大きな地平切り開いた安全運転行動3ヶ月間の闘い
われわれは、8月31日に開催した支部代表者会議で、この間の実現した大きな成果にふまえ、尼崎事故以降の安全運転行動を一旦集約し、新たな闘いにたつことを確認した。かちとった成果への確信を固め、新たな闘いを開始しよう。
尼崎事故の本質
107名の乗客・乗員の生命を一瞬にして奪った尼崎事故は、国鉄分割・民営化という犯罪的政策、安全分野にまで及んだ規制緩和という犯罪的政策の必然的帰結として引き起こされたものであった。
それは同時に、今、社会全体を覆うようにおし進められている民営化-労組破壊攻撃によって、労働者の団結が破壊され、資本の論理-競争原理が暴走したときに何がもたらされるのかを衝撃的につきつけた大惨事であり、けしてJRだけの問題ととらえることのできないことであった。
尼崎事故がつきつけた課題
つまり、尼崎事故によって突きつけられたことは、この恐るべき現実に対し、労働組合が何を為すのかであった。
それは、あの大惨事を目のあたりにしながら、国労も含め、何ひとつ行動を起こすことができないという、JRにおける労働運動の否定的な現状にあって、われわれも、その同列になってしまうのか否か、まさに動労千葉自身が問われた問題であった。
しかも動労千葉にとって「闘いなくして安全なし」のスローガンに象徴される運転保安確立の闘いは、まさに原点をなす課題であり、団結の中心軸となって、動労千葉が動労千葉である土台をなすものであった。
さらに、尼崎事故が分割・民営化の結果であり、「安全の崩壊」というかたちをとってその破産を示すものでありながら、それと闘うことができなければ、民営化とその後に起きた一切の事態を容認するに等しいことになる。
3ヵ月にわたる闘いを貫徹
われわれは、こうした認識にたって事故から一ヵ月を期して安全運転行動に突入した。
二度と尼崎事故を起こすまいというこの行動に対し当局は「違法行為だ」「違法争議だ」と叫びたて、7月19日には不当処分を発令するなど、あらゆる手段を使って闘いを圧殺しようとした。
われわれは「例え処分されようと、これはゆずることのできない闘いである」ことを確認し、処分策動や、監視・現認体制と対決して団結を守り、闘争体制を堅持しぬいて、3ヵ月余りにわたる闘いを貫徹した。JR体制と対決し、その矛盾をえぐりだして闘いぬいた安全運転行動は、動労千葉の長い闘いの歴史のなかでも、新たな地平を切り開く画期的な闘いであったと総括することができる。
実現した具体的成果
レール交換、ATS設置
また、この闘いは、運転保安確立に向けた具体的な成果を実現した。
第一の成果は、レール破断の頻発という非常事態に対し、組織の総力をあげて闘いぬいた2年間にわたる闘いの結実として、数百箇所、総計22qに及ぶレール交換や、東浪見へのATS地上子の設置を実現したことである。
これは、かつて船橋事故闘争や線路闘争で切り開いた地平を引継ぎ、発展させる大きな成果である。
われわれは、この5年間の闘いで、検修業務の全面的な外注化攻撃を千葉支社だけは今も阻止し続けるという大きな成果を実現している。またそれによって強制配転者の検修区復帰をかちとり、そして今年、シニア制度による再雇用からの差別攻撃もついに打破した。そして今次闘争で新たな成果を積み上げた。
矛盾をついて、ハラをすえて闘えば、JR体制を揺るがすことができることを具体的に示したのだ。その点でも安全運転行動の勝利は、非常に大きな成果であることを総括できる。
動労千葉が見直された
第二の成果は、われわれの予想をこえた支持と反響の声が寄せられたことである。闘いの開始から今日まで、何十通という支持・支援のメールが寄せられ、支援する会を中心としてこれまで20数回に渡って行なわれている沿線でのビラまきに対しても、ものすごい反応が寄せられ、しかも、それがJRや国土交通省に対し抗議するという行動になり、市川駅のレール問題では、国土交通省が千葉支社を指導せざるを得なくなるという事態に至っている。
また、労働運動の分野でも、動労千葉の闘いが見直される状況になっている。7・15の1047名集会が、水面下での動労千葉排除策動というこの間の現実を打ち破って開催された大きなきっかけも安全運転行動であった。
こうした状況の背景にあるのは、単に尼崎事故というだけでなく、労働者が置かれた我慢のならない現実に対する怒りの声が巷に渦巻いており、鮮明な闘いの提起を求めているということでもある。これは労働運動の再生をめざすこれからの闘いにとって貴重な財産となるものである。
組織拡大を実現!
