運転保安要求(申11)、線路状態調査(申3)で千葉支社と交渉
運転保安確立へ、安全運転行動貫徹!06春闘ストライキを闘いぬこう!
2月23日、24日の両日、千葉支社において、尼崎事故及び羽越線事故等に踏まえた運転保安要求申11号及び、昨年動労千葉が実施した「線路状態調査」に基づく申3号に関する団体交渉が行われた。(団交での回答文書については、「06春闘職場討議資料bQ」で各支部に配付したので、参照してください)
申11号に関する交渉
【運転取り扱い関係】
NEX130`運転は危険だ!
●スピードアップ、NEXの130キロ運転を中止すること。
この間の尼崎事故や羽越線事故、そして多発するレール破断や異常摩耗等全ての根底にはスピードアップの問題があることはあきらかだ。羽越線においても以前は95キロ運転であったものが120キロ運転となり、猛吹雪の中列車を運転させたために大惨事を引き起こした。
こうした状況にもかかわらず在来線での130キロ運転が未だに行われている。とくに、千葉ではNEXが最大の問題になっている。NEXの運転速度は次のとおりだ。
東京〜錦糸町間 100q/h
錦糸町〜千葉間 130q/h
千葉 〜 成田間 120q/h
成田 〜 空港間 130q/h
しかも、東京〜成田空港間を53分で走行するには、錦糸町を過ぎた後は定速スイッチを入れっぱなしにして130q/h運転を維持しなければならない状況だ。その間には次から次にやってくる信号を喚呼し、標識類を確認し、曲線での制限速度に対してブレーキを扱い、その後直ぐにスピードを最高速まで上げ、そして線路状況はもちろん駅での乗客の動向にも注意しながら高速で通過しなければならないのだ。
このような運転を強いられている状況に対して千葉支社は、「列車の試験内容、法令等に基づいているので、安全を確認している」「130q/h運転でも安全は保たれると教育している」「羽越線の脱線は調査中」との回答を行うのみで、真剣に安全を確立しようとの姿勢は全く見られない。
NEXの130q/h運転は絶対やめるべきだ。
懸垂式停目改善、停目の統一を!
●懸垂式停目を改善し、停目の整理・統合を行うこと。
停止目標が乱立している状況に対して、現場では大きな問題になっている。とくに、183系特急用に要求していた懸垂式停目がこの間設置されているが、183系に替わって導入された257系では、運転台が低く、サンバイザーもあって確認できない箇所がある。とくに千葉駅7番線では、下り方から進入した場合、右側の屋根下に停目が設置されていて、運転台の左側窓に顔を近づけ、停目近くにならないと分からないほど見えない。
これに対して千葉支社は、「183系の時に要求があってつけた。列車が変わって見えなくなるとは思わなかった」「本当に見えないですか」などと回答する始末だ。
列車よっては視界も変わり、停目をどこに配置するのかを真剣に検討しなければならないはずだが、そうしたこともまともに考えられない会社になってしまったということだ。
救援列車は伝令法以外行わない
●伝令法によらず救援列車を運用する取扱いは行わないこと。
昨年5月に我孫子線で発生した車両故障に関して、千葉支社が伝令法によらず常用閉そくのまま救援列車を発車させ、途中の閉そく信号機では閉そく指示運転を行い列車を救援するという事態が派生した。これは、規程の解釈を大きく逸脱するものであることから、今後このような取り扱いを行わないように求めてきた。今回改めて要求したことに対して千葉支社は「会社としても反省する点があった」「本社で今後の取り扱いを討議しているが、千葉支社としては、同様の事象が発生した場合、新たな取扱いの訓練が行われていないので、閉そく指示運転による救援は行わないよう指示している」との回答を行ってきた。本社でどのような検討行っているかは分からないとしたが、結局現在の規程では伝令法しかできないことがより明らかとなった。
【解明要求】
閉そく指示運転でレール破断箇所を通過
●1月7日のレール破断時に閉そく指示運転で列車を通過させた問題について
