新春インタビュー 関道利委員長に聞く「戦争と社会を変える力がここにある」

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――昨年を振り返っていかがでしょうか

明けましておめでとうございます。

昨年の11・19労働者集会はこの2年がかりで取り組んできたことで2800人が集まり、デモへの飛び入りを含めて3千人といっていい結集につながりました。コロナ禍を経て、もう一度11月集会へかけてほしいという訴えに全国の仲間が応えてくれました。ウクライナ戦争があり、ガザでの大虐殺が行われる中で、職場から一人ひとりをオルグして、街頭にたって、デモを闘い、結集してくれました。

動労千葉としても組合員、家族会、OB会を含めて結集してもらい成功をかちとることができました。

前週に開催された韓国民主労総の労働者大会も含めて、国際連帯は非常に前進しました。公共運輸労組の集会では訪日団として紹介され、20周年の記念式典や日韓共同声明採択は、各産別の代表や役員が集まってくれました。共同声明は1年をかけて話を進め、本当に真剣に受け止めてもらったと感じます。鉄道労組との連帯も強固になっています。
11・19集会には、アメリカ・ILWU、ドイツの鉄道労働者、イスラム文化センターや在日ビルマ市民労組の仲間にも参加していただき、戦争を止める力が労働者の国際連帯にあるんだということを実感できる集会としてかちとれたと思います。

成功をかちとったからこそ、今年はもう一段の飛躍をかけた勝負の年です。本当の意味で労働運動、階級的な闘いを取り戻していく闘いで、今年の11月集会の成功へ向かいたいと思います。

――激しい戦争情勢の年でもありました

マスコミでさえ「一歩間違えば世界戦争」と報じる状況です。ガザではイスラエルによって2万人超、8千人の子供が虐殺されています。子供の犠牲は、10月7日以降だけで22年に世界で起こったすべての紛争による数の2倍を超えています。本当に許しがたい現実に、世界中の人々が巨大なデモやストライキに立ち上がっています。

こうした情勢はウクライナ戦争も含めて、アメリカが「帝国主義の基軸国」として自らの存亡をかけて対中国戦争を準備する中で引き起こされています。

この世界戦争情勢と必死に対決し、全国・世界の仲間とともに絶対に世界戦争を阻止しようという闘いを進めてきました。パレスチナの労組の訴えを受けて、12月1日には伊藤忠アビエーションとNASへの抗議行動にもたちあがりました。イスラエルに武器を送るなという闘いはもちろんですが、武器を作らせないような闘いが本当に重要になると思います。こうした闘いを大行進の仲間とともに展開していきたいと思っています。

――日本においても戦争国家化が進められています

岸田政権は現在、裏金などの腐敗が暴かれてグラグラです。しかし、昨年の通常国会は戦争国家化・核武装に突き進む歴史的な反動法を次々に強行成立させました。

12月5日には、岸田が自民党の改憲実現本部に「改憲条文案の具体化・絞り込み」を指示しています。12月22日に武器輸出制限の大幅緩和を政府内の密室で決定し、地対空ミサイル・パトリオットのアメリカへの輸出も決定しました。事実上、ウクライナやイスラエルへの軍事支援です。曲がりなりにも「戦争放棄」としてきた戦後日本のあり方を決定的に転換する歴史的な事態です。

同時に、戦争経済への転換に突き進んでいます。軍需産業に対して、これまでの利益率を2倍近く引き上げ、莫大な資金を投入し、国営化まで含めて育成しようとしています。ある小銃メーカーは小銃製造などの位置づけを「継続領域」から「成長領域」に転換し、さらなる投資が行われています。こうしたことを許してはならないと思います。

何より、日本はアメリカの対中国戦争の要です。日本の全面的な参戦抜きに、アメリカは東アジアにおける戦争を遂行できません。だからこそ、日本の労働者が戦争絶対反対で立ち上がることに大きな意味があります。

24年は改めて、世界戦争を阻止できるか否かの決戦の年です。全国・全世界の仲間と反戦闘争を大きくつくりあげていく年にしましょう。

――今年の闘いの展望についてお願いします

今年の春闘は例年にもまして重要です。一つは、激しい物価高が続き、労働者の生活が破壊される深刻な状況が続いているからです。もう一つは、労働運動をめぐる危機と可能性があるからです。

