|
年月 日 No. |
尼崎事故1周年 4・24集会に380名
|
村中哲也航空労組連絡会・元副議長
|
小貫幸男日本板硝子共闘労働組合・本部書記長 |
安田浩一さん(ジャーナリスト)
|
動労千葉から決意表明 |
次に「現場から『安全』を問う」をテーマとした4つの特別報告が行なわれた。
第1報告は、村中哲也さん(航空労組連絡会・元副議長)の「規制緩和と航空機事故、有事法制と空の安全」。村中さんは、かつての重大な航空事故と航空労働運動の歴史を紹介しながら、「JRは分割・民営化、日航は半官半民だったが、労働組合が力をもち、闘っているときは事故は起きていない。これは労働組合の存在と闘いがいかに大切かを示している。有事法制による軍事利用は空の安全を脅かす。許すわけにはいかない」と提起。
第2報告は、城野正浩さん(連帯労組関西生地区コン支部執行委員)の「コンクリート建造物・生コンの安全性と大弾圧粉砕の闘い」。「労組こそ資本の監視役を果たさなくてはならない。資本の言うことを聞く労組は役に立たない。闘う労組が必要だ。今回の大弾圧攻撃の本質は、生コン支部の運動に対する脅威であり、その破壊だ。競争社会は犠牲者を出す。これを変えていくのは労働組合しかない」と、セメントメーカーとゼネコンの狭間で酷い状態に置かれてきた生コンの中小零細企業を共同組合に組織し、生コンの品質、価格、そしてそこで働く労働者の雇用と労働条件を守りぬいてきた政策闘争について報告した。
第3報告は、小貫幸男さん(日本板硝子共闘労働組合・本部書記長)の「アスベスト災禍と闘う」。「私たちの先輩は、アスベスト製の耐熱服を着て仕事をしていた。04年からのスト権を確立した闘いによって、健康被害該当者への謝罪、被害実態の調査、健康診断の実施・医師選択の自由、企業内補償の確立を中心として、会社側と協定書を結んだ。社員だけでなく退職者・パート労働者・関連業者を含めた労災補償制度をかちとり、『アスベスト基金』を設立した」と報告。
第4報告は、安田浩一さん(ジャーナリスト)の「JRの事故現場から」。「尼崎事故についてJR西日本は一貫して106名の犠牲者と言っている。なぜか?自らの責任を認めたくないために運転士の資質に責任を転嫁しているからだ。尼崎事故、羽越線事故の背景にあるのは、建築基準問題と同様に民営化、規制緩和、そして合理化と企業風土の問題だ。皆さんのような闘う労働者がいる限り共に闘っていきたい」と訴えた。
4つの特別報告は、短い時間ながら、いずれも現場からの闘いに裏打ちされた充実した内容の報告であった。そして、共通して訴えられたのは、労働組合の闘いの重要性であった。
集会の最後に5名が決意表明。▼「2月16日、三組合五団体1047名全体の団結が実現し、4・4集会では支援と被解雇者が一体となって団結し一緒に闘っていこうとなった。難しい問題もあるが敵はひとつだ。敵を倒すために向かっていきたい」(動労千葉争議団・高石さん)▼「安全運転闘争への処分に怒りを感じる。汽笛吹鳴行動に対しての警告文には安全のあの字もない。本来ならば会社も、尼崎事故一周年に一丸となって掲示を出すのが当たり前だ。これからも運転保安確立の闘いの先頭に起っていきたい」(千葉運転区支部・山口支部長)▼「4月6日の構内脱線事故での当該運転士に対する処分策動を絶対に許さない。現場では三年前からATSを設置しろと要求を出してきた。当局は費用がかかるから出来ないとしてきた。幕張支部は当該の労働者を絶対に守り抜く」(幕張支部・山田支部長)▼「同じレールを走っている労働者として安全運転闘争に対する処分を断固許さない。貨物も反合・運転保安闘争の先頭に起っていきたい」(千葉機関区支部・山下支部長)▼「三年連続のレール破断という事態を受け、安全運転闘争の最前線で闘いを作ってきた。当局はこの闘いを運行管理権の侵害として処分を強行してきた。乗客の生命をあずかっている労働者として、現在の安全の崩壊状況の中、速度を落とすことは労働組合として当然の選択だ。乗務員分科会は、いま実態調査を実施している。これをまとめさらに会社側に改善を求めていきたい。乗員・乗客=労働者の命を守るために闘う」(橋本乗務員分科会長)と、それぞれ熱い決意が表明された。
4・24集会は充実した内容の熱気溢れる集会として大成功をかちとった。れわれは、闘いの原点である反合・運転保安闘争への決意を、「闘いなくして安全なし」のスローガンに込めて、JR東日本の異常な弾圧を粉砕し新たな闘いに起ちあがる。
不当処分弾劾事故責任転嫁粉砕を訴える田中動労千葉委員長 |
JR東日本は、安全運転闘争に対して不当処分を行なってきた。明日、尼崎事故が起きた時刻に汽笛を吹鳴するという、ささやかな行為にまで警告文を掲出し、処分すると言っている。国労の組合員が雑誌のインタビューに応じて安全の危機を訴えたことまで「会社の信用を傷つけた」と処分している。まさに異常な対応だ。しかしこれは、闘いが波紋を広げていることを恐れているからだ。
4月6日の幕張構内での事故でわれわれ自身も問われている。自らの組合員が事故を起こし、当局からも世間からも非難の矢面にたたされている現実と向き合って、労働組合として何が出来るか。これが反合・運転保安闘争の原点だ。構内にはATSもついていない。1962年の三河島事故以前と同じ状況のまま安全対策が放置されてきた現実がある。この事故は本人の責任ではない。裁かれるべきはJR当局だ。当該運転士への事故責任転嫁を絶対に許してはならない。その闘いを職場からつくりあげることこそが、第二の尼崎事故を許さない闘いだ。
今日、山手線で線路が隆起した。2月20日に起きた事故と全く同じだ。あれは線路陥没だと言われているが実は隆起していた。何の反省もなく同じことが繰り返されている。業務外注化による技術力の崩壊現象がある。線路はバタバタと折れる。本当に危機感を持ってもらいたい。
分割・民営化以降の事故は個別の問題ではない。原因は違うが分・民−規制緩和という犯罪的政策が根底にある。現場の労働者の必死の努力で安全が保たれているのが現実だ。不当処分攻撃をはね返し、闘いを継続しなければならない。
安全の確立という課題は、労働者の団結と闘いによって資本に強制する以外に実現するいかなる手段もない。反合・運転保安闘争の核心は反合理化闘争だ。事故という現実から逃れることのできない鉄道に働く労働者にとって、一切の責任を当該労働者に強制しようとする攻撃を絶対に許さない闘いは、われわれにとって最も切実な課題だ。絶対に歩みをやめない。今日の集会をそれを決意する場としたい。
また反合・運転保安闘争は、労働運動再生の闘いでもある。動労千葉自身この闘いの中から闘う労働組合に変わった。運転保安闘争と1047名の闘争を軸に、大民営化攻撃と闘うすべての労働者の怒りの声を結集しよう。切迫する改憲攻撃との闘いも、焦点は労働組合をめぐる攻防だ。フランスの労働者が示したように、労働者の闘いこそが社会を変える力だ。労働運動の再生をめざして闘おう。