動労千葉申第32号 2013年3月11日
検修・構内業務外注化に関する申し入れ
1.動労千葉とCTSの争議に際し、JR千葉支社が代務要員を送り込んでスト破りを行なった件について、他企業の争議にJRが介入することは明らかな不当労働行為であるが、なぜこのようなことをしたのか見解を明らかにすること。
2.前項の件について、委託業務をめぐる請負先企業での争議に対し、発注主であるJRがスト破りを行なうのは、昭和61年労働省告示第37号が定める「請負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること」「自己の雇用する労働者の労働力を直接利用するものであること」等に抵触すると考えるが、見解を明らかにすること。
3.委託業務について、一つひとつの業務を日々発注するという方式をとっていることについて、次の点を明らかにすること。
(1)昨年7月の千葉支社提案では「以下の業務を、一括して委託する」とし、それを前提にして団体交渉が行なわれてきたにも係わらず、日々業務を発注するという委託方法に変えた理由は何か。またいつの時点でそのように変えたのか。
(2)千葉支社は、発注量が日ごとに激しく変動する業務ならばまだしも、定例の構内入換業務や仕業検査業務までこのような委託方法をとり、「発注しなかった業務はJRが行なう」としているが、そうだとしたら、直営業務と委託業務の区分・線引きは一体どうなっているのか。
(3)直・外区分がこのようにあいまいなものだとすれば、明らかに「請負事業主が発注者から独立して業務を処理する」という「告示37号」に抵触するものであるが、見解はどうか。
(4)作業請負基本計画では、委託する業務の範囲等について具体的にどのように定められているのか。
4.会社は、今年10月1日に構内計画業務を委託するとしているが、日々の発注書を作成しているのは計画担当である。発注書の作成は言うまでもなく発注主が行なう行為であるが、なぜそれを委託できるとしているのか、見解を明らかにすること。
5.作業発注について、現場では、従前の構内入換計画書(日報)を「構内作業・車両清掃発注書」に名称変更し、同書面をもって毎朝CTSに業務が委託され、さらに、その作業が変更になった場合は、「指示書兼発注書」が随時作成されて業務が委託されているが、次の点について考え方を明らかにすること。
(1)「構内作業・車両清掃発注書」について、JR作成の同発注書が、「指示書」という判子を捺すだけでそのままCTS作業員に渡されて、CTS内の作業指示書として使われているが、この現実は、JRが実質的に委託業務全てを指示していることを示していると考えるが、会社の見解はどうか。
(2)さらに、作業変更(契約内容の変更)時に出される「指示書兼発注書」は、「指示書」「発注書」という、本来性格も全く違えば、作成する企業も別であるはずの書面をJRが一つのものとして作成し、CTSではそれがそのまま指示書として使用されていることは、露骨極まりない偽装請負の証明に他ならないと考えるが、会社の見解はどうか。
(3)「告示37号」に関して厚労省が作成した指導文書では、「発注者が作業の内容、順序、方法等に関して文書等で詳細に示し、そのとおりに請負事業主が作業を行なっている場合も、発注者による指示その他の管理を行なわせていると判断され、偽装請負と判断されることになる」としているが、会社の見解はどうか。
6.CTSに出向させられた者は、日々の業務遂行について、事業所毎の内規が示され、「今までどおりやってくれればいい」という抽象的な「指導」がされただけで仕事に就いているのが現状であり、それに則って業務をしなければいけないはずの「個別仕様書」の内容がいかなるものか誰も知らない状態である。従って、次の点を明らかにすること。
(1)個別仕様書とは、構内入換業務や仕業検査業務等について、作業内容や方法、その規程上の根拠等を具体的に定めたものではないのか。そうだとすれば、日々の業務に絶対的に必要なものであるはずなのに、なぜ明らかにしないのか。
