JR千葉支社ー来年3月ダイ改以降、4両のワンマン運転も行うと回答

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JR千葉支社は、来年3月ダイ改において、内房線(木更津~安房鴨川)、外房線(上総一ノ宮~安房鴨川)、鹿島線(佐原~鹿島神宮)にワンマン運転を拡大しようとしている。
この間、動労千葉は、ワンマン運転が、運転士に全ての責任を負わせ、安全を破壊し、地域の過疎化に拍車をかける重大な攻撃であることから、JR千葉支社との団体交渉において徹底的にに追及を行ってきた。団体交渉の概要は以下のとおり。

運転士に全ての責任を負わせるワンマン運転絶対反対

●脱線・踏切事故発生時の対応
組合 ワンマン運転の拡大を提案しているが、安全面で重大な問題がある。状況毎に具体的に回答してもらいたい。まず、脱線、踏切事故が発生した場合の対応はどうするのか。特に乗客との関係はどのように考えているか。
会社 初動として運転士が対応することになる。その上で各駅、指導センター、車両センター等、支社総体で対応する。
組合 5月に外房線で脱線事故があったが、その時の対応はどうだったのか。
会社 鴨川運輸区の区長や指導員が約15分で駆けつけて対応した。
組合 仮にワンマンの場合、その15分の間に何を、どのように対応するのか。
会社 乗務員として、まず人命、乗客を最優先に考えることになる。その次に車両の点検になる。運転士1人なので、1人でできることを行うことになる。
組合 乗客を最優先に考えると回答したが、運転士1人で乗客の安否等をどう把握するのか。
会社 車内放送でJR社員が乗っていたら協力を要請してもらうことになる。いない場合は、運転士ができる範囲で乗客を優先して対応することになる。
組合 現行は、まず車掌に連絡して内容を説明し、その後、指令に連絡して指示を受けるようになっている。ワンマンの場合はどうするのか。
会社 まず、指令に連絡することになる。
組合 今、脱線事故の対応について議論しているが、今後、会社は、訓練を行い、その中で事故や車両故障、災害等について個別、具体的に教育するはずだ。その内容について、今、回答で示してもらいたい。
会社 運転士標準集や各マニュアルに踏切事故発生時の取り扱い等が記載されており、それに準じて取り扱うことになるので大きな差はないと考えている。
組合 運転士1人になった場合大変なことになる。そんなに簡単なことでは済まない。今は車掌が放送したり、乗客の安全を確認している。運転士は、車両の状況などを確認しなければならない。また、その時に乗客が騒ぎ出すことも考えられる。今もマニュアルはあるが、車掌がいることが前提だ。5月の脱線は鴨川から近かったが、その他の場所だったら無人駅ばかりで直ぐに来れない所もある。そうなれば時間がかかり乗客も心配になって騒ぐことも考えられる。車掌がいる時だって、乗客から色々と言われることがある。
会社 今後、ワンマン運転用のマニュアルを作って訓練でやっていきたい。また、ワンマン運転が導入されている仙台支社等と連絡をとり、訓練方法や乗務員の取り扱い、マニュアルや知識等について参考にして、教育の中で生かしていきたい。

●乗客が怪我を負った場合の対応
組合 乗客との関係が特に重要になると思うが、乗客が怪我をしている場合はどう対応するのか。
会社 怪我の度合いにもよるが、他の乗客にも協力をお願いすることになる。
組合 今、新型コロナの関係で人との接触をできるだけ避けなければならない。これまでと状況が違う。感染の危険性があるのにそれでも乗客に協力を要請するのか。
会社 お願いすることになる。マスクをしているので・・・。
組合 運んだり寝かせたりすれば人と触れることになる。一般の乗客はゴム手袋など持っていない。どのように協力しろというのか。
会社 これまでの例だと、運転士、車掌が指令とやり取りする間、急変したら車内のボタンを押してもらうことを説明するなど、そんなに負担をかけることはないと考えている。
組合 ワンマンの場合、乗客がボタンを押したとしても、運転士は車両点検で降りてしまい、聞こえないこともある。その場合、運転士の責任になるのかも含めて問題が発生すると考えるが。
会社 ・・・。
組合 車内ブザーは、車掌か運転士で先に取った方が話すことになる。ワンマンの場合、走行中に鳴ったらどうするのか。
会社 車内ブザーは次駅まで、非常ブザーはその場で止まることになる。ワンマンの場合、車内ブザーは、停車後に運転士がインターホンで状況を聞くなどの対応を行ってもらいたい。
組合 停車後、車掌が行っていた発車ブザーの合図の取り扱いは、どのようになるのか。
会社 車掌が乗務しない列車の取り扱いにより、停車した場合、運転士が安全確認を行い、指令に連絡して指示を受けて運転再開となる。
組合 ワンマンの場合、安全を確認した後に指令に連絡して発車するというが、その時点で後部は見えないが、それでいいのか。
会社 運転士ができる範囲で安全を確認して問題なければ、問題ない。回送列車と同じ取り扱いになる。
組合 運転士が安全を確認し、指令に連絡して発車した後に、後部で何か問題があったとしても、運転士に責任はないということでいいのか。
会社 運転士が確認できないところで何かあったとしても、運転士に責任はない。

