 われわれは年頭から、今春闘をめぐって起きようとしていることは間違いなくこれまでの延長線で考えることのできない事態となるであろうと分析し、3組合で全国の仲間たちに02春闘総行動を呼びかけることを決断し、また自らの飛躍・脱皮をかけて「3ヵ月間決戦」方針を提起した。
 以降の情勢はまさにわれわれが予測したとおりに進んだ。3月13日のトヨタベアゼロ回答の衝撃が波紋を広げ、25日にJR貨物がゼロ回答。そして27日には東日本がゼロ回答を強行するという事態のなかで、その翌日から決行された3/28〜31ストは、闘いの設定そのものが時代・情勢とまさにこれ以上ないタイミングでかみ合った。
 全国の無数の労働者がこの春闘の過程で切羽つまった状態のなかに突き落とされた。生活はこれからどうなるのか、ローンの支払いは?子供の教育費はどうやって捻出するのか…。広がる不安感、そして憤り、怒りの声。
 「いすゞ」では7%の賃下げが強行されたが、労組がそれを受入れた条件は、「ローンの支払いができなくなった社員に会社が低利で融資を行う」というものであった。またNTTでは51歳以上の社員全員が退職届を書かされ、「本人の承諾」!という名目のもとに、賃金を30%引下げられて強制的に転籍されるという状況のなかで、自殺者が続出しているという。職安には失業者が長蛇の列をなし、3月に入っても、今年度高卒予定者の3人にひとりが就職先も決まらないという事態。そして、なすすべもなく屈服し、こうした現実を丸呑みする労働組合…。

組合の存在価値をかけて
 02春闘で問われた課題は、労働者がおかれたこのような現実に対し、労働組合は何をなすべきか、労働組合はいかにあるべきかということであった。労働組合は資本に跪くことによって自分だけの利益を追い求めるのではなく、団結した力による資本との闘いで、労働者全体の権利と利益を追求するところに生まれた。この原点が真の意味で問われる情勢が到来したのだ。
 連合は「こんな時代だからベアゼロも仕方がない」と、資本の代弁者となって労働者の権利を売り渡した。われわれはこうした状況に抗して、「現実は甘んじるためにあるのではなく、変革するためにこそあるのだ」と自らの闘いを通して訴えた。そして02春闘総行動の呼びかけをもって東京にのり込み、社会のあり方、労働運動の在り方そのものを問い、全国の仲間たちに闘いを呼びけた。
 労働運動にとってまさに分水嶺をなす情勢のなかで闘われた3/28〜31スト−02春闘総行動は、労働者がおかれた現実と労働運動の惨たんたる現状を打開する展望を示す画期的な闘いとなって大きな波紋を広げた。
 実際、民間中小では多くの仲間たちがストライキに起ちあがって、赤字決算でもベア−賃上げをかちとり、首切りと闘い、必死で権利を守りぬいている。3/28〜31ストは、困難な状況を突き破って決起した多くの仲間たちの闘いと呼応して敢然と闘いぬかれたのである。
 ストライキ期間中、激励の電話やインターネットでのメールが次々と届き、逆に抗議電話は皆無と言っていいほどない。スト終了後もカンパなどが届けられている。JR東日本本社に対する新宿デモの最中に「父がリストラされました。父もこんなデモをやればいいのに」と話しかけてきた若い女性。今次闘争は、こうしたことの一つひとつのなかから「時代が変わろうとしている」ということをわれわれ自身が肌身で感じた闘いでもあった。

JRベアゼロ回答を撃つ
 JRにおいても、東日本のベアゼロ回答、貨物の「賃金制度の白紙的見直し」など、これまでのあり方が突き崩される事態のなかで、02春闘ストはこれまでとは比べものにならない意味をもつ闘いとなった。
 これを黙って容認すれば、来年には間違いなく賃下げが襲いかかる。またJR東日本のベアゼロが示したのは、これまでの東海よりも百数十円(!)上回る回答で「大成果」を宣伝し、革マル支配を維持するというJR東日本と東労組の関係も崩れ去ったことを意味する。東労組は総括することもできず大混乱に陥っている。

