安全運転闘争の経過と総括 ―動労千葉第34回定期大会運動方針より― 「闘いなくして安全なし」 95日間の闘い

DC通信No.80 05/10/30

《闘いの経過》
5月25日 尼崎事故1ヵ月を期して安全運  転行動に突入。
当局はこれを「違法行為」「違法争議」として、 組合に中止・厳正な対処を申し入れ、点呼時の処分通告、運転台に乗り込んでの監視・現認体 制を開始。
動労千葉は、例え処分されようと、これはわれわれの原点に係わる絶対にゆずることのできない闘いであることを確認。
6月6日 千葉支社は、総武快速線津田沼~幕張間のレール交換工事を実施。これを受けて、安全運転行動のうち、総武快速線の安全運転については6月7日をもって集約することを確認。
6月7日 千葉転で、携帯電話を理由とした懲戒解雇。
7月1月 今年度中に、千葉支社管内で、総計約20㎞のレール交換を実施することを確認。(その後の交渉では、上半期10㎞/下半期12㎞、 計22㎞のレール交換を行なうことを確認)
7月15日 再び尼崎事故を許すな!1047名闘争勝利、全国総決起集会
7月19日~ 千葉支社は、本部執行部8名に不当処分(厳重注意)を発令 → 闘いの継続を確認。
7月21日 不当処分粉砕、安全運転行動貫徹、組織拡大 動労千葉総決起集会
7月28日 千葉支社は、各職場に「警告書」を掲出。──「自己の本分を守り、会社の命令に服せ」という異常極まりない内容。
8月3日 千葉支社は団交で、無線通告問題について、必ず停車して受領するよう指導してきたことを認める。
8月18日 千葉支社「曲線等の速度超過対策及びATS-Pの整備拡大」を提案。内容は、
① 曲線の速度制限に対するATSの地上子設置。
・ 国土交通省基準で義務付 けられたもの(3箇所)/06年2月までに実施
・ JR東日本基準で設置するもの(61箇所)/06年4月~09年度末までに実施
② 以上に追加して、東浪見駅ポイントに対するATS-SN地上子(速度照査)設置。/06年2月までに実施。

安全運転行動を指令

4月25日、JR西日本福知山線において、乗務員・乗客107名が死亡するというJR発足以来の大惨事が起きました。


動労千葉は、「闘いなくして安全なし」一資本の利潤追求、合理化・効率化と安全は絶対に相容れない問題であり、鉄道における安全は労働組合の闘いによってしか守ることはできないという立場で尼崎事故弾劾、反合・運転保安確立-JR体制打倒の闘いへ起ちあがることを決定し、尼崎事故から一ケ月を期して次のとおり安全運転行動を指令しました。


(1)回復運転はしない。
(2)制限速度を絶対に遵守すること。
(3)運転中危険と認めたときは必ず列車を止め、あるいは速度を落とすこと。
(4)遅れは必ず報告すること。
(5)無線通告は、例外なく停車中に受けること。
(6)総武快連綿津田沼一幕張駅間上下線については、最高速度を90km/hとする。 (レール破断、レール損傷多発箇所)
(7)東浪見駅(上り)について、場内信号機で45km/hに減速して進入すること。 (構内45km/hポイントに対する安全対策)
(8)無理な運転時分が設定されている区間、振動の激しい箇所、運転保安上危険と思われる箇所、車両故障等については、すべて組合に報告すること。
(9)体調不良のときは必ず当直助役に報告し、指導員の添乗を要請すること。

★安全運転行動に突入!

5月25日始発より安全運転行動に突入!

JR東日本は直ちに処分策動!