昨年の春闘は「30年ぶりの高水準」などと報じられました。しかし、その内実は連合が労働組合として闘うのではなく、岸田が「賃上げ」を連呼するという異常なものでした。それに連合も会長・芳野を先頭に全面的に擦り寄りました。政府と一体化して「政府・財界に賃上げを恵んでもらう春闘」への決定的な変質です。その意味で、労働運動の大きな転機でした。

岸田政権は戦争国家化に突き進むからこそ連合を取り込もうとしています。連合が産業報国会として完成して労働組合が戦争推進勢力になるのか、今度こそ階級的労働運動を甦らせられるのかは、歴史の分岐点です。

――連合の出発は分割・民営化でした

国鉄分割・民営化攻撃から生まれた連合はそもそも「産業報国会」として作られました。しかし、私たちは分割・民営化に対して2波のストを闘い、国鉄1047名解雇撤回を貫いて闘ってきました。そして、「国鉄闘争を潰して、日本労働運動全体を潰す」という分割・民営化の核心的な狙いを打ち砕き、「連合の完成」を阻んできました。

また、JR北海道に象徴されるような「鉄道崩壊」は、まさに分割・民営化の行き着いた矛盾です。単に鉄道の民営化問題ではなく、新自由主義そのものの破たん・崩壊です。日本における新自由主義攻撃も、連合結成も、2100万人の非正規職も、その出発は国鉄分割・民営化でした。だからこそ、国鉄闘争は「今、現在の課題」です。改めて1047名解雇撤回に向け、署名運動のさらなる発展をかちとり、井手・深澤を法廷に引きずり出しましょう。

――労働運動の変革を求める闘いでもありました

連合結成以降、賃金闘争は事実上放棄されてきました。その結果、日本では30年もの間賃金が上がらないという状況です。しかし、新自由主義が労働者の権利も社会そのものも破壊しつづけた結果、支配も限界を迎えています。

例えば、支配の支柱であるはずのUAゼンセン傘下からストライキが巻き起こりました。近年ないほど「ストライキ」が注目され、「労働組合が権利をかけて闘う」ことへの支持が集まりました。その後もテレビ局、病院、航空会社などのストも報じられています。

何より、11月集会に参加した仲間の組合が相次いで一時金をめぐるストにたちあがりました。港合同・昌一金属支部は数十年ぶりのストで現場は誰も経験がない中でしたが、「不安もあったがストは間違っていなかったと確信した」と語られています。

JAM日本機械労働組合はユニオンショップですが、一時金をめぐって秋にストをやるのは初めて。二和病院労組は何と1週間で2波のストにたちあがりました。

決して示し合わせたわけではありませんがいずれも11月集会の直後にストが闘われています。12月19日に北海道のさくら交通労組もストに立ち上がっています。やはり闘いの機運が社会にあるということだと思います。世界では何百万という労働者が戦争反対でたちあがり、物価高に対して巨大なストが次々に闘われています。日本においても事態は動き始めました。

芳野は日経新聞のインタビューに、「春闘の方向性は政府や自民党と同じ」「来年も政府の力を借りたい」と応えています。こうしたあり方を粉砕し、「労働者の団結した闘いの力で賃上げをかちとる春闘」を闘いとりましょう。

JRに関して言えば、とくにグループ会社の仲間にとって大幅賃上げは本当に切実な要求です。天下りの管理者や役員ばかりが高給を取るふざけた体制に怒りを叩きつけなければなりません。同時に、グループ会社に徹底したコスト削減をやらせ、現場に低賃金と要員削減を強制しているのはJRです。グループ会社の仲間の賃金も、JR―グループ会社を貫く闘いが必要です。

――3月ダイ改についてはどうでしょう

「在来線4割廃線化」が国家改造攻撃としてかけられています。単に鉄道の廃線問題ではありません。今の攻撃を主導する「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」は、内閣官房の「デジタル田園都市国家構想」の下に設置されています。軍事費・軍事利用できるもの以外はすべて切り捨てて、「戦争国家」へと転換する攻撃の一環です。

