動労千葉は、5月26日に蘇我駅で発生した落雷にともなう大幅な輸送混乱に関して、6月21日、各支部代表も参加して千葉支社と団体交渉を行った。今回の落雷による輸送混乱では蘇我駅を中心にして千葉支社管内の各線区で近年にない大幅な輸送混乱となった。典型的な例では、外房線上り列車で本納から蘇我まで8時間を要し、本来21時頃に終了する勤務の運転士が、翌朝5時過ぎになってようやく勤務が終了するというような、これまででは考えられないような事態まで発生している。
本部は、こうした事態は運転保安を確保する上で重大な事態であることから、蘇我駅での落雷に伴う信号機故障復旧の問題、蘇我駅での代用手信号による運行実態、バス・タクシー代行の判断の問題、そして何よりも運転士に対する会社の対応等について千葉支社を追及してきた。
部品取り寄せで大幅な時間
落雷に伴う蘇我駅の信号機故障の復旧に関する経過は以下のとおり。(支社電気担当回答)
20時15分 |
千葉電力技術Cに出動指示(当直2名) |
35分 |
現場到着、信号機のパネル確認 |
39分 |
電力指令の指示でリセットを行なうが復旧せず。電力技術C所長、課長に出動要請。メーカーに電話で技術指示を仰ぐ。 |
21時頃 |
パネルの差し替えを行なうが復旧せず。メーカー取り寄せとする。 |
22時52分 |
メーカー到着。パネル交換、リセットを行なうが復旧せず。 |
0時過ぎ |
故障箇所が最終的に判明。パネル追加をメーカーに要請。 |
3時頃 |
故障部分のユニット到着 |
3時30分 |
復旧 |
今回の落雷について千葉支社は、「蘇我駅の信号機に雷電流が流れこんだことにより信号機の電子部品が焼損したことによるもので、予想をはるかに超えていた」と回答を行なってきた。今回の場合、蘇我駅の信号機では175ユニットの内9ユニットの故障が発見されたが、その部品が全て予備として置いていないこと、部品取り寄せには鶴見のメーカーから行なうなど、大幅な時間がかかったことが明らかになった。
今後の対策として千葉支社は、「ATOS区間では雷が入らな いように対策を行なっている(16駅)。蘇我は88年から使用しており、対策はまだできていなかった。予備ユニットの強化等をはかっていきたい」との回答を行なってきた。
手信号の要員にたったの7名?
次に運輸関係の経過は以下のとおり。(支社運輸担当回答)
20時12分 |
2143M停車 |
20分 |
支社に対策本部設置 |
54分 |
代用手信号を指示 |
21時45分 |
蘇我外房上り4920Fを出す |
22時23分 |
京葉2番2058Aを出す |
22時58分 |
1965Y収容 |
23時29分 |
4912Y外房上りに入線 |
23時50分 |
2222M内房上りに収容 |
今回の雷害による輸送混乱について千葉支社は「20時12分以降列車がストップしたため、蘇我駅を中心に駅間停車及び機外停車が多数発生した。代用手信号を行なうため地区指導センターや蘇我駅、支社の要員を含め7名体制で行なった。しかし、信号機のリセットを行なう場合、ポイントの鎖錠を解くことや、いつも現場を見ている者だけではないので、信号の確認に時間がかかった」との回答を行なってきた。
しかし、今回のように復旧の見込みが立たず、大幅に列車が混乱している状況の中で、たったの7名で蘇我駅のポイントを鎖錠し、信号を確認するなどということは到底無理なことだ。逆にいえば7名しか集まらないほど駅等を含めて合理化が行なわれているということであり、そのために輸送混乱が大幅に拡大したということだ。まさに人災としか言いようがない状況だ。これまで千葉支社は、ことある毎に「近隣の社員を呼び出して対応する」から大丈夫だと言ってきた。しかし今回の場合には、信号が故障した場合の対応として手信号による輸送の確保が行なわれることは鉄道会社としては極当たり前のことではなるが、そのための要員がたった7名しか集められなかったのだ。これで千葉支社が「大丈夫」というのはもってのほかと言わなければならない。
8時間も運転台に置かれ放し
一方、雷によりストップした列車の運転士の収容及び交代要員の送り込み等の対応について千葉支社は「運転の見込みがなければその時点で仮眠も考えられるが、今回は乗客もあったので対応できなかった。また、食事等についても駅でも休む間もないほどで、対応できなかった」との回答を行なってきた。しかし、実際には8時間も運転台に置かれっぱなしにされた千葉転の運転士もいたのだ。また、館山では、東京駅で5時間も待機させられた後、千葉から一睡もできずに列車を持たされているなど、運転保安上重大な問題も発生している。こうした事態は、これまで千葉支社が輸送混乱時には食事の手配や交代要員の送り込み等については確実に行なとの確認が、全く行なわれていないということであり、こうした千葉支社の対応については厳重に抗議を行なった。
また、この日には全体で7件の異線現示が発生していることについて千葉支社は「当日と翌日の列車が入り乱れた関係で連絡体制が取れず、混乱したのは事実である」との回答を行なってきた。これは、列車の運行を担う指令員の基本的な問題であることから重大な問題であるとの指摘を行なってきた。
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