労働法制改悪攻撃の現段階③ 労働政策の歴史的転換攻撃許すな!

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③労働基本権の解体―「労使コミュニケーション論」批判

 集団的労使コミュニケーション論
第2の問題点は厚労省報告書が労働基本権そのものの解体に向けて(将来的課題だとしながら)踏み出していることである。
報告書では「労使コミュニケーション」「集団的労使コミュニケーション」という言い方が多用され、労働基準法制の性格を「労使コミュニケーション法」に変えてしまおうとする議論が展開されている。『経団連提言』も同じで、今や「(集団的)労使コミュニケーション」は政府・財界の労働政策におけるメインスローガンのように扱われている。労働組合の組織率の低下や労働組合としての機能不全が一線をこえて進み、連合が集団的労資関係の当事者としても、労働者支配の道具としても役に立たなくなっている現実を理由として、「労使コミュニケーション」の必要性がさかんに主張されるようになったのである。この間も資本の側からは、労働組合を単なる利害関係者や企業統治の当事者に貶めていく主張がさかんになされてきたが、ついには労資の関係をコミュニケーションの問題に解消しようというのだ。それは集団的労資関係や労働基本権の概念自体を事実上否定するものにならざるを得ず、実際、報告書でもそういう議論が展開されている。
『労基研報告』は「集団的労使コミュニケーション」がこれからの集団的労使関係の姿だと描きだし、その具体例について4点をあげている。(1)団体交渉、(2)デロゲーションの労使合意、(3)デロゲーションの遵守状況のモニタリングや苦情処理、(4)労働者の経営参画に関するもの、である。主眼は明らかに「デロゲーション」や「労働者の経営参画」におかれている。「団体交渉」は憲法上の権利であるため一応掲げられているが、コミュニケーション手段の一つのような位置にまで引き下げられている。

 労働基本権の核心
そもそも労働基本権(団結権、団体交渉権、争議権)は、労働者・労働組合だけが持つ権利であることに核心がある。「集団的労使関係」という場合の核心もここにある。労組法において争議行為とは、同盟罷業、怠業等をもって「業務の正常な運営を阻害するものをいう」と定義されている。団結して業務の運営を「阻害」しても、刑事罰に問われたり、損害賠償を請求されることはない(免責される)というのが労働基本権だ。だがこうした条件下でも、労働力の商品化を基礎とした資本主義社会において労資が対等であることなどありえず、「労働条件を対等な立場で決定する」という労基法は幻想に過ぎない。労働者はその悔しさを日々噛みしめながら、自らの闘いでかちとった権利でもある労基法や労組法を「武器」に転化して闘い続けてきた。
高市政権は、出口なき危機―戦争への突進という情勢の中で、こうしたこと(戦後的権利)を根っこから覆そうとしているのである。また経団連は、労働者が集団的な権利をもつこと自体を「働き方に中立的ではない」として、「使用者も団体、労働者も団体、さあコミュニケーションルールを作りましょう」というレベルにまで突き落とそうとしている。その意味で、現在進められている攻撃は「40年ぶり」どころか、1947年に労基法が施行されて以来の大改悪、労働者の権利を戦前に引き戻そうとする攻撃に他ならない。

 労働基本権の大前提
労働基本権や8時間労働制は、多くの血を流し、犠牲を払いながら決して歩みを止めることのなかった全世界の労働者の闘いの歴史によってかちとられたものである。そうした闘いなしに労働基本権が社会的に確立されることはあり得なかった。その前提には、労働者と資本の間にはぬきさしならない対立・衝突があること、歴然たる力の差があること、さらには「全身の毛穴から血を滴らせながら生まれた」資本主義の残酷な歴史を見れば明らかなように、資本の運動は何らかの規制が働かなければ労働者や社会をくい殺しても止まらないという厳然たる現実があり、支配階級の側からも、資本主義体制の延命のために一定の規制が必要とされるようになったという事情があった。だから、体制の側からも「自由権、生存権、免責的権利」「同権化」といった理屈で労働基本権を容認していくようになったのである。それ自体は何ら階級的なものではなくむしろ資本主義体制に整合的な主張でしかないにも係わらず、今やそれが時代錯誤の極端に左翼的思想かのように排斥されている。こうした現実を生み出した最大の原因は連合にある。問題は労働法の学者の議論の問題ではなく、労働者の階級意識と団結を破壊する攻撃がこうした形で仕掛けられていることにある。労働法制改悪阻止の闘いを、労働者をどちらの側が獲得するかをめぐる決戦、大党派闘争として構えなければならない。(つづく)

●65歳以降雇用延長裁判
  5月27日(水)16時 千葉地裁
●6・14改憲・戦争阻止大行進反戦集会
  6月14日(日)13時 東京・芝公園
●エルダー・シニア組合員集会
  6月28日(日)13時 DC会館
●国鉄闘争全国運動7・11集会
  7月11日(土)13時30分 
  千葉市文化センター アートホール
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