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日貨労のベアゼロ要求決定弾劾

 JR貨物、2000人首切りの「ニューチャレンジ21」提案 

鉄道部門は5000人体制に削減
 JR貨物は1月31日、今年度で終了する中期経営計画「新フレイト21」に続く新しい中期経営計画・「ニューチャレンジ21」を提案した。「ニューチャレンジ21」は社員数で現行9000人弱を3年後には7000人と、実に2000人の首切りをねらい、鉄道部門では1000人削減して5000人体制とするなど、激しいリストラ計画になっている。
 貨物会社は「新フレイト21」提案時には、「この計画が終了するころには貨物会社は黒字基調になる」などと主張していたが、それも破綻したなかで、労働者には合理化による労働強化と賃金抑制攻撃だけが襲いかかっていた。新計画は、大量退職時代が到来するなかで、よりいっそうはげしい合理化攻撃として職場に襲いかかろうとしている。
 同時にこれは8期連続赤字の貨物会社を、「分割・民営化が成功した」という形をとるためにもなんとしても「黒字」にしなければならないとする国土交通省(旧運輸省)が、細部にわたるまで介入した計画だということだ。

人事・賃金制度の白紙的見直し
 新計画の細部はまだ煮詰まっていない部分もあるとして、別途提案としているが、特徴は人件費を2割(100億円)削減するとして、「旧来からの人事・賃金制度を白紙から見直す」ことを公言、「新しい人事・賃金制度の導入」「手当の見直し」「地域別賃金の導入」など、徹底した賃金切り下げのねらいを明らかにしている。また「機関区・貨車区の配置を輸送実態に合わせ、抜本的に再配置し、統廃合を図る」など、基地の統廃合を前面にうちだしている。一部地域で顕在化した要員不足に対応するため、定年退職者の嘱託制度の導入をだしている。

早期退職や管理職社員の転籍も
 さらに、再度の早期退職制度や管理職社員の転籍の実施による首切りがもくろまれている。
 こうして3年間で2000人の首切りを計画している【内訳は、定年退職900、早期退職600強、普通退職240、転籍200】。これらを「新技術の導入、従来の延長線上にない斬新な発想に基づく業務の革新」と称して、職場のあり方そのものを一変させる激しさをもってうちだしている。鉄道部門で、約2割の合理化を3年間で行なう、これで職場が激変しないわけがない。まさに「従来の延長線」では業務が回らない事態が到来することは必至だ。労働者により一層の犠牲を転嫁する「ニューチャレンジ21」を粉砕しよう。


 日貨労は、6日開いた中央委員会で今春闘のベースアップ要求をゼロとする方針を決定した。われわれはこのベア断念方針を決定した日貨労を怒りをこめて弾劾する。貨物会社の賃金抑制攻撃をはねかえし、大幅賃金引き上げにむけて今春闘にただちに立ち上がろう。

会社の「ベア論外」を組合方針として決める
 貨物会社が昨年まで2年連続ベアゼロを強行しているなかで、この日貨労のベア断念方針は、貨物会社における「ベアは論外」という会社の主張を、日貨労自身が積極的に承認する以外のなにものでもない。この中央委員会の直前、貨物会社は「2000人の社員削減」を柱にした新しい中期経営計画「ニュ−チャレンジ21」を提案した。ここでは、「社員の2割削減」にとどまらず、「人件費の2割削減」をかかげて「旧来からの人事・賃金制度を白紙から見直し」「新しい人事・賃金制度の導入」を明らかにしている。ここでは「コストダウン」と称してよりいっそうの賃金引き下げを狙い、さらには「年功はイメージしていない」とする「新たな賃金体系の導入」すら策動している。
 こうした攻撃がかけられているにもかかわらず、「雇用維持のため、やむを得ない」と称して、「雇用か賃金か」という資本の攻撃の前に屈したのだ。

ベア断念の次は「ニューチャレンジ」容認へ
 こうして今回の日貨労のベア断念は、単にベアゼロの追認にとどまるどころか、「ニューチャレンジ21」で狙う大量首切り・賃金切り下げをも容認することになる。
 また職場のあり方、仕事の仕方そのものを一変させる大合理化攻撃である「ニューチャレンジ21」が提案された直後にベア断念を決めたということは、早くも「ニューチャレンジ21」を受け入れることを表明したに等しい。まさに日貨労は貨物版第二の分割・民営化攻撃の先兵としてたちあらわれている。
 貨物会社で働く労働者は、この間のベアゼロ、超低額手当などで生活に大きな不安をかかえている。今春闘でそうした苦しい生活を少しでも向上できればというささやかな願いすら、今回の日貨労のベア断念は打ち破られようとしている。怒りをもって日貨労を弾劾するとともに、全国で苦闘する多くの労働者と連帯して、02春闘に総決起しよう。貨物・旅客一体となった闘いで、3ヵ月闘争体制を闘いぬこう。