1月7日、稲毛〜西千葉間でのレール破断発生時、信号が停止と進行を繰り返している状況の中で、閉そく指示運転によりレール破断箇所を列車が通過するという事態が発生した。経過の概略は次のとおりだ。
8時3分 642B運転士から進行と停止現示繰り返しの一報
同7分 信号機故障と判断、同列車に閉そく指示運転を指示
同13分 622Cに閉そく指示運転を指示
同52分 破断発見、抑止手配
9時30分 応急金具設置、徐行
12時26分 継ぎ目板取付終了
同34分 運転再開
運転士からの報告を受けて4分後に「信号機故障と判断」しているが、施設や信通が現場に到着して発見するまで約50分かかっており、その間は原因が分からないはずだ。こうした中でなぜ閉そく指示運転が指示されたのか千葉支社を追及した。
千葉支社は、「指令は、信号機故障と判断して、閉そく指示運転を指示した」「西千葉に到着した運転士からは『信号機、レールに以上は見られなかった』との報告がされている」「規程上信号機の故障と判断したのは間違いではない」との回答を繰り返した。
しかし、信号機が進行と停止を繰り返していることが運転士から報告され、軌道短絡を想定して施設や信通からも派遣されている。しかも施設、信通からの確認もない中で「故障」と判断する根拠が何かを質すと「・・・」と答えることができない状況だ。そして信通に「今回の事象は、信号機故障か」と改めて確認すると「信号機故障ではない」と明言するのだ。では指令は何に基づいて「信号機故障」と判断したのかということだ。
結局組合側からの指摘に対して「組合側の指摘は理解できる」「信号機に関する確認を行う前に列車を通したことについて、会社としても疑問がある。今後会社内の安全推進委員会で組合側の指摘を検討する」との回答が行われた。
回送列車のまま運用は行わない
●成東〜佐倉間において、回送列車をそのまま各駅停車として運用させた問題について
昨年12月19日、成東〜佐倉間において、回1016Mにたいして、回送列車のまま列番変更も行わずに各駅停車として客扱いを行わせるという事態が発生した。これについて、回送列車のまま客扱いができる規程上の根拠を千葉支社に質した。
千葉支社からは、「『回』が付けば客扱いを行わない列車である」「今後は、回送列車のまま客扱いを行わないように指令を指導した」との回答が行われ、今回の運用が間違っていたことをが明らかとなった。
一方で千葉支社は、「他列車の遅れ等により、乗客の救済を行うことも含めて、列番を変更し、臨時として運用することもある」との考え方を示してきた。
また、今回のような事態になった理由を質すと、「時間の関係で、一刻も早く出したいとの意識があり、回送のまま出してしまった」との回答であった。
しかしこれは重大な問題だ。早く列車を出したいから何でもできるという考え方の行き着く先は、尼崎事故であり、羽越線事故だということだ。改めて警鐘を乱打しなければならない状況だ。
●内房線・九重駅での誤出発発生の可能性について
この間、内房線・九重駅において、5両編成の特急列車に対して誤出発が働く可能性があるとの指摘がされていることについて、千葉支社に改善を求めた。
千葉支社は、「04年10月ダイ改以前にも同様の事象があるということで、時素を11秒から20秒に延長している」との回答であった。
しかし、時素が20秒に延長されていたとしても、九重駅の場合、停止信号に向かって進行するため、速度は25q/h以下と指導されているため、速度を相当落として進むことになる。そのため、設けた時素では足りずに途中で誤出発が発生する可能性がある。
改めて時素を確認し、時素を延長することを求めた。
●209系車両でドア開扉後、車掌スイッチを扱う以前にドアが閉扉する事象が発生している問題について
この間、209系車両において、ドアを開扉した後、車掌がスイッチで閉扉する以前にドアが閉まるという重大事態が発生していることについて、原因の解明及び対策を求めた。
