JR貨物が今年度から3年計画で始めた「ニューチャレンジ21」は、これまで合理化に次ぐ合理化を強行してきたJR貨物の職場を、これまでのあり方そのものすらくつがえす激しいものになろうとしている。この秋の貨物における闘いは、この「ニューチャレンジ21」をめぐって激烈な闘いになることは不可避な状況にある。職場からの団結をうちかため、闘いに立ち上がろう。
2000人削減と「成果主義賃金」導入許すな
「ニューチャレンジ21」の中心は、人事・賃金制度の白紙的見直しという形でだされた総額人件費引き下げ・賃金抑制攻撃であり、社員数で2000人削減という大合理化攻撃である。
人事・賃金制度の見直しは、これまでの年功序列賃金からのを廃止し「成果主義賃金」を導入するという大攻撃である。合わせて乗務員手当など諸手当の削減も行なおうとしている。これらの細部は未だ明らかにされてはないが、賃金制度の見直しが「来年4月実施」を明らかにしていることから、時期的には切羽詰まっているといえる。
基地の統廃合と業務の全面的な外注化攻撃
もうひとつの2000人削減合理化は、中心に鉄道部門1000人合理化による大規模な基地の統廃合と業務の全面的な外注化がある。これまでも「新フレイト21」による合理化の連続で外注化は駅・検修はおろか構内入換運転士の外注化もはじまっている。この現状のうえに、さらに1000人の合理化は、業務の全面的な外注化を導入する以外にとるべき方策はなくなっている。
これはさらに乗務員基地の統廃合に拍車をかけるものになっている。すでに全国にある31の乗務員基地を半減すると公言し、主幹・補助・サテライトに区分して、基地の統廃合の検討を始めている。東京周辺では、主幹基地は北向け(隅田川駅発)と南向け(東京タ駅発)の2つがあればいいなどとして、関東すべての基地を見直しの対象にしている。また、この中で指導員や内勤のいない乗務員だけの基地や、乗務員が直接貨物駅に出勤してそこから乗務を開始するという「現地出退勤」の導入さえ行なおうとしている。
こうしてかぎりなく安全が犠牲にされるなかで、職場で働く労働者に負担がおしつけられながら鉄道部門の1000人削減が強行されようとしているのが「ニューチャレンジ21」なのだ。
さらに60才定年退職者のJR本体での再雇用である嘱託社員制度による低賃金雇用による分断や、要員不足が明らかにもかかわらず早期退職制度による首切り、転籍制度による首切りなど、まさにふたたび職場を「去るも地獄、残るも地獄」の労働地獄に突き落とそうとするものだ。こうした分割・民営化の再現、しかもよりギリギリに追い詰められた形での再現になろうとしている。こんな労働者に犠牲を転嫁した合理化は許すことができない。この秋の闘いで根底から吹き飛ばそう。
「ニューチャレンジ21」を率先推進する日貨労
こうした一切を労働者に犠牲を転嫁した攻撃を許しているのが日貨労である。日貨労は「ニューチャレンジ21」の細部がまだ明らかでない段階から会社と謀議をかわし、これが公表されるや、この実施にむけた「覚書」をかわした。まさに労使共同宣言そのものだ。こうして会社にフリーハンドを与え、「ニュー
チャレンジ21」の率先推進者としての姿をあらわにした。しかし一方で合理化攻撃や賃金抑制攻撃は、組合を問わず職場の労働者を直撃していることにかわりはない。過日開催された日貨労の定期全国大会であいさつした貨物会社伊藤社長にたいして、会場の代議員・傍聴者から痛切なヤジがあびせられたと業界紙が報じていたが、日貨労・革マルの思惑がどうであれ、「ニューチャレンジ21」は職場を激烈な状況にたたき込まざるをえないものとなることは必至である。
これを日貨労の他労組攻撃(日貨労でなければ雇用は守られない、というデタラメ)を許すことなく、「ニューチャレンジ21」弾劾の声で職場をおおいつくさなければならない。そうした闘いに総決起しよう。
社会のあり方を根本から変える攻撃と一体
貨物会社がこれまで通りではやっていけないと自覚し、「ニューチャレンジ21」をもって貨物会社のあり方を根本から変える決断をおこなったのは、日本の資本主義体制の危機が激化するなかで小泉構造改革にみられる資本主義の生き残りをかけた国のあり方を根本から変える動きと貨物会社も無縁ではいられないからだ。
分割・民営化の矛盾が貨物に集中されるなかで、貨物会社の存在そのものが問われ、なんとしてもその突破をかけて、たとえ労働者にどんな犠牲が集中されようが、これ以外にないところまで追い込まれたところから、この攻撃は始まっている。これは日本の資本主義総体が直面している問題であり、国家体制の反動的さらには反労働者的再編、すなわち戦争と大失業攻撃そのものだということができる。第二の分割・民営化攻撃は、こうした激しさをもつ攻撃であることしっかりと見据え、この秋からの闘いに総決起しよう。
貨物会社の職場や労働条件をめぐる問題は、「ニューチャレンジ21」や有事法制など、労働者の存亡のかかった闘いとなっていく。職場の団結をうちかためて闘いに総決起しよう。
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