新春インタビュー(上) 田中康宏委員長に聞く

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動労千葉結成40周年―今こそ闘う労働組合を!
全組合員の総力で組織拡大を実現しよう!

●明けましておめでとうございます。今日は新たな年の課題などについて伺いたいと思います。

 今年、動労千葉は結成40周年を迎えます。また、旧体制の動労千葉地本の中で青年の力が台頭し、闘う労働組合に変わっていくきっかけになったのはマル生攻撃(生産性向上を掲げた労組破壊攻撃)でしたが、それから丁度50年が経ちます。さらに、分割・民営化の結果、総評が解体されたのが1989年。丁度30年です。それは日本の労働運動にとって決定的な転換点でした。「国鉄労働運動を潰し、総評・社会党を潰して立派な憲法を安置する」と言った中曽根の意図は、今、安倍政権の手で強引に進められ、今年は改憲・戦争をめぐる歴史的な焦点の年になろうとしています。
 動労千葉は、小さいながらこうした状況に立ち向かって本当に立派に闘いぬいてきたと思います。そして今年、私は、その全ての経験が活きる時が来たように感じています。われわれの闘い方いかんによっては、目指してきたものが実現できる時が来た。動労千葉の発展、組織拡大への大きなチャンスが到来したと考えています。だから初志貫徹の決意で2019年を闘いぬきたい。

●昨年来、職場の状況が激変していますが、これに立ち向かうことができれば大きな可能性が開かれるということですね。

 そうです。昨年、JRと東労組の結託体制がついに崩壊しました。会社から突き放された途端、3万5千人もの組合員が脱退していった。この結託体制こそが30年間にわたってJRの職場を支配してきた仕組みでした。
 それだけではない。旧動労革マル―東労組が手先にならなければ、20万人もの国鉄労働者が職場を追われ、2百人もの労働者が自殺に追い込まれることはなかったんです。今思い起こしても絶対に許すことができない。JRだけでなく日本の労働運動全体がこれほど後退することもなかった。その意味で、昨年起きたことは歴史的な大転換の始まりです。
 どれほど多くの仲間たちが首を切られ、不当配転され、昇進差別を受けてきたことか。その全てが東労組が会社の手先になることによって起きたことでした。動労千葉の闘いの歴史は、この厚い壁に立ち向かい続けた40年だったと言っても過言ではありません。そしてついに敵の側の職場支配の体制が崩壊したのです。組織拡大の大きなチャンスでないわけがない。動労千葉が貫いてきた闘いが全体を獲得する時が来たと考えています。
 JRは、民営化や外注化の手先になってきた御用組合すら解体して職場を直接支配しようとしています。でもそんなことが思う通りにいくはずはありません。動労千葉は、多くの組合員が60歳を迎える状況に直面しています。でもこれからが本当の勝負なのだと考えています。そのために初心に返りたい。新たな年の年頭にあたって、それを共同の決意にしたいと思います。

●昨年はその可能性がかいま見えた1年だったように思います。

 例えば、CST幕張事業所で、関副委員長が147票という圧倒的な信任を受けて職場代表に選出されました。会社の露骨な選挙妨害や圧力に抗して多くの仲間たちが関副委員長に投票してくれた。誰もが御用組合じゃダメだと思っています。
 CTSは検修・構内業務の外注先企業で、幕張はその最大の事業所です。そして何よりも、この20年にわたる外注化阻止闘争の攻防の最大の焦点が幕張でした。この間何十波ものストライキが闘いぬかれ、日々職場で起きる様々な問題について、職場闘争がつねに闘い続けられてきました。それが、動労千葉への支持を生み出したのです。「職場闘争なくして組織拡大なし」です。
 東労組は少数派に転落しても、未だ醜い内部抗争を繰り返しています。その背景には会社の激しい合理化攻撃に対する怒りの声が職場に満ちている現実があります。職場で声をあげ闘いを起こせば必ず響く情勢です。今こそ闘う労働組合が必要だ、と全組合員が職場から声をあげる。それが何よりも求められている課題です。

職場では「第3の分割・民営化攻撃」が一斉に始まっています。

 職場は一変しようとしています。東労組への攻撃と一体で、乗務員勤務制度改悪攻撃が強行されました。改悪というよりも「解体」と言った方がいい。支社課員や内勤、指導員にハンドルを握らせて乗務員という概念そのものを解体する。将来的には運転士も車掌も無くして「輸送スタッフ」というようなものにしていく。
 しかも、東労組などが乗務員勤務制度改悪案を妥結した途端に「新乗務員勤務の高度な活用」を掲げた基地再編計画が一方的に発表され、山手線で無人運転に向けた走行試験が始まり、全面的なワンマン化が動き出そうとしています。
 さらに今年3月、秋葉原駅まで丸ごと外注化が強行されようとしており、保線・電力・信通では完全別会社化攻撃が進行しています。
 こうしたことが全部労働組合を無視して進められています。グループ会社の労働組合も一斉に東日本労連を脱退し、労連そのものが消滅した。労働者の転籍を伴う分社化攻撃が始まろうとしています。
 貨物でも、4月実施に向けて人事・賃金制度の大改悪が強行されようとしています。その内容は全面的な評価制度と超低賃金化を労働者に強制しようとするものです。