(2)JRの業務は「実施基準」「執務基準」「作業要領」「作業標準」「手続き」等の規程類によって、その作業内容、方法等をJRが詳細に定めているが、CTSに委託した業務には、JRの規程類がどの範囲で適用され、あるいはされないのか。個別仕様書ではどのように定められているのか。
(3)JRの規程類がCTSにも適用される場合、なぜそのような取扱いができるのか、その根拠について。
また、その場合、それは前項で厚生労働省が指摘することに抵触すると考えられるが、会社の見解はどうか。
7.会社は、業務委託に伴うJRとCTS間の関係について、「作業発注」と「情報の提供(情報連絡)」を区分けし、「情報の提供(情報連絡)」は、JRがCTS作業員に対し直接行なっても構わないとする旨を回答しているが、次の点について明らかにすること。
(1)「作業発注」と「情報の提供(情報連絡)」の違い、区分けは具体的にどのように判断されるのか。
(2)CTSは、構内入換に当たっての信号担当から運転士への「通告」について、「作業上必要な情報を伝達することである」と回答しているが、運転取扱い上の通告等も「情報の提供(情報連絡)」の位置づけとなるのか。
(3)JRは「請負に関する指示」と「運転取扱いに関する指示」を区別し、「運転取扱いに関する指示」については、JRがCTS作業員に対して直接業務の指示をしても良いように解釈しているようであるが、そうなのか。また、そうだとすれば、それはいかなる根拠に基づいているのか。
8.信号担当や操車担当は、運転取扱実施準において、運転取扱上の指揮命令系統の中で重要な責任を負うものとして各条文に位置付けられているが、次の点について明らかにすること。
(1)指揮命令系統そのものと言っても過言ではない業務を委託できるとした根拠は何か。
(2)運転取扱実施基準第3編において、「指示」「通告」を行なう権限者として、「信号担当者」「操車担当」が明記されている各条文について、同業務が委託された箇所ではこれをどう読むのか。「CTS信号担当者」等読み替えるのか。また、そうだとするなら、JRが定める規程の中で別会社の者を業務の指揮命令系統に組み込める根拠は何か。
(3)信号業務や誘導業務の委託は、運転取扱実施基準等に定められた指揮命令権限も含めて委託したということなのか。また、そうであれば、そこまで業務委託を拡張できる根拠は何か。
(4)実際、CTS信号担当者がJRの運転士に指示・通告したり(又はその逆)、CTS操車担当者がJR運転士に入換合図を行なったりする業務運営が何の区別もなく日常的に行なわれているが、これは、「告示37号」の「業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行なうもの」はもとより、「請負った業務を自らの業務として当該契約の相手方から独立して処理するもの」との定めに抵触するものと考えるが、会社の見解はどうか。
(5)入換信号機により入換を行なう場合、
@ 信号所からの「通告」が単なる「情報の伝達」であるとすれば、当然「復唱」「1作業・1通告」等の厳密な定めはなくなり、仮にその情報が無くとも、運転士は入換信号機に従って作業をすれば良いことになるが、会社の見解はどうか。
A その場合、運転士作業標準における「復唱」「1作業・1通告」等の定めはどのような位置づけとなるのか。
B そもそも、規程上は信号を現示することそのものが単なる「情報伝達」ではなく「指示」ではないのか。
(6)入換合図により入換えを行なう場合の合図は、「合図者の方へこい」「合図者から去れ」「速度を節制せよ」「停止せよ」等、明確な指揮命令・指示行為ではないのか。会社の見解はどうか。
(7)入換合図の継続表示の省略による入換えを行なう場合、運転士は通告を受けなければ絶対的に動くことができなわけで、その通告が単なる「情報伝達」ではないことは明らかであるが、会社の見解はどうか。
(8)運転取扱実施基準で、指令からの指示をうけることが定められているいる事項について、CTS構内運転士はどのように対応するのか。また、指令が直接指示できるとするならその根拠は何か。
9.3月5日〜同8日にかけて、派出検査に働く者を対象とした233系車両に関する「下期派出社員講習会」において、JRとCTS合同の教育・訓練が行われたことについて、次のとおり見解を明らかにすること。
