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9月4日 集中豪雨により成田線・酒々井駅において、レール面をはるかに超えて床下機器まで冠水するという事態が発生
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前頭のスカート部分が水圧のために完全に変形してしまっている |
9月4日、20時16分頃、下り1475Mが80q/hで走行していたところ、成田線酒々井駅手前において集中豪雨のため駅構内が完全に冠水しているのに気づいてブレーキをかけたが間に合わず、そのまま冠水しているホームに進入するという事態が発生した。
列車は、前頭のスカート部分が水圧のため【写真@】のように完全に変形してしまった。こうした状況がしめすように、レール面を完全に超えるほど雨水が溜まり、運転していても水をかき分けながら進行している状況だったというのだ。
運転士からは、レール面が運転台から確認できないなど、冠水の状況について指令に連絡したが、その後指令からは、「成田まで35q/hで運転せよ」との指示が行われた。このためノッチを入れ、電車が数十メートル動いたところでOCRが動作し、リセットを行って改めて起動したが架線停電となり、その後検査により自力運転不能と判断され、最終的には成田駅からの救援列車により幕張電車区に回送となっている。
今回の場合、相当の集中豪雨で、同区間を7分前の20時8分に通過した特急列車では冠水の状況は報告されていない。しかし、その後1475M到着時には冠水状況になっていた。この場合、冠水を発見したがブレーキが間に合わず、そのままホームに侵入してしまったことは不可抗力で問題にはならない。しかしその後の指令の指示には問題があると言わなければならない。
運転士からは、指令に対してレール面が見えないとの状況が報告されているのだ。しかし、指令は、冠水の詳しい状況について駅等を手配して調べさせるようなことは全く行っていないのだ。冠水した場合には、列車やレール、動床の状況等について調べ、安全を確認し、その上で運休にするのかどうかを判断しなければならないはずだ。
制御器等も完全に水につかってしまい、遮断機などは完全に溶損している状況だった |
しかも今回の場合、検査が到着して線路に降りて点検を行ったところ、腰まで水につかってしまい、車体下に設置されている制御器等も完全に水につかってしまったのだ。
これでは起動した途端に短絡してしまう。幕張電車区で制御器等のフタを開けたところ【写真A】のとおり水がしたたり落ち、遮断機などは完全に溶損している状況だったというのだ。
こうした状況になっているにもかかわらず指令からは「成田35q/hで運転」と指示が一方的に出されているのだ。
さらに、駅においても無茶苦茶な合理化により極端に少ない要員状況の中で、大雨で線路が冠水しても分からない、分かったとしても出札や改札を離れることもできない状況だ。また、酒々井駅の近くに大きなマンションが建設され、それ以降水の流れが変わったと言われているが、保線等施設関係のベテランが直営でいたならばこうした事態にならずにすんだ可能性もあるのだ。
今回の場合、指令が酒々井駅の冠水状況を完全に把握せずに指示を出したために列車運行にに重大な影響を与えてしまった。また、この間の営業合理化や設備部門の外注化によりJR直営の技術力が維持されていないということも重大な原因になっていることは明らかだ。
千葉支社は、何故このような指示が行われたのか、列車を運休する手配をなぜ行わなかったのかを明らかにせよ。また、酒々井駅の冠水対策について具体的な対策案を示せ。
運転保安確立に向けて闘いぬこう!