●3月ダイ改をめぐる闘いが当面の焦点ですね。

 19春闘と結合して、改悪乗務員勤務制度が適用される3月ダイ改阻止闘争に立ち上がる闘争体制を確立しなければなりません。そのためにも、激変する職場で起きている一つひとつの問題を真正面からとりあげ、怒りの声を具体的な闘いに組織していかなければなりません。
 千葉運輸区では、運転士エルダーとして65歳まで乗務し続けることを希望したベテラン運転士に対し、「見極め」と称して40ページにも及ぶ知悉度試験が強制されています。意味のない屈辱を強いる。いじめそのものです。昨年11~12月に開かれた各支部大会でも、全職場で怒りの声が吹き上がっていました。これを絶対に粉砕する。その闘いが3月ダイ改阻止闘争の突破口を開くことになると思います。

●永年にわたって闘い続けられてきた外注化反対闘争はこうした事態を先取りした闘いだったと言えますね。

 鉄道業務を何百もの会社にバラバラに分社化して労働者ごと放りだし、非正規職に突き落としていくようなやり方は絶対間違っています。まさに第3の分割・民営化攻撃です。
 動労千葉はこの20年、最終的にはJRで働く労働者の転籍に行き着く攻撃が進められていることに警鐘を打ち鳴らし、必死の闘いで歯止めをかけてきました。その力が今こそ発揮されなければならない時です。
 JRはブレーキの壊れた車のように突き進もうとしています。でも攻撃は間違いなく破たんします。なぜなら、それがもたらすのは安全と技術継承の全面的崩壊であり、第2、第3の尼崎事故であり、地方ローカル線の廃線化であり、労働者の権利・雇用・労働条件の根本的な解体だからです。
 職場だけでなく、JRのローカル線切り捨て攻撃、地域を完全に無視して突き進む横暴なやり方に対する怒りの声も沸騰点に達しています。内房線・外房線での闘いはそのことを鮮明に示しました。地域ぐるみの怒りの声がJR東日本を追いつめています。

●1047名の解雇撤回闘争でも、今年新たな闘いが始まりますね。

 そうです。われわれは、国鉄分割・民営化にあたって、国鉄職員のJR採用を拒否するために作られた「不採用基準」それ自体が不当労働行為意志に基づいて作られたものであったことを最高裁に認めさせ、しかもその基準を作ったのは、旧国鉄ではなくJRの設立委員会であったことを突き止めました。
 30年という途方もない時間を費やしましたが、不当解雇の法的責任がJRにあることをついに一点の曇りもなく明らかにしたのです。かつて「JRに法的責任なし」と判じた最高裁判決でも、「JR設立委員会が不当労働行為を行った場合は別として」と明記されているのです。
 このことを千葉県労働委員会に持ち込みました。しかし千労委は、国策と真正面から対峙することになるのを恐れ、調査も審問も拒否して真実を沈め、葬り去ろうとしました。それをめぐる裁判闘争が今年1月22日から、千葉地裁で始まるのです。
 われわれは、国鉄分割・民営化を絶対にあいまいにしない。それは、全労働者の権利、日本の労働運動の未来に係わる問題だからです。

●65歳まで働き続けることができる労働条件確保の闘いも、動労千葉にとっては重要な課題ですね。

 この1~2月に、来年度退職者の再雇用先の通知が行われようとしています。希望どおりの雇用先を確保させるために全力を尽くします。
 しかし、最大の問題は、東日本でも貨物でも、再雇用賃金や労働条件があまりにも酷すぎることです。今後、JRで働く者の賃金や労働条件を、分社化・転籍によって切り下げ、あるいは非正規職化していくための布石としか思えない扱いです。40年以上鉄道で働いた者に対し、こんな仕打ちをするのかと言わざるを得ない条件です。
 だから、われわれは闘争体制を確立して、粘り強く執拗に闘い続ける決意です。とくに外周地域に雇用先を確保させる闘いは絶対あきらめない。60歳も過ぎれば身体もあっちこっちガタがくるし、親の介護で身動きがとれなくなったり、様々な問題が起きますが、気持ちだけは絶対負けない、譲らない、あきらめない。一歩づつでも職場の条件を変えてやるという決意で闘い続けたいと考えています。(下に続く)

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