新春インタビュー 関道利委員長に聞く
3月ダイ改―JR史上最大の合理化攻撃と断固対決し労働運動再生・組織拡大へ総力でたちあがろう!
ワンマン絶対反対の闘いへ
――本日は、今年の課題などについて伺いたいと思います。
明けましておめでとうございます。
コロナ禍で時代は大きく動こうとしています。私たちが小さくとも困難に立ち向かい、目指してきた闘う労働運動の復権が、今の時代にこそ求められています。2021年はこれまでの闘いの中でつかんだ可能性を生かせるかどうかがかかった年です。
動労千葉としては何より3月ダイ改から始まろうとしているJR史上最大の合理化攻撃との決戦にたちあがることです。まず、3月ダイ改におけるワンマン運転拡大に対して絶対反対で闘いにたつことを全組合員に訴えます。
――昨年来の職場の状況はいかがでしょうか。
コロナ禍による感染の危険と不安の中でも、現場は休みなく働き続けました。緊急事態宣言で街に人が減った状況の中でもです。再びコロナ感染症が拡大していますが、JRはいまだに検温さえ行っていません。本人任せ、「すべて労働者個人の責任」という状態です。
JR東はグループ内に病院も持っています。職場で陽性者が出れば勤務を追って、接触のおそれのある労働者全員のPCR検査を行うこともできるはずです。しかし、発熱管理さえ行わない。もし発熱が発覚したら代務を用意しなければいけないからです。そのためには予備要員等の確保が必要です。感染対策より人員削減を優先して、あえて検温さえ行っていないのです。
その一方で、「乗客に見せるためだけ」の感染対策≠ノ現場を動員して、あたかも真剣に対策しているかのように大々的に宣伝しています。これがJR東の現実です。
――矛盾が現場に押し付けられているんですね。
そうです。CTS清掃労働者にはとくにそのしわ寄せがのしかかっています。
膨大な量の窓閉めを行い、手すりや吊手の消毒の業務が追加されています。しかし、JR・CTSははじめから「人を増やさない」ことを前提に業務追加を決めました。CTSはJRから新たに委託費を受け取っているのに、人も増やさない、手当もつけない。夜間の吊手消毒も重い負担になっています。
清掃職場の組合員の皆さんは、大変な思いをした1年だったと思います。来年は、現場が仕事がやりやすいような職場にする1年にしたい。
緊急事態宣言のときに、JR側では自宅待機があっても、CTS側はなかなかできない状況でした。5月7日、感染対策のために中止していた特別清掃を再開し、自宅待機を解除するということもありました。緊急事態宣言延長はわかりきっていたのに、「連休中だったから延長後のことを検討できていない」というのです。現場が大変な思いをしている中、幹部だけはのうのうと休んでいたんです。
ストを構えて追及して、再度の自宅待機をCTS本社に対して認めさせました。労働組合が声を出さないといけないということがはっきりしたと思います。21春闘に向けて、「人を増やせ」「手当をつけろ」という闘いを強化していきたい。
コロナに便乗した合理化攻撃
――JR東日本はコロナ禍で赤字に転落しました。
JRはコロナ禍に乗じて大合理化攻撃をしかけてきています。これまで莫大な利益を上げ続けていながら、今期の赤字だけ持ち出して、「コストが下がらなければ会社は存続できない」と叫んでいます。1500億円のコスト削減を掲げて、社長自ら「鉄道ありきでものを考えるな」とまで発言しています。「グループ内出向」も打ち出して、新たな合理化計画を今月にも発表するとしています。
とくに、9月に強行された休業指定の就業規則改悪は、「業務量の減少その他経営上の都合で、勤務指定時に1日単位から無期限まで休業させられる」という究極の雇用柔軟化攻撃です。「コロナだから休業も仕方がない」「会社存続のため」という次元の問題ではありません。「JR正社員でも仕事がなければ休業が当然」「就業規則を変えるだけで雇用を破壊できる」という既成事実をつくり、社会全体に「正社員解体・総非正規職化」攻撃を拡大しようというものです。
3月ダイ改はJR史上最大の合理化攻撃になろうとしています。運転士・車掌の職名を廃止して「乗務係」としたことを口実に、運転士・車掌個別の標準数を示すことさえ拒否しました。そして、「担当業務間の相互運用を行う」と混み運用にまで踏み込んできています。ワンマン運転拡大と合わせて、車掌を業務ごとなくす攻撃です。運転士と車掌では、役割も仕事も異なります。それを「一緒でいい」などというのは、運転保安の観点からも許されません。
会社は「固定費割合が高い」といっていますが、その中でも、乗務員を「削減」の最大ターゲットにしています。要員は朝夕のラッシュ時間帯に合わせる必要があります。19年3月ダイ改で強行された乗務員勤務制度改悪は、そこに支社課員等を使って、乗務員を劇的に減らそうという攻撃でした。
当初、支社課員等の乗務は、「短時間行路だけ」「制度実施後に運転士から支社等に異動して兼務発令された者だけ」というものでした。しかし、「コロナ対策」を口実に、なし崩し的に一般行路への乗務や「兼務対象外」とされた管理職たちまで乗務させています。それを「既成事実」にして、4月からは制度化すると提案してきています。
普段は事務仕事で片手間的に朝夕だけ乗務ということで、安全が担保できるのか。運転保安上も許されることではありません。
ストを構えて反撃にたつ
――ワンマン運転についてはいかがでしょう。
千葉でも、3月ダイ改から内房線・外房線・鹿島線でのワンマン運転導入と車掌の大幅削減が提案されています。車掌の異動を使って職場の団結を破壊することや、「休業指定」で一時帰休に追い込むことも狙われていると見る必要があります。
