ごまかされてはいけない!
6月13日、JR東日本が夏季手当の回答を行なった。「2.9ヵ月分、6月28日以降準備でき次第支払い」という回答であった。動労総連合は東日本、貨物とも「3.1ヵ月(55歳以上は賃金ダウン前の賃金表を基礎に支払うこと)」を要求した。
昨年夏季と比べ
0.3ヵ月上回ったものの、この回答を「成果」だとすることは断じてできない。それは回答が要求額に達していないというだけではない。問題の核心は、わずか0.3ヵ月の一時金で ごまかされ、今まさにJR東日本が強行しようとしている攻撃の本質を見失ってはいけないということだ。もしこれを「
大きな成果だ」などと宣伝する組合があるとすれば、それはすでに労働組合の資格を失っているとか言い様がない。
攻撃の本質を見すえよう!
JR東日本の当期純利益は大幅に増加し、来年3月末決算もJR発足以来最高の経常利益が見込まれている。にも係わらず、JR東日本は今春闘でベアゼロ回答を強行した。これは単に「今年の春闘はダメだった」というレベルに止まるものではない。
02春闘での経営側の構えを見れば明らかなとおり、これは戦後半世紀にわたって続いたベースアップ、年功制賃金、そしてそれと表裏一体の関係にある終身雇用制度の解体に向けた扉が一気に開け放たれたことを意味する。来年以降はベアなどという考え方はもはやもたないということであり、今度は定期昇給に手をつけるということであり、賃金制度−雇用制度そのもの抜本的な改悪が始まるということである。
JR東日本は、ニューフロンティア21で、「人事・賃金制度の見直し」を掲げ、すでにこうした攻撃に踏み出している。またシニア制度によって退職者を超低賃金労働者として動員し、かつ業務を全面的な外注化して多くの労働者を片道キップの強制出向にかりたてるという攻撃は、雇用と賃金の根本的な解体への第一歩をなすものだ。そして東労組はこうした攻撃の全てを丸呑みし、JRに働く労働者の労働条件、雇用、賃金を資本に売り渡した。
われわれは、現にこうした攻撃が開始されている状況のなかで、今回の夏季手当回答がどのような意味をもつのかを見すえなければならない。ごまかされてはいけないということだ。
「今回だけ」との回答
夏季手当が昨年より若干上のせ回答となることは、「期末手当に反映させる」とした今春闘でのベアゼロ回答の時点で半ばわかっていたことであった。
問題は「期末手当に反映させる」などという回答で、全く闘わずしてベアゼロを裏切り妥結したことにある。わずかばかりの一時金で、将来にわたる賃金制度の解体=賃金・人件費の抜本的な削減を認めてしまったのだ。
ベアや定期昇給は毎月の賃金、夏季・年末手当、退職金をはじめ、生涯の賃金に反映する期末手当の上のせなど、まさにその時だけのことだ。会社=資本にとっては、今期の利益を考えれば痛くも痒くもない。とくに、未だ賃金が低水準にある若い労働者にとっては、深刻としか言い様のない問題だ。われわれは、改めて東労組・革マルのベアゼロ裏切り妥結を怒りを込めて弾劾する。
しかも今回の夏季手当回答は、「今回の水準が今後の夏季手当の前提あるいは基準となるものではありません」としている。明確に「今回限りだ」とうたっている。会社にして見れば、ニューフロンティア21に掲げられた攻撃の全てを丸呑みしたことをほくそ笑みながら今回の回答をしているのだ。
われわれは今こそ、JR東日本がどのような攻撃を労働者に加えようとしているのか、資本の本質とは何なのか、そしてこうした状況のなかで労働組合の果たすべき役割は何なのか、何のために労働組合が存在しているのかを真剣に考えなければならない。
貨物低額回答許すな
一方JR貨物ではこの21日にも回答が予定されているが、会社は超低額回答の意志を隠そうとしていない。全力で低額回答を打破しなければならない。
一方JR総連という組織は、貨物の仲間たちが置かれた困難な状況など何ひとつ意にかえそうとしない組織だ。統一要求をして最も困難な状況に置かれているところを全体の力で打開しようともせず、「東は東、貨物などと一緒にされてはたまらない」というのだ。しかも日貨労は日貨労で、「3年間で100億円の人件費削減」を全面的に認めてしまっている。こんなものは労働組合ではない。まさに資本の奴隷に過ぎない。JR貨物の超低額回答を許すな。満額回答をかちとろう。日貨労の裏切り妥結を断じて許すな!
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