home page 日刊動労千葉 前のページに戻る

No .

韓国セウォル号沈没事故が突きつけているのはなにか?

「殺人者は船長ではなく新自由主義だ!」

 4月16日の韓国セウォル号沈没事故で高校生、教員ら300人近くの乗客、乗員が殺された。そして韓国では深い悲しみとともに、パククネ政権への抑えがたい怒りが爆発寸前だ。
 5月10日、多くの高校生が殺された高校のある安山市を、2万人のキャンドルが埋め尽くした。そして17日にはソウル都心を5万人のキャンドルが埋め尽くし、「パククネは退陣しろ」、「青瓦台に行こう」というシュプレヒコールがあがっている。
 追い詰められたパククネ政権は、逮捕した船長や航海士らにすべての責任をなすりつけ、殺人罪で起訴し、死刑にしようとしている。
 ふざけるな! 真の殺人者は誰か。 金儲けのために3倍もの過積載を行い、船員の半数以上を非正規職にし、安全対策も訓練もしないで運行させていた船舶会社ではないか。規制緩和や非正規職化を進めてきた政府ではないか!
 韓国労働者民衆の怒りの根底には、政府の事故対応がずさんを極めたことに加え、新自由主義こそ事故の根本原因であることを、韓国の労働者民衆は自らの労働現場で、生活の場で嫌と言うほど実感しているからだ。
 『新自由主義によって「カネ」が重視され、「安全=人命」が軽視されていった。そればかりでなく、労働者の誇りを蒸発させ、人々の心から公共心を奪い去った。その結果として、韓国社会を著しく没落させた』と。(在独韓国哲学者ハン教授)
 セウォル号沈没事故で起きたことはJR北海道と全く同じだ。  新自由主義=市場原理は「安全=人命」と絶対に相いれないのだ。

日本の廃船が 「韓国最大のクルーズ船」に

 セウォル号は、日本での18年間運行してた廃船を購入したものだ。さらに806人だった定員を、客室建て増しで960人に増やし、「韓国最大のクルーズ船」として幅広く宣伝され、2013年3月より仁川ー済州島の定期運行を開始した。 内部の操縦装置の腐食が進み、操舵機やレーダーの故障が度々発生していたオンボロ船が、どうして「韓国最大のクルーズ船」として運行できたのか。
 2009年、当時のイミョンバク政権は「船齢と海洋事故は関係ない」「旅客船の船齢制限の緩和で200億?が節減される」と海運施行規則を改悪し、船齢制限を20年から30年へと大幅に緩和した。この規制緩和で日本の廃船を低コストで購入できたのだ。
 
 トルコで炭坑爆発事故

 5月14日、トルコ・ソマ炭坑爆破事故で、300人以上の労働者の命が奪われた。この炭鉱は2005年に民営化され、利益重視で安全対策がまともにされず、昨年1年間だけでも労災事故が4千件以上起きていたと地元メディアは報じている。

「闘いなくして安全なし」

 このトルコの炭鉱事故にしても、セウォル号事故にしても、そしてJR北海道にしても、安全が崩壊している現実は現場の労働者は知っていた。しかし団結が破壊され、声を上げられなかった。その積み重ねが、大惨事に行き着いたのだ。だから、労働者の団結は、人間が生きる社会を、社会として成り立たせるための一番大事なことなのだ。
 「闘いなくして安全なし」―今こそ闘う労働組合を全国の職場に!
 外注化、非正規職化粉砕、解雇撤回10万筆署名を集めきり、6・8国鉄集会への大結集を勝ち取ろう!

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!


 
ページの先頭に
前のページに戻る