しかし、獣害問題は社会的な問題にもなっています。衝突時の対応は二人でも相当に大変なものです。どう考えても一人でできるわけがない。動労千葉として、獣害に対する統一行動指針を決定して取り組みを開始しています。
問題は獣害対応だけではありません。JR九州では「障害者の移動権を侵害」と裁判にまでなっています。人権問題でもあるわけです。千葉でも内房線と地域を守る会主催で学習会が開かれ、障害者の方々から切実な意見が出されています。館山市議会は、「運転士だけになるワンマン運転は非常に不安」「安全性が確保されるまで導入しないことを求める」という意見書を全会一致で可決しています。
列車運行の安全は、運転士と車掌で担っています。ワンマン運転では乗客の安全を守れない。すべての負担と責任を運転士に押し付けるワンマン運転を許すわけには絶対にいきません。ストライキを含む闘争体制を確立し、絶対反対で闘いに立つことを訴えます。
――これまででは考えられないような攻撃が相次いでいます。
コロナ禍という惨事さえ「千載一遇のチャンス」と捉えて、「整理解雇」の脅しで現場を黙らせ、一挙に合理化を進めようという卑劣な攻撃です。
東労組解体と社友会組織化で、「労組なき社会」に向けた攻撃も再び激化しようとしています。社友会で職場代表を押さえることで就業規則を改悪し、会社の自由に労働条件を改悪できるというモデルを作る攻撃です。休業指定の就業規則改悪は、その攻撃でもありました。経団連の労働法規委員会の委員長に冨田JR東会長が座り、「労働者代表機関の制度化」まで狙われています。
昨年は検修部門での大きな削減はありませんでしたが、「ミライの車両サービス&エンジニアリング構創」で、「人手をかけないメンテナンス」「現場に直結した業務はグループ会社の仕事」とはっきりと打ち出されています。JR本体とグループ会社で養成課程を統一するなど、分社化と転籍に向けた攻撃の準備が行われています。
「どこでも機能保全」ということも打ち出されています。津田沼では総武緩行線の仕業検査を、三鷹との間で柔軟に運用するとしています。柔軟化させた上で、合理化していく狙いだと見なければなりません。
今年は検修部門でも大合理化に向けた攻撃を開始すると構えておく必要があります。合理化は安全破壊に直結します。断固阻止するための闘いにたちあがらなければなりません。
貨物における闘いも正念場を迎えます。シニアの基本賃金の地域間格差はふざけたものです。また、職場全体がシニア6割以上という状況です。将来展望を含めて貨物会社を追及していかなければなりません。
――コロナ禍で多くの労働者が職を追われています。
厚労省の統計によれば新型コロナ関連の解雇・雇い止めは約8万人に達します。しかし、実際にはその何倍もの人が職を失っています。女性と若者の自殺急増と報じられています。非正規職をはじめ、社会的に弱い立場にいる人から切られている。新自由主義が生み出してきた社会的な格差がさらに拡大しています。安倍政権下でどれほど雇用が破壊されてきたのかということです。菅政権は「安倍政治の継承」を宣言し、解雇の金銭解決を打ち出しています。闘う労働組合の復権は待ったなしの情勢です。
安倍政権下での改憲は阻止できました。しかし、菅はそれを継承した政権です。労働者は戦争と憲法改悪は絶対反対、絶対に許さない。改めて、改憲を絶対に許さない闘いにたちあがります。
昨年の11月集会では、原点に帰って「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」を具体的な姿・形にしよう、関西生コン支部弾圧粉砕の支援組織・運動を全国に組織しよう、改憲・戦争阻止!大行進運動を本格的に発展させよう、画期的な国際連帯闘争の広がりを引き受けられるだけの組織的力量をつけようと訴えました。
新自由主義がいかに社会を破壊してきたかは、誰の目にも明らかになりました。すべては国鉄分割・民営化から始まった。当該である私たち国鉄労働者が先頭にたち、新自由主義に決着をつける。その闘いに今こそたちあがることを訴えます。
全組合員の力で組織拡大へ
――組織拡大に向けた闘いについてお伺いします。
すべての闘いを組織拡大に結びつけていくことが最大の課題です。激しい攻撃との闘いの渦中でこそ、勝利の展望をつかむことができます。組織拡大についてもそうです。昨年はCTS幕張事業所から1名の組織拡大を実現しました。本人の胸の内を考えれば、よくぞ来てくれたという思いです。
この組織拡大も、会社が東労組解体に踏み込み、職場代表選にたったことが出発です。私がCTS幕張事業所の代表となってから、安全衛生委員会の委員としてともに職場の労働条件改善に取り組んできてくれました。16年に無期転換を「選別」する就業規則改悪に対しても「白紙撤回」の声を上げた仲間でもあります。その中で加入を決断してくれました。
そして、同じ思いの人は他にもたくさんいます。今は1名の拡大ですが、ここを突破口にもう一歩前進させたい。
CTSの過半数の労働者を獲得できれば、単に職場内にとどまらず、CTS労働者全体の労働条件を改善させる運動が可能になります。グループ会社の現状を根本から変えて、希望者全員が正社員になれる職場を実現しましょう。
この間の大会でも、「闘いなくして組織拡大なし」「すべてを組織拡大の観点から」と掲げてきました。全組合員の力を集結して、JR―CTSを貫く本格的組織拡大を実現させたい。それこそが会社の攻撃を打ち砕く力です。その条件は大きく生み出されています。2021年をその可能性をつかみとる1年にしましょう。 |