構内・検修外注化 こんなことをやったら
第2、第3の尼崎事故が起こる!
構内・検修業務を丸投げ的に外注化するなど、とんでもないことだ。絶対にやってはいけないことだ!
こんなことを強行したら間違いなく安全は崩壊する。首都圏で第2第3の尼崎事故が起きる!
JR東日本は、鉄道会社として絶対に必要不可欠な技術力と業務を投げ捨てようとしている。車両の検査・修繕、線路の保守・点検・修繕、信号通信・電力設備の保守・点検・修繕、建築、駅業務等、百数十年の歴史の中で蓄積、されてきた鉄道固有の技術力のおよそ全てが外注化の対象とされ、現実にドシドシ進められている。
「鉄道会社」を放棄
JRは鉄道会社であることを放棄しようとしているのだ。その方針が打ち出されたのが2000年11月、「ニューフロンティア21」という中期経営構想によってであった。
そこには次のような主張が書かれている。「冷徹な優勝劣敗の市場原理と自己責任の社会が到来した」「この改革は当然困難や痛みを伴うが、企業が生き残り社員と家族の幸福を実現する唯一の手段がこれである」と。そして掲げられた「事業戦略」は、次のとおりである。
① 『ステーションルネッサンス」の展開
② ITをはじめとする新技術の導入活用―新たなビジネスモデルの構築 ③ 鉄道事業
④ 生活サービス事業
①はエキナカ事業。駅は次々とショッピングモールのように改修された。
②の中心になったのは「スイカ」を中心とした電子マネー事業だ。そして③の「鉄道事業」は第三の位置まで落とされ、ここから駅、車掌、構内・検修、設備業務などの全面的な外注化攻撃が開始されたのである。
本末転倒した現実
まさに本末転倒した姿がここから始まった。「優勝劣敗の競争原理」だとか、「痛みに耐えろ」とか言うのは簡単だが、鉄道でそんなことをやったら安全は確実に崩壊する。「鉄道事業など人とカネを食うだけで儲からない」という発想で丸投げ外注化したら、確実に大事故が起きる。そんなことは絶対やってはいけないことだ。
しかも、痛みを強制されたのは現場の労働者だけだった。経営幹部は10億円もの報酬を手にするようになり、一方、安全を支える現場の労働者はどんどん無権利・超低賃金の非正規労働者にどんどん置き換えられていった。この計画が出されてから5~6年のうちに、JR東日本の人件費は850億円も減少し、経常利益は1000億円以上はね上がったのである。まさにボロ儲けだ。そして犠牲にされたのは安全であった。これがJRで起きている現実である。
目を覚ませ!
問題はたちまち起きた。保線などの設備業務の丸投げ外注化が強行されたのは2001年だが、千葉支社では、04年から毎年のように「レール破断」が次々に起きるという異常事態が発生するようになったのである。信号故障や架線切断、工事ミスなども相次ぎ、中央線などは「列車がまともに走る日がない」ど言われるような事態にまで至った。そして05年には尼崎事故が起き、羽越線事故が起きたのである。
われわれの闘いによって千葉では止めているが、車両検修業務でも外注化が逐次進められた。また、検修業務の無理な統廃合が同時に進められた。その結果起きたのは、この間の「日刊」でも報じたとおり、車両故障による輸送障害の激発であった。乗客には見えないが、電車の運転席には、故障していることが判っていながら、修繕する体制がないために、故障していることを報せる紙がベタベタ貼られたまま、長期間放置されているのが現実だ。
あるいは、車両転削業務で起きていることだが、車輪が規程値をこえて磨耗し、本当は走らせることができない列車が乗客を乗せて・走っているのだ。
整備会社の実態
こんな現実を引き起こしながら、一体どんな神経で丸投げ外注化など提案できるのか。しかも委託先の車両整備会社(千葉鉄道サ;ビス)は、現在は基本的に車両の清掃しかやっていない企業だ。車両検修や構内入換業務については何のノウハウもない。車両の清掃でも、帰る列車もない夜中の2時30分に勤務が終わるという非人間的な勤務を労働者に強制しているのがこの会社だ。検修・構内業務でも同じことが起きるのは火を見るよりも明ろかだ。労働者にこんなことを強制して、完壁な車両の検査・修繕ができることなどあり得ない。運転保安など関係ないのだ。要するにコストを下げるために丸投げするだけのことだ。
反合・運転保安闘争は動労千葉の生命だ。われわれは検修・構内外注化に絶対反対する。闘おう。