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「背後から切粉が飛んでくる!」 |
車輪削正で発生した切粉。長いものは5〜6mに及ぶ |
業務の全面的外注化攻撃を許すな!
第2の分割・民営化攻撃の新段階である業務の外注化によって、保線、電気、信通などの保守部門は、千葉支社管内でも本体部分が削りとられてきた。その弊害として、いったん事故や災害が発生した場合、復旧させるためには、以前とは比べものにならないほどの時間を費やすという状況を現出させている。また、同時に進行させている検査周期延伸に見られるように業務遂行にさえ影響が出ていることは承知の通りである。
この間、JR東日本においては、シニア外注化を幕張支部を中心とした現場からの闘いによって唯一阻止し続けてきた。しかし、千葉支社は、車両技術部門では、ほとんど手をつけることができなかった検修関係業務の外注化について、6月27日、京葉車両センターの車輪削正業務の委託提案を行ってきた。
これは検修・構内業務の外注化攻撃の先駆けだ!
この提案を受けて、動労千葉は申25号を7月10日に発出し、車輪削正業務の委託が、検修・構内業務の全面的外注化に向けた攻撃そのものであり、到底容認できないものであることを明確にし、提案の撤回を求めて闘いに立ちあがっている。
周期延伸で削正業務量が増大している!
この間、規制緩和政策の推進により、あらゆる保守部門で検査周期の延伸が強行されている。実際、車輪削正業務においても周期延伸によって、以前は16万qで行っていた削正業務が、27万qになったことによって、逆に作業量が増えている実態が現場から報告されている。とりわけ新系列車両ではフランジが直立摩耗(※曲線を走行することによりフランジ角度が直角近くになること。脱線の危険がある)で車両基地に入ってくるため、1回の車輪削正では足りず、何回も削らなくてはならない。具体的にいえば、255系TC車では1回のところ削正基準まで2回、M車は2回のところ3回まで削らなければならない状況となっている。
削正業務量の増大は、作業員にとっても精密な作業を要求されるために緊張度はいやがうえにも増す。
また、それゆえに削正によって発生する切粉(きりこ=車輪削正時に発生する車輪の切り屑。写真参照)が以前よりも増えている状況だ。実際、この間、幕張車両センターの車輪削正業務では、周期延伸の弊害によって、傷害事故が発生している。
危険と隣り合わせの削正作業の外注化は重大事故に直結する!
切粉の拡大図。切り口は非常に鋭利 |
車輪削正業務は、常に傷害事故と隣り合わせの危険な作業であり、そのため業務に精通した検修要員が専門的に担当してきたものだ。
それでも傷害事故が発生している現実を千葉支社はあまりにも軽視しているのではないか。これこそ安全無視の実態を如実に示している。
この間発生している削正業務での傷害事故は次の通りだ。
一件は、車輪削正の仕上げのためのチップを交換する際、引掻棒(鉄の長い棒)で周辺の切粉の除去を行ったところ、一部の切粉が機械に挟まっていたため、(厚手の手袋を着用していた)手で除去を試みたが除去できず、手を引いたところ、別の切粉に左手人差し指部分があたり、受傷(4針縫う切り傷)している。
もう一件は、211系の3軸目を削正中に、切粉(5〜6b位のもの)が、背後の見えないところから手袋内に進入し、右手甲に火傷を負っている。
両件とも、休業などには至らなかったものの、これ自体重大な障害事故だといわなければならない。すべて周期の延伸に伴って、直立摩耗が増大して何回も車輪を削らなければならなくなっているなど、削正作業量が増大していることに起因している。削正工程期日に則って行うことは強制されるが、削正機械のスピードを上げれば切粉が飛んでくるのだ。誰がこのようなことを強制しているのか? 根本的問題は、JR東日本の車輪の直立摩耗を発生させているコスト削減と営利優先、安全無視の姿にあるといわなければならない。
このように車輪の削正業務は、傷害事故と隣り合わせの作業であり、精密な作業を行うための知識と緊張感を伴うものだ。徹底したコスト削減と効率化の追求という名目のうえにたつ外注化攻撃、それを千葉支社は車輪削正業務から着手しようとしている。しかし業務の実態は例に挙げた通り危険を伴うものだ。決して外注作業に置き換えられるものではない。過去においても指や手を切断するという重大傷害事故
が発生している業務なのだ。現在でさえ、背後から切粉が飛んできて受傷しているような職種だ。
安全無視のJR東日本の姿勢をわれわれは徹底して糾弾する。京葉車両センターの車輪転削業務の委託を即時撤回しろ。