千葉支社の回答は、「投入後10年位になるが、車掌スイッチが経年劣化し、グリスに粉塵等が付着し、動作する部分が個渋したため、スイッチがオンの状態になってしまい、途中で閉扉した」「すでに昨年11月までに全ての車掌スイッチを交換した」との回答が行われた。
209系車両の車掌スイッチは、現場での検査では点検しない部分となっているが、そのために劣化=車両故障として発生したということだ。結局、コストダウンを進める中で、起こるべくして起こった車両故障だと言わなければならない。
動労千葉の「運転保安要求」(申11号)に関する交渉は、今後、「保線・レール・設備関係」「異常気象関係」「勤務・乗務割交番・訓練関係」「技術継承関係」「不当労働行為撤廃要求」等が行われる予定となっている。
申3号に関する交渉
動労千葉乗務員分科会が昨年行った「線路状態調査」では、線路関係63件、信号機関係25件、各標識関係41件、その他として21件、合計150件もの改善要求が報告された。これに基づいて動労千葉は千葉支社に改善を求めてきた。
しかし千葉支社は、調査等に時間がかかるとの理由で現在まで交渉が延々とのばされる状況となった。これ自体、会社側の緩慢な対応だと言わなければならない。
千葉支社の回答は、「06春闘職場討議資料」として各職場に配付されているので参照していただきたい。ここでは、特に問題となった部分について交渉の概要を掲載した。
なお、動労千葉の改善要求150項目に対して、82項目について補修及び清掃、除草等を実施したとしている。しかし回答では「乗り心地向上のために補修を実施した」などと回答するなど、安全とは関係ないとの姿勢だ。またそれ以外には「特に異常は認められない」「基準値内」「検査の結果問題ない」等の回答が繰り返されている状況だ。
改めて06春闘勝利!運転保安確立に向けて運転保安闘争ーストライキを闘おう!
北浦橋梁では上下左右の動揺
●鹿島線・北浦橋梁のレールが蛇行し、上下左右の動揺が発生している問題について
北浦橋梁については、昨年以来レールが蛇行している問題を千葉支社に突き付けて改善を求めてきたが、未だに全ての補修が終わっているわけではない。
千葉支社は、「会社としても北浦橋梁は良い線路だとは思っていない」「揺れの大きなところは、枕木の位置を直し、レールの通りが真っ直ぐになるように補修を続けている」「来年度も補修を行う予定で進めている」との回答が行われた。
北浦橋梁の場合、直前までのレールと比較して蛇行しているのが見て直ぐに分かるほどで、列車が左右に大きく揺れる状況だ。さらに、枕木も古くて上下の動揺も大きく、列車全体としては上下左右に大きくうねるような状態の中を運転しているのだ。このように危険な箇所のレールが未だに放置されていること自体問題だ。早急にレール交換等を実施し、安心して列車を運行できる状態にするべきだ。
また、内房線・岩富トンネルについても、トンネルの入口と出口は工事が行われて動揺は一定収まっているが、真ん中の部分は未だに補修されていない状況だ。
千葉支社は「これからも工事を行う予定になっている」との回答を行ってきた。
倒木対策と車両接触限界遵守を
●信号・標識等が草木により確認できない問題及び、車両接触限界について
信号機の汚れについては、信通で年1回定期的に電球を交換しその時点でレンズの掃除等を行っているとの回答が行われた。
一方、信号や各標識が草木により確認しずらくなっている問題については、除草や倒木対策を強化するように要求している。とくに、1月の降雪時には、竹に雪が付着して線路内に張り出して列車に接触する事態まで発生している。車両接触限界内に障害物がある場合は列車の走行ができないはずだが、「25q/hなら行けますか」等と速度を落として列車を運行させているが実態だ。もしガラスが割れてけが人でも出たら全て運転士の責任にされてしまう。
こうしたことから、車両接触限界内に草木が入らない対策と、指令の指示の厳格な取り扱いを求めた。
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