尼崎事故後、動労千葉は直ちに、安全の崩壊という現実は東日本でも全く同様であるという立場にたって、抜本的な安全対策を求めましたがJR東日本は、尼崎事故から一ケ月が経っても、社長談話すらださず、逆に「東日本は安全性に問題はないJと開き直る驚くべき経営姿勢に終始しました。
安全運転行動は、こうした状況のなか、絶対に尼崎事故を起こしてはならないという思いを込めた、乗客・乗員の生命を守るための労働組合としての必要最小限の行動として提起したものです。
しかも、尼崎事故以降の職場の現実は、携帯電話使用による千葉運転区での不当解雇に示されたように、表面を取りつくろうために徹底したしめ付けだけが強化され、ますます非和解的な関係になりました。
動労千葉は、5月23日に安全運転行動を千葉支社に通知するとともに、24日に総決起集会を開催、JR東日本と国土交通省に安全対策や規制緩和政策の抜本的な見直しを求める申人書を提出するとともに、25日から安全運転行動に突入しました。
ところが千葉支社は、安全運転行動のうち、次の4点について「会社の運行管理権を奪う違法行為であり厳正に対処する」とする申し入れを行ってきました。
① 回復運転はしない。
② 無線通告は例外なく停車時に受領する。
③ 津田沼~幕張間の安全運転
④ 東浪見駅45k・hポイントに対する安全運転

5/24総決起集会

★「運行管理権の侵害」?

安全運転が「運行管理権の侵害」?!

尼崎事故という重い現実を前にしながら、「回復運転はしない」、「無線通告の受領」まで「違法行為」とする対応は、異常としか言い様のないものでした。
動労千葉は、不当処分を許さず、安全運転行動を貫徹するために、全く同じ内容を争議として通知し直しました。 しかし今度は千葉支社はこれを「違法争議」だとして中止を申し入れてきたのです。理由は、
① 会社の運行管理権を奪う。
② 団体交渉を経ていない。
③ 労調法上の争議予告通知がされていない。
というものでした。
これらは、いずれも全く根拠のない言いがかりに過ぎません。今回の行動は、安全を守るために労働組合としての最低限の責任を果たそうという行動であり、列車を遅らせることを目的としたものではありません。レール破断が相次ぎ、摩耗し、傷だらけの線路上を所定速度で走れと強要する方が違法行為です。 45kmポイントを9年間も放置し続けることの方が違法行為です。東浪見は尼崎事故後、国土交通省からも問題視されている箇所です。運行管理権を奪うなどという言い方は全くの言いがかりに過ぎません。
また、後の不当処分にあたって、「団体交渉を経ていない」「労調法上の争議予告がされていない」という「理由」は、千葉支社自身が取り下げざるを得なかったことを見れば明らかなように姑めから「処分ありき」のために、苦し紛れに持ち出されたものに過ぎませんでした。

★監視要員を添乗

監視要員を添乗 安全に関わる問題だけは、譲ることは出来ない

しかも千葉支社は、無線通告の受領問題や回復運転をめぐる問題で、これまで何度も団体交渉で確認し、現に現場で指導されていることすらくつがえずデマを繰り返してまで、安全運転行動を「違法行為]「違法争議」に仕立て上げようとしました。
千葉支社は、出勤点呼時に処分の桐喝を行い、津田沼~幕張間を通過する快速や特急列車、東浪見駅通過の特急列車に監視要員を添乗させ、安全運転行動ヘの監視と、処分の惘喝を行ってきました。
われわれは、千葉支社に動労千葉中第17号を出し、安全運転行動を「違法行為」「違法争議」とする千葉支社の対応の不当性を徹底的に弾劾するとともに、6月3日の緊急支部代表者会議で、処分策動に対しては団結と闘争体制の強化をもって臨む方針を確認しました。全支部で職場集会を開し、この闘いは乗客と乗員の生命のかかった闘いであり、仮に不当処分が強行されようとも、安全に関わる問題だけは、譲ることは出来ないこと、尼崎事故という痛苦な現実を前にして、ここで具体的闘いを提起しないとしたら、労働組合は労働組合でなくなることに等しいということを意志一致し、闘いを継続しました。
5月29日こは、緊急弁護団会議を開催し、処分策動に対する万全の体制をとるとともに、「弁護団声明」を発出し、弁護団と組合で全国に安全運転行動への処分策動に対する抗議署名の取り組みを開始しました。現在弁護団声明には全国から50名余りの弁護士の賛同が寄せられ、組合の抗議声明には、200団体(個人)余りの抗議の声が寄せられています。
さらに6月24日には、不当処分や組織破壊攻撃が強行された際の争議行為の事前通知を厚生労働省に提出し、万全の闘争体制を確立しました。
支部代表者会議では、併せて、組織拡大の取り組みを全力で強化すること、他労組の組合員にも動労千葉と連帯して安全運転行動にたちあがるよう全力で呼びかけを行うことが確認されました。

