千労委の反動命令を弾劾する!
労働委員会が争議権を否定
「安全運転闘争介入事件」で組合側請求を棄却!
6月30日、千葉県労働委員会は、06年3月に動労千葉が実施した安全運転闘争に対して、JR東日本が動労千葉の本部役員や列車に遅れが出た組合員に対して戒告等の懲戒処分を行ったこと等が、争議行為への介入であるとして救済申し立てを行っていた「安全運転闘争介入事件」について、組合側の「申立を棄却する」との反動命令を交付してきた。
05年4月の尼崎事故、そして同年12月の羽越線事故と乗員、乗客多数の生命が失われるという悲惨な重大事故が相次ぎ、さらに、千葉を中心にしてレール破断や異常摩耗という異常事態が発生した。
こうした中で動労千葉は、乗員と乗客の生命を守り抜き、運転保安を確立するために06年3月10日から18日にかけて@最高速度を10km/hダウンする、A回復運転はしない、B無線通告は、例外なく停車中に受けることなどを中心とする安全運転闘争に起ちあがった。
これに対してJR東日本は、「運行管理権を奪う違法行為」だとして「警告文」の掲示や、乗務点呼での恫喝・介入、動労千葉組合員が運転する列車への添乗等々、争議行為への露骨な介入を行い、そして本部役員9名、列車に遅れが出た組合員12名に対して戒告等の処分を行ったのだ。
しかし千労委は、動労千葉が安全を求め、争議権に基づいて正当に行った安全運転闘争に対して、「請求を棄却する」とともに、安全運転闘争そのものを否定するという、言語道断の反動命令を交付してきたのだ。
こうした千労委の対応は、労働委員会自らが争議権を否定するものであり、絶対に許せるものではない。
動労千葉は、こうした反動命令に対して、直ちに中労委への再審査を申し立てるとともに、勝利命令獲得に向けて全力を挙げるものである。
直ちに再審査を申し立て−勝利命令獲得へ闘いぬこう
千労委命令の要旨は以下のとおり。
【「本件争議行為は正当な争議か」について】
怠業は、労働者が会社の指揮命令から完全に離脱することなく、これを部分的に排除しつつ不完全な労働力を提供するという争議行為であり、作業能率の低下等の消極的な態様にとどまる限り一般的には正当な争議行為と認められる。
しかし、故意に不良品を生産したり、施設設備を破壊する積極的な態様をとる場合には、その怠業は正当な争議行為とは認められない。
本件争議行為は、定時運行の確保を目的とした余裕時分に対する会社の管理権を、一時的に会社から排除し、減速闘争を行う組合の管理下に置くことになり、作業能率の低下など消極的な態様にとどまらず、不法に余裕時分に対する会社の管理権を侵害する行為と解さざるを得ない。
【「戒告等の処分及び夏季手当の減額が不利益取り扱いになるか」について】
労働者に、会社規程等に反する行為があった場合、どのような処分を行うかは使用者の裁量事項であるが、組合員に対する処分が社会通念上、過酷に過ぎるとか、非組合員との均衡を失するなど、使用者の裁量権を著しく逸脱する事情があれば、不当労働行為の成立を認める余地が生じる。
本件処分に到る経緯では、会社は事前に、組合に対して争議行為の中止を求め、警告書の掲出や組合員に対する乗務点呼時の通告を行った。組合員の乗務する列車に管理者を添乗させ、争議行為への関与を確認し、争議行為後の事情聴取を行い参加した組合員に弁明の機会を与えており、特段不適切な点はない。
処分についても、懲戒解雇から戒告に規定されている処分の中で、最も軽いものであり、ことさら重い処分を選択したとはならない。懲戒処分については、会社の裁量権を著しく逸脱するような事情は見られない。
また、会社がことさら組合員を萎縮させ、組合弱体化しようとしたなどの恣意的な意図があったとまではうかがえない。
【「『警告』、管理者の添乗による現認、事情聴取が支配介入にあたるか」について】
本件争議行為は正当な争議行為であると言えないから、会社が組合に対してその旨を伝え、組合員に厳重に対処する旨を警告することは、それ自体不当労働行為とはなり得ない。
乗務前点呼における指示は、文言自体からは会社の不当労働行為意思をうかがうことはできず、組合員に対する誹謗中傷、恫喝、嫌悪感をうかがわせる発言や態度、組合員との紛糾があったとの疎明はない。
会社は、添乗目的について、乗務前点呼だけでは争議行為を行うかを確認できないため、組合員の運転状況を客観的事実として確認、把握すると主張しており、これ自体特段不合理ではなく、態様も組合員にみだりに話しかけず、運転速度と遅延時分の確認以上は行っていないことが認められ、添乗の目的、態様から会社の不当労働行為意思をうかがうことはできない。
事情聴取は、組合本部役員には役員であることの確認、争議行為の実施の決定や組合員への指示についての関与の仕方等の確認、組合員に対しては列車の遅延についての理由の確認と争議行為の指示に関するもので、目的の範囲内であると認められる。 |