(1)同講習会は、「JRが必要としたことについてはCTSの作業員も無償で教育・訓練を行なう」という方針のもとに実施されたようであるが、当日はCTSの作業責任者は参加していなかったが、なぜか。
(2)そうだとすれば、「発注者が請負労働者に対して技術指導を行なうことはできない」とする「告示37号」で規定する厚生労働省の指導に抵触するものであるが、会社の見解はどうか(例外として技術指導を行なうことができると例示されたケースにも当てはまらなければ、その場合でも「請負事業主の監督の下で……」と限定されていることにも抵触している)。
10.この間、CTS幕張運転車両所では、当日指定された2名の作業責任者のうち1名が作業者となって誘導等の構内業務を行っている実態があるが、こうした取り扱いは本社運輸車両部の「運輸車両関係の委託と労働者派遣法について」で、「作業責任者が作業者を兼務することはできない」と明記されている内容に触れる違反行為であると考えるが、千葉支社の考え方を明らかにすること。
11.仕業検査は「一括」して業務委託したにもかかわらず、2月のSL運行に伴うDE10の仕業検査をJRが行っているが、業務委託した仕業検査をなぜJRが行ったのか、千葉支社の考え方を明らかにすること。
12.1月15日の降雪に関して、次の点について明らかにすること。
(1)降雪に関する対策業務は、誰が行うのか。また、その際の指揮命令系統について。
(2)幕張運転車両所では、降雪によりポイント不転換が発生し、その際、JRとCTSの労働者双方が混在して作業を行っているが、当日の作業の区分はどのようになっていたのか。
(3)幕張運転車両所では、降雪に伴い列車の入換計画が全く立たず、1時間以上にわたり構内業務が行えないという事態が発生したが、何故このようなことが発生したのか。
13.誘導業務は「一括」してCTSに業務委託されたにもかかわらず、JRが勝手に誘導業務を行っている実態があるが、なぜJRが委託した業務を行うことができるのか、根拠を明らかにすること。
また、同一構内で2組の誘導業務が行われることは、列車の衝突事故等を引き起こしかねない重大問題であると考えるが、千葉支社の見解を明らかにすること。
(1)1月16日、NB12、NB15に関する誘導、入換業務を行ったことについて。
(2)1月22日、Be04に関する誘導業務を行ったことについて。
(3)1月29日、DE10に関する誘導、入換業務を行ったことについて。
14.一ノ宮駅において、55M先頭車両のホロが外れた事象について、指令が「その場で検査に依頼してくれ」と指示したことにより、運転士がCTS派出担当に直接ホロの処置を指示するという事態が発生したが、これは、JRからの直接指示に当たると考えるが、千葉支社の考え方を明らかにすること。
また、業務委託に伴い、車両故障等が発生した場合の指示・連絡方法等の具体的な取り扱いについて、本線運転士及び指令等に対してどのような教育・訓練を行っているのか、具体的に明らかにすること。
15 今後の業務委託・外注化計画について、次のとおり会社の考え方を明らかにすること。
(1)資材・倉庫業務について、会社側は「委託対象業務である」との考え方を今も変えていないようであるが、同業務は、JR東日本の資金を使って区所の業務に必要な物品や部品、器材等を購入し、配備しておくことを中心とした業務であるが、そのような業務を委託・外注化できるとする根拠は何か。
(2)機動班業務についても会社側は「委託対象業務である」との考え方を今も変えていないようであるが、今後の業務委託計画をどのように考えているのか。
(3)新系列車両の機能保全検査についても、JR東日本本社は「将来的にはグループ会社にインソーシングしていく」等回答し、委託・外注化する意思を明らかにしているが、あらめて今後の考え方を明らかにすること。
また、その場合、検修職場で働く者の雇用や強制出向に出された者のJR復帰の展望はどうなるのか。
― 以 上 ―
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