外注化阻止に向け大きな地平開く
 第2に、02春闘3ヵ月間決戦は、検修・構内全面外注化−新保全体系合理化粉砕に向けた大きな勝利の地平を築く闘いとなった。
 われわれは、第二の分割・民営化攻撃との攻防戦が差し迫った正念場を迎えていると訴え、これを迎え撃つ闘いとして3ヵ月間決戦を提起したが、事態は春闘過程を通してまさにわれわれが予測したとおりに進んだ。
 千葉支社は3月4日に車両の検査体系を抜本的に改悪する内容の「新保全体系」合理化の4月1日実施を提案。そして提案から僅か2週間後の3月18日には東労組が裏切り妥結する。また3月13日には4・1強行に向けた教育が一方的に通告され、職場は怒りの声に包まれた。さらに本社は、各支社に「4月1日までに例外なく検修・構内業務の外注化に手をつけよ」と号令を発した。
 また昨年12月に強行された設備関係の外注化で保線区などで働く多くの仲間たちが強制出向にだされ、出向先でのあまりに酷い労働条件に悲鳴があがる状況や異常時などの対応がほとんど不可能となっている現状も、運転職場にも口づてに伝わった。

職場支配権を奪い返した
 このような緊迫した状況のなかで開始された2月20日からの非協力闘争は、職場の怒りの声と結合して、最大の焦点となった幕張電車区を中心として他労組の組合員もまき込んだ連日の職場闘争を生みだした。職場では連日当局を追及する怒りの声が響き、組合員同士でも真剣な激論が交わされた。
 そしてこの闘いは職場の支配権を奪い返す迫力をもち、千葉支社だけが未だ外注化提案を行なうことができない状況に千葉支社を追い込んだ。
 これは緒戦での大きな地平である。この闘いによって外注化阻止に向けた勝利の地平がきりひらかれたのである。検修・構内外注化攻撃の最大の弱点は、「シニア制度」で再雇用した定年退職者を超低賃金で動員することによってこれを進めようというところにある。それは職場に怒りの声が沸騰している状況のなかでは不可能なことである。
 また貨物においても、「ニューチャレンジ21」攻撃と対決する闘争体制を先制的に築く闘いとして決定的な位置をもつものとなった。

1047名闘争の勝利の展望開く
 第3に、3/28〜31ストは1047名闘争の現状を打開し、勝利の展望をきりひらく闘いとしてあった。
昨年末のチャレンジグループによる国労分裂組織の結成、そして2・3国労定期中央委員会での闘う闘争団への査問委員会の設置という、国労と1047名闘争の危機的現状に抗して闘われた02春闘ストライキは、1047名闘争の今後の方向性を決定づけるであろう大きな位置をもつ闘いとなった。
 1047名闘争をめぐって起きている鋭い分岐も現在の情勢に規定されたものである。中途半端なものはもはや通用しなくなっているということだ。
 われわれは、JRにおける労働運動の大きな転換点、新たな大再編の渦中にたっている。動労千葉採用差別事件に対する東京地裁の3・28反動判決も、1047名闘争の解体に向けた国家権力の意志を示す重大な攻撃であった。われわれはストライキとJR東日本本社への1250名の抗議闘争をもって迎え撃ったのである。

新たな組織破壊攻撃をはね返す!
 第4に、3ヵ月間決戦−3/28〜31ストへの全組合員の総決起は、黙っていれば間違いなく吹き荒れたであろう、繁沢副委員長・長田組織部長の不当配転以降の組織破壊攻撃を封じ込め、力関係を引き戻した。幕張電電車区、習志野電車区長を東京からもってくるなど「動労千葉シフト」をしき、会社−東労組・革マル一体となってしかけられたスト破壊・組織破壊攻撃をはね返してストライキを貫徹したことの意義は大きい。
 われわれは、02春闘への全組合員の総決起・総行動を実現し、この闘いの渦中で労働運動をめぐってこれまでとは次元を異にする情勢が到来していることについて全組合員の認識の一致をかちとることによって団結を一層強化し、新たな飛躍への一歩を踏みだした。
 闘いの呼びかけは、職場で大きな共感の声を生みだし、われわれは組織の本格的な拡大にむけて確かな手応えをつかんだ。われわれは今次闘争をステップとして、動労千葉根絶攻撃粉砕、JR総連解体−組織拡大に向けた新たな闘いに決起する。
 またわれわれはこの闘争のなかで不当労働行為の根絶、強制配転者の原職復帰、シニア制度撤廃−定年延長実現等の懸案諸要求の実現を強く求めた。残念ながらこれらの諸要求実現に向けた道程は未だいくつもの困難な壁をのり越えなければならない状況にある。
 しかしわれわれは今次闘争によってJRとJR総連・革マルの結託体制をさらに一歩追いつめたのだ。

 
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