★総武快速線、4箇所/2km余りのレール交換を実現

一方、闘いは大きな成果をあげ、安全運転行動開始後、総武快速線を中心としたレール交換計画について千葉支社と確認し、6月7日を皮切りに6月だけでも、4箇所/2km余りのレール交換を実現しました。こうした成果にふまえ、安全運転行動のうち、総武快速線(津田沼~幕張間)の安全運転行動については、6月7日のレール交換をもって集約し、その他の行動については、継続することを確認してきたところです。

6/7 下り 28㎞840~29㎞090
6/14 下り 29㎞550~29㎞720
6/16 下り 25㎞156~25㎞783
6/29 上り 13㎞012~13㎞997
7/27 上り 31㎞398~31㎞743

8名に不当処分

7月19日、千葉支社は、安全運転行動に対して不当処分を強行してきました。処分の対象とされたのは、本部執行部8名で、処分内容は「厳重注意」でした。
JR東日本は、再び尼崎事故をくり返すまいとした動労千葉の努力に対し、処分をもって臨んできたのです。
動労千葉は、7月21日、「不当処分弾劾! 安全運転行動貫徹! 組織拡大! 総決起集会」を開催し、絶対に譲れない闘いとして安全運転行動があること、そのためにも不当処分を弾劾し、闘いを継続すること、組織拡大をなんとしても実現することを確認しました。
また、千葉支社は、この処分と併せて「違法闘争に対する警告」なる掲示を各職場に張り出しました。その内容は、「会社の発展に寄与するために自己の本分を守り、会社の命に服せ」という異常極まりないものでした。不当処分の強行と「警告書」の掲出は安全運転行動に対し、JR東日本が「動労千葉根絶」の意思を明確にしたことを示しています。 しかし、それはわれわれの闘いが、JR体制のアキレス腱を痛撃していることをも示すものでした。
われわれは、この不当処分に対しては、申第27号をもって処分の撤回を求めました。千葉支社は、「安全運転闘争と称する行為は、会社の持つ運行管理権を奪う違法な行為であり、組合本部役員として同行為を決定し、指示したことから、厳重注意を書面で行ったことであり、処分を撤回するつもりはない」とだけ繰り返す全く許すことが出来ない回答を行ってきました。

★JRついにATSの設置約束

しかし、われわれの闘いに追いつめられた千葉支社は、8月18日、「曲線等の速度超過防止策及びATS-Pの整備拡大の実施」について提案を行ってきました。これは、国土交通省が曲線部分に関する速度超過を防止するために各鉄道会社にたいして列車転覆危険率0.9以上の箇所に速度照査装置の設置を義務づけたことによって今年度から実施するものです。この基準に該当する箇所は千葉支社管内で3箇所です。また、東日本が設けた基準に該当する61箇所にもあわせて設置することを明らかにしました。
そして、同提案の中で併せて「追加」としてこの間の安全運転行動で最大の課題であった東浪見駅上り線のポイントに対して、ATS-SNを06年2月までに設置することを明らかにし、安全運転行動を収拾してほしいと申し入れてきました。これは9年間にわたる改善要求、そして安全運転行動を実施するなかで勝ちとった大きな勝利です。
動労千葉は、この提案を受けて、8月31日に支部代表者会議を開催し、この間の実現した大きな成果にふまえ、9月1日をもってこれまでの安全運転行動を一旦集約し、新たな闘いにたつことを確認しました。そして、9月2日より第2次安全運転行動に突入しました。

