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安全に関する規制緩和をやめろ
尼崎事故、レール破断で国交省に申し入れ

尼崎事故、レール破断の多発等に関する申し入れ

 4月25日に福知山線・尼崎駅付近で発生した列車横転事故は、107名の乗客・乗員の尊い生命を奪う、日本の鉄道史上最悪の大惨事となった。
 二度とこのような惨事をおこさせないために、安全対策の抜本的な強化、見直しが求められていることは言うまでもない。JR東日本においても、レール破断 が頻発するなど、「安全の危機」はすでに差し迫った問 題として顕在化している。
 またわれわれは、この間実施されてきた国土交通省令の大幅な規制緩和の見直しが求められていると考えるものである。
 従って、以下のとおり申し入れるので、誠意をもって回答されたい。

1.尼崎列車横転事故にふまえ、国土交通省として各鉄道事業者に対し、どのような指導を行ったのか明らかにされたい。

2.この間、運輸技術審議会答申等に基づいて、鉄道に関する規制(国土交通省令)の大幅な緩和が実施されてきたが、尼崎列車横転事故にふまえ、以前のように強制力をもった具体的規制・基準を定めたものに変更されたい。

3.この間の国土交通省令の規制緩和は「市場原理に 委ねられるべきものは市場原理に委ね、国の関与を縮小するとともに、行政手法についても事前規制を合理化し、事後チェックを充実する」という考え方のもとに実施されてきたが、次の点について基本的な考え方を改められたい。
 @ 「素材・仕様・規格を詳細に指定する基準から必要最低限の性能基準へ移行する」
 A 「省令」 + 強制力をもたない「解釈基準」という体系。
 B 「社会的規制については、行政の政策目的に沿った必要最小限のものとする」
 C 「事前規制型の行政から事後チェック型の行政に転換する」
 D 「事業者認定制度」、「鉄道事業者等の自主性、主体的判断を尊重できるものとする」

4.とくに次の点について、強制力をもった具体的な基準を定められたい。
 @ 列車の最高速度及び信号現示等に対する制限速度。
 A 線路条件、車両の性能に応じた余裕時分の基準。
 B 車両、線路、信号設備等の検査基準及び検査周期。
 C 車両の強度及び剛性、乗客乗車時の重心の高さ等。
 D 指導操縦者、指導員、指令員の指定及び発令の基準。

5.現在多くの車両に使用されているDT50、DT61等のボルスタレス台車の急曲線、S字曲線等での安定性について、再検証を行われたい。

6.「進行を指示する信号の現示と進行の指示を対等なものとする」という考え方を改め、とくに場内信号機、出発信号機は「絶対信号機」として省令に位置づけられたい。

7.昨年から今年にかけて、JR東日本千葉支社管内で、レール破断や枕木のずれによる軌間縮小等が頻発するという異常な事態が発生していることについて、国土交通省としてこの事態を把握しているのかどうか。また、把握しているとしたら、原因・対策等についてどのように考え、またどのように指導しているのか、明らかにされたい。

8.鉄道事業者からの事故報告のあり方について、列車遅延が発生しなくとも、内容的には重大事故につながりかねない事故について、国土交通省として把握できるよう、基準を設けられたい。

9.尼崎事故では、労務管理の在り方と安全問題との関係がクローズアップされているが、JR東日本でも、
 ◎ 20年近く前に運転士資格を取得している者が、組合所属によって運転士に発令されない、
 ◎ ベテラン運転士が20年近く他職に配転されたままとなっている、
 ◎ 指導操縦者等の指定について、組合所属による差別によってベテランの運転士が外されている結果、わずかの経験しかもたない者が指定されている、

 ───等の実態がある。安全や技術力の継承に係わる問題については、その実態を把握し、鉄道事業者を指導されたい。

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