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  「シニア制度」地労委で勝利命令 

再雇用差別は不当労働行為!

 7月19日、千葉地労委は「シニア制度差別事件」の勝利命令を交付した。
 JR退職後の「再雇用」から排除するという卑劣な攻撃にたち向かい、申立人としてその闘い先頭にたって下さった、浅野修一さん、三平勲さん、羽鳥喬さん、伊藤詔一さん、斎藤勇さん、前田八束さん、後藤光良さんの決意は、動労千葉全体にとって大きな勝利の第一歩をきりひらいた。
 この勝利命令をステップに、シニア制度による定年後の再雇用からの卑劣な排除、そしてこれと一体となった業務の全面的な外注化攻撃を粉砕するために全組合員の力を結集して闘おう。

命令の主文は次のとおりである。

@被申立人(JR東日本)は、申立人動労千葉に所属する者に対し、再雇用の機会を提供する制度の運用において、申込みの機会の提供、申込みの受理、面接、指導及び・職業紹介等を行なうにあたり、同組合に所属していることを理由に差別してはならない。
A被申立人(JR東日本)は、申立人浅野修一、三平勲、羽鳥喬、伊藤詔一、斎藤勇、前田八束、及び後藤光良に対し、再雇用の機会を提供する制度に準じて、再雇用の機会の提供を行なわなければならない。なお、その具体的な履行については、申立人と被申立人において協議の上決定しなければならない。

 

第二の分割・民営化粉砕への大きな一歩
 これは実に大きな意味をもつ勝利だ。JR東日本は、「ニューフロンティア21」を発表し、「第二の分割・民営化」と呼ぶべき攻撃を開始しようとしているが、その攻撃の核心をなし、土台にすえられたのが、シニア制度と業務の全面的な外注化である。
 JR東日本は、検修職場をはじめ、保線・電力・信通、そして駅等の全面的な外注化を組合に呑ませ、また退職者を超低賃金で動員することを通して、全面的な外注化への道筋をつけようとしている。 これを突破口として、徹底した優勝劣敗の論理を労働者に強制し、鉄道会社としてのあり方を根本から覆すような大合理化を強行しようというのだ。そしてそれを、その後につづく転籍=首切り・賃下げ、終身雇用制と年功制賃金解体への導水路としようとしているのである。
 その意味でこの命令は、5年計画として遂行されようとしているニューフロンティア21計画全体を揺るがすような意味をもつものである。

労働運動全体に波紋を広げる勝利
 さらに言えば、JR東日本のシニア制度のような、年金制度の改悪を徹底して悪用し、「年金が満額くるようになるまではどんな条件だろうと働かざるを得ない」という切実な思いにつけこんで、それを人件費の大幅な削減や首切り合理化、差別・選別、組合潰し、終身雇用制解体の手段にするという攻撃が、今、全企業・全社会的に吹き荒れようとしている。
 例えば、NTTのような業務を全面的に外注化し、51歳でアウトソーシング会社に転籍−賃金は30%ダウンという攻撃も、まさに極限的としか言い様がないが、その本質はJRのシニア制度−業務外注化攻撃と同じものだ。
 今回の命令は、労働組合が毅然として闘えばこのような攻撃をはね返す突破口は必ず開けるのだということを示したという点でも、そのもつ意味は画期的だと言える。
 われわれは、年頭からの闘いのなかで、千葉支社だけが、検修・構内外注化提案できない状況に追込むという、大きな一歩をきりひらき、そして地労委闘争によってこの勝利の地平をさらにもう一歩おしあげたのである。

東労組の犯罪性を浮きぼりにする命令
 さらにこの命令は、会社の意のままに、シニア制度−業務外注化攻撃を全面容認した東労組・革マルの犯罪性を改めて明らかにしている。労働組合が認めなければこのような攻撃は絶対にできないこと
だったのだ。東労組・革マルは、結託体制を何とか維持し、自らが延命するために、JRに働く全ての労働者を会社に売り渡したのである。
 今NTTで起きていることも全く同じことだ。組合が会社提案を丸呑みしてしまうことによって、多くの労働者が、自ら泣く泣く退職届けを書かざるを得ない状況に追いつめられ、子会社への転籍にかりたてられているのである。こんなことも、組合が反対の声をあげれば絶対にできないことだったのだ。
 JRでもこれと同じ事態がもう目の前まで迫っている。今こそこの地労委命令を武器に、JR東日本と東労組・革マルの結託体制打倒の闘いに起ちあがろう。

シニア制度差別事件地労委判決に関する新聞報道(下記コピー参照)

シニア制度差別事件地労委 命令書(骨子)

再雇用機会提供制度を労働協約で定めることの合理性について

再雇用機会提供制度は、定年まで勤務した場合の労働条件の一部であるので、退職者に一律に適用されることが期待されるものである。
 高齢者等の雇用の安定等に関する法律における事業主の義務も、この趣旨から規定されているが、努力規定にとどまること等から、一律の制度とすべきであると言うことはできない。しかし、シニア協定の締結が絶対の必要条件とは言い難く、組合未加入者とシニア協定未締結の申立人組合員の取扱いを異にしている根拠が不明であり、不当労働行為意志の存在を疑わざるを得ない。
 また、JR東日本は、再雇用機会提供制度を就業規則に規定することは不可能であると主張しているが、JR東日本が行なう再雇用機会提供制度に関する事項をその就業規則に規定することは不可能であるということはできず、この点からも不当労働行為意志の存在を疑わざるを得ない。  
 したがって、労働協約の締結に固執し再雇用機会提供制度の適用を拒否し続けているJR東日本の対応は、協約未締結を理由に申立人組合に所属する者を不利益に取扱い、申立人組合を弱体化させようとする不当労働行為意志があると認められてもやむを得ない。 

業務委託推進条項を前提条件にすることの整合性について

 JR東日本が、再雇用機会提供制度を創設するための労働協約の締結交渉にあたり、業務委託推進条項を前提条件として提示したことについて、合理性を見出すことは困難である。
 JR東日本は、どの組合が業務委託そのものに反対し、あるいはどの組合が反対しないのか熟知しており、特に、申立人組合が業務委託そのものに反対してきた経緯から業務委託推進条項が盛り込まれた労働協約の締結を拒否するであろうことを予測し得たはずである。
 加えてJR東日本は、業務委託推進条項について、交渉の当初から説明していたと主張しているが、そのような事実は認められず、交渉態度において不誠実なものがあったと推認せざるを得ない。
 さらに、申立人組合から脱退者が出ていること、申立人組合員がグループ会社等における一般公募による雇用からも除外されている事例があることなどを総合して判断すると、JR東日本は、業務委託推進条項を前提条件として提示しかつこれに固執することにより、申立人動労千葉所属の組合員をそのことの故に又その組合活動の故に差別的な取扱いをし、同時に、これによって同労働組合員を動揺、混乱させ、同労働組合の弱体化を企図したものと推認せざるを得ない。

 

 
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