★総括 3つの成果

尼崎事故が突きつけたものは何か
   97日間安全運転行動の3つの成果

尼崎事故は、国鉄分割・民営化や、安全分野にまで及んだ規制緩和という犯罪的政策によって引き起こされたものでした。労働者の団結が破壊され、資本の論理一競争原理が暴走したときに何かもたらされるのかを衝撃的に突きつけた大惨事であり、けしてJRだけの問題ととらえることのできないものでした。
つまり、尼崎事故によって突きつけられたことは、この恐るべき現実に対し、労働組合が何をなすのかでした。まさに動労千葉自身が問われた問題でした。動労千葉にとって運転保安確立の闘いは、原点をなす闘いであり、動労千葉の土台をなす闘いです。さらに、尼崎事故が分割・民営化の結果であり、「安全の崩壊」というかたちをとってその破産を示すものでありながら、それと闘うことができなければ、民営化とその後に起きた一切の事態を容認するに等しいことになります。
処分攻撃や監視・現認体制と対決して団結を守り、闘争体制を堅持して3ケ月あまりにわたる闘いを貫徹しました。JR体制と対決し、その矛盾をえぐり出して闘い抜いた安全運転行動は、動労千葉の長い歴史のなかでも新たな地平を切り開く画期的な闘いであったと総括することができます。
第一の成果は、レール破断の頻発という事態に対し、組織の総力をあげて闘い抜いた闘いの結果として数百箇所、22kmにおよぶレール交換や東浪見駅へのATS地上子の設置を実現したことです。これは、かつて船橋事故闘争や線路闘争で切り開いた地平を引き継ぎ、発展させる大きな成果です。
第ニの成果は、安全運転行動に対しわれわれの予想をこえた支持と反響の声が寄せられたことにあります。闘いの開始から今日まで、何十通という支持・支援のメールが寄せられ、支援する会を中心として行われた沿線のビラまきに対しても驚くほどの反応が寄せられました。それがJRや国土交通省への抗議という形になり、国土交通省が千葉支社を指導せざるを得ない状況を作り上げてきました。また、労働運動の分野でも動労千葉の闘いが見直される状況になってきました。
第三の成果は、この闘いの渦中で組織拡太一平成採の獲得を実現したことです。
今次闘争は、自らの闘いをもって労働組合としての正しい道を示すことが、われわれの最大の課題である組織拡大の展望を切り開く道であることを示したと言えます。
第四の成果は、動労千葉として反合・運転保安闘争に込めてきたわれわれの原点を全組合員が再確認、再認識する大切なきっかけとなったことです。資本の最大の弱点は安全問題にあります。処分や「警告」に示された動労千葉根絶の意思をはね返し、大きな勝利を実現することができた最大の理由は、これらの攻撃に屈せず全組合員が団結を守ってき然と闘いを貫徹したこと。そして、反合・運転保安闘争路線にあります。直接利益を生まない保安設備への投資や要員を資本が無視することは当然あり、市場原理と安全は絶対に相入れることのない水と油の関係です。しかし、資本といえども安全はどうでもいいとは言えない課題でもあります。反合・運転保安闘争は、この資本の最大の弱点をつく闘いです。
反合・運転保安闘争に終わりはありません。第二次安全運転行動を闘い抜き、運転保安確立を勝ちとらなければなりません。

第34回定期大会は安全運転闘争が切り開いた大きな地平を総括し、総選挙後の重大な情勢に立ち向かう新たな闘いの方針を確立した。

イギリスの国労・ATMの組合機関紙で動労千葉の安全闘争が紹介。和訳

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