第三の成果は、この闘いの渦中で、組織拡大−平成採の獲得を実現したことだ。今次闘争は、現場には怒りの声がうずまいていること、自らの闘いをもって、労働組合としての正しい道を示すことこそが、われわれの最大の課題である組織拡大の展望をきり開く道であることを鮮明に示した。
闘いの原点を再確認
第四の成果は、動労千葉自身にとって、今次闘争が、反合・運転保安闘争に込めてきたわれわれの原点を全組合員が再確認・再認識する大切なきっかけとなったことである。今次安全運転行動を通して、処分策動や監視・現認体制と対決して闘いぬくことによって、われわれ自身が決意を新たにし、団結を強化することができたのも重要な成果であった。
資本は常に安全を無視・軽視するものだ。労働者の抵抗や労働組合の闘いが「安全」を企業に強制する唯一の手段である。しかも運転保安闘争は365日の闘いだ。だから、運転保安確立に向けた闘いは、資本と最も鋭く対決する闘いとならざるを得ないし、労働者・労働組合にとっても、常に目的意識的に怒りや感性を研ぎ澄まさなければいけない課題である。一方これは、資本にとって最大の弱点でもある。
「集約」は新たな闘いの始まり
安全運転闘争は大きな勝利をかちとった。これは、困難な状況のなか、長期にわたる闘いを一糸乱れず貫徹した組合員の奮闘と団結によってかちとられた成果だ。本部は全組合員の不屈の闘いに心から敬意を表しつつ、これまでの闘いを一旦集約することを決定した。
言うまでなく、再び尼崎事故を許さないための闘いは未だ決着したわけではない。JRの現状は、いつ再び第二の尼崎事故が起きても不思議ではない状況にあり、われわれの前には、今も多くの課題が残されている。事故−安全問題に対し、真剣に闘えるか否かは、労働組合の死か再生かのかかった課題である。今次闘争の勝利は、闘いの終わりではなく、運転保安確立-JR体制打倒に向けた闘いの始まりである。
第二次安全運転行動へ
従ってわれわれは、9月1日をもってこれまでの闘いを一旦集約するとともに、9月2日以降当分の間、次のとおり、第二次安全運転行動に突入する。
@ 無理な回復運転はしない。
A 制限速度を絶対に遵守する。
B 運転中に危険と認めたときは必ず列車を止め、あるいは速度を落とす。
C 遅れは必ず報告する。(運転状況報告書については組合にも一部提出する)
D 無線通告の受領は、必ず停車中に行なう東浪見駅(上り)45qポイントについては、ATS地上子設置までの間、要注意箇所として、安全運転に努めること。
E 無理な運転時分が設定されている区間・列車、振動の激しい箇所、速度差の大きな曲線・ポイント等運転保安上危険と思われる箇所、車両故障等については、安全運転に努めるとともに、すべて組合に報告すること。
F 体調不良のときは必ず当直助役に報告し、指導員の添乗を要請すること |
併せてわれわれは、県内各労組に広く呼びかけ、次のとおり「JR尼崎事故弾劾、動労千葉安全運転闘争勝利、1047名解雇撤回、10・19 労働者総決起集会」を開催することを決定した。
【日時】2005年10月19日 18時30分
【場所】千葉市民会館・小ホール
《闘いの経過》
5月25日 尼崎事故1ヵ月を期して安全運 転行動に突入。
当局はこれを「違法行為」「違法争議」として、 組合に中止・厳正な対処を申し入れ、点呼時の処分通告、運転台に乗り込んでの監視・現認体 制を開始。
動労千葉は、例え処分されようと、これはわれわれの原点に係わる絶対にゆずることのできない闘いであることを確認。
6月6日 千葉支社は、総武快速線津田沼〜幕張間のレール交換工事を実施。これを受けて、安全運転行動のうち、総武快速線の安全運転については6月7日をもって集約することを確認。
6月7日 千葉転で、携帯電話を理由とした懲戒解雇。
7月1月 今年度中に、千葉支社管内で、総計約20qのレール交換を実施することを確認。(その後の交渉では、上半期10q/下半期12q、 計22qのレール交換を行なうことを確認)
7月15日 再び尼崎事故を許すな!1047名闘争勝利、全国総決起集会
7月19日〜 千葉支社は、本部執行部8名に不当処分(厳重注意)を発令 → 闘いの継続を確認。
7月21日 不当処分粉砕、安全運転行動貫徹、組織拡大 動労千葉総決起集会
7月28日 千葉支社は、各職場に「警告書」を掲出。───「自己の本分を守り、会社の命令に服せ」という異常極まりない内容。
8月3日 千葉支社は団交で、無線通告問題について、必ず停車して受領するよう指導してきたことを認める。
8月18日 千葉支社「曲線等の速度超過対策及びATS-Pの整備拡大」を提案。内容は、
@ 曲線の速度制限に対するATSの地上子設置。
・ 国土交通省基準で義務付 けられたもの(3箇所)/06年2月までに実施
・ JR東日本基準で設置するもの(61箇所)/06年4月〜09年度末までに実施
A 以上に追加して、東浪見駅ポイントに対するATS−SN地上子(速度照査)設置。/06年2月までに実施。
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