その攻撃の先端が久留里線(久留里~上総亀山間)廃線化です。地域の生活を切り捨てる攻撃に対し、久留里線、内房線、外房線の守る会とともに、また全国で廃線化と闘う仲間とともに、大きな闘いに発展させていきたいと思います。

地域を顧みないという意味では、今ダイ改での京葉線快速線廃止問題です。生活に直結する重大な問題を、地域と話し合うこともなく一方的に通告するという本当に傲慢なやり方です。

それは職場でも同じです。鉄道の現業部門をないがしろにし、現場で培ってきた専門的な技術や経験を軽んじ、生活も破壊する形で業務融合化やジョブローテーションが進められています。

これまで「大きくて統括センターにできない」とされてきた千葉運輸区等も含めて、千葉では運輸区全廃・統括センター化が打ち出されています。これまでも毎月のように強制配転が続けられていますが、異動の通知も必要なくなり、より激しい配転攻撃が準備されています。職場規模を大きくすることで全体の要員を減らそうという攻撃でもあります。

グループ会社に対しては、JRが毎年激しいコスト削減を強制しています。それはグループ会社の人件費をカットするという形で賃金は最賃に張り付き、要員削減され、仕事の手を抜けということが強制され、矛盾がすべて現場に押し付けられています。

会社は怒りの声を抑えるために職場の団結破壊を徹底し、現場の「諦め」を組織し、「労組なき社会」化攻撃を貫徹しようとしています。しかし、その攻撃はもっと根本のところで矛盾を生み出しています。

とくに若年退職者の急増です。グループ会社だけでなく、JR東本体でもこの3~4年で若年退職が約4倍になり21年度は767人にものぼります。一方で来年・再来年は国鉄採の多かった世代が抜ける年です。「人が足らなくてダイヤが維持できない」という、JR四国や北海道のような現実が、東日本でも現実になろうとしています。それは安全や技術継承の崩壊というレベルを超えて、「鉄道崩壊」というべき現実です。3月ダイ改はこうした情勢の中での決戦です。

――労働組合の闘いが必要です

今ダイ改では運輸区全廃や一宮派出廃止、木更津派出の縮小、窓口閉鎖等々、いくつもの重大な攻撃が狙われています。この攻撃と真正面から対決し、職場に団結を取り戻し、攻撃を打ち破る力があるのは労働組合です。それを示す闘いを展開したいと思います。

そして、職場には私たち動労千葉が貫いてきた闘いが本当に通じる要素が生まれています。JRは「鉄道崩壊」的な事態も逆手に取って、「これからは鉄道ありきで考えるな」「大切なのは『価値創造』だ」と職場を駆り立てようとしています。しかし、彼らが思ったようにコントロールできるものではありません。現場労働者が闘うことに希望を見いだせず、闘う前に諦めてしまう状況は変わろうとしています。

動労千葉としては、昨年の定期大会で「70歳まで原則組合員」の体制を確立しました。65歳以降も本部執行部を引き受けてくれている組合員がいること、65歳以降の雇用をめぐる裁判・労働委員会闘争、JESSでの不当な雇い止めとの闘いといった重要な問題に取り組むこと、実際に65歳以降も働いている組合員がいることに踏まえた提起でした。

同時に、戦争に向かう情勢ということを見ても、「変革2027」を掲げるJRの攻撃との対決を考えても、この数年が大きな決戦だと考えたからです。そして、動労千葉が築いてきた闘い、団結、伝統を次の世代に引き継ぎ、発展させるためです。組織的な体制を確立した力で、今度は新たな可能性をつかむ闘いにたつ時です。

何より会社の攻撃に対する最大の反撃は動労千葉の組織拡大です。JRの職場においても、私たちが本気で闘いに立ち上がり、職場の仲間に真剣に訴えれば、「辞める」のではなく「労働組合で闘う」というものを生み出すことはできます。そういう可能性を切り開く闘いに挑戦しましょう。そして、全組合員の総力で本格的な組織拡大を実現しましょう。

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