●人身事故時の対応
組合 人身事故の場合、今は車掌が警察に連絡して位置情報の提供をおこなっているが、ワンマンの場合はどうなるのか。
会社 人身事故の場合、まず指令に連絡してもらうことになる。なお、現在、取り扱いを整理し、訓練時に具体的に教育する。
組合 事故等の場合の乗客への説明や放送はどうなっているのか。
会社 自動放送する内容が26項目用意されている。内容は、事故や故障、災害発生等を知らせる簡単な内容であり3分置きに放送されるようになっている。
組合 地震発生時はどうなるのか。
会社 これも自動放送が入っているので流してもらうことになる。その間に、指令とやり取りしてもらい、復旧までの時間等を確認し、乗客に放送で連絡してもらう場合もある。

津波等で避難する場合の的確な判断はどうするのか?

●地震・津波等による避難の対応
組合 津波等避難が必要な場合の対応はどうか。
会社 仙台支社の話では、地元の乗客や社員の協力等を得て避難を行ったとの話だ。千葉支社としても同様に取り扱っていきたいと考えている。
組合 ワンマンの場合、運転士1人で避難の誘導を行うことになる。高台への避難といっても地理的に分からない場合もある。また、どこから降りるのか、避難の方向の確認をどうするのかも問題になる。指令に連絡した場合でも、指令が避難する方向を全て把握することができるのか。しかも、地震が発生すれば一斉停車になり、指令にはいくつもの列車から連絡がはいるはずだ。そうした場合、指令が一つひとつの列車にキチンと対応できるのか。
会社 列車から降りる場合、運転台に近いドアから、梯子を使って降りてもらうことになる。また、避難の方向については、200m置きに、電柱に矢印で避難方向を示す表示板を設置している。
組合 避難する場合、運転士が先頭で避難を誘導するのか、あるいは最後の乗客を確認してから離れるのか、どうするのか。
会社 会社としては、乗客の安全を確認することが必要だと考えている。また、先に降りた乗客についても、先に避難させるのか、全員の降車を待って避難するのかは、その時の状況によると考えている。
組合 ワンマンを考えている外房線や内房線は海からの距離がないわけだから、避難はどの方向だとか、ある程度的確に判断できるようにしてもらいたい。とくに、今でも車掌と2人でも大変なのに、ワンマンになれば運転士1人で対応しなければならい。責任問題にもなってくる。
会社 運転士が正当な業務として判断したものであれば責任を負わせるようなことは考えていない。

●長い橋梁で停車した場合の対応
組合 長い橋梁で停車した場合の取り扱いはどうか。
会社 たとえば鹿島線の北浦橋梁の場合、強風で停車した場合、規程上は「極わずかな速度」で橋の部分から出てもらうようになっている。そのため、乗客を降ろして避難することは考えていない。また、築堤等の危険地帯が指定されているが、その部分で停車した場合は、指令に連絡し、「極わずかな速度」で移動することができるようになっている。
組合 車両故障で停車した場合はどうか。
会社 その時の状況によるが、救援列車を出すのかを含めて検討することになる。
組合 車両火災も想定されることから、避難の方法や通路の確保等をキチンとしておくべきではないか。
会社 片側だけだが設備関係の社員が点検で歩ける通路もある。非常の場合は、乗客も歩けると考えている。

●輸送混乱時の接続の対応
組合 輸送混乱の場合、乗り継ぎの問題が必ず出てくるがどう対応するのか。
会社 事前の駅で乗り継ぎの情報を取ってもらい、乗客に情報を伝えてもらうのが最善の方法だと考えている。
組合 今は、列車が遅れると車掌が接続時間などの説明を行っている。ワンマン運転になれば、運転士が運転しながら指令との連絡や乗客への放送はできない。遅れた場合の自動放送はどうなるのか。
会社 駅等での情報を確認してもらうか、あるいは運転士が時刻を知らせるかを含めて、今後検討していきたい。先ほどの事故等の自動放送26項目以外に遅れ等の設定も入っている。

●ドアに荷物等が挟まった場合の対応
組合 ドアに荷物等が挟まった場合はどうするのか。以前、他社で、ベビーカーが挟まって引きずった事故が起きている。
会社 モニターにより見える範囲で確認してもらい、異常がなければドアを閉めてもらう。そして発車した後に何か起きた場合、運転士に状況を聞かせてもらうことはある。
組合 乗客の安全対策はどうするのか。モニターも10km/h程度で消えてしまい、その後、運転士は後方を確認することもできない。さらに、夜になれば見えない部分も出てくる可能性がある。視覚障害の人の白杖を挟んでしまう可能性もある。
会社 モニターにより見える範囲で確認してもらいたい。

●停車位置不良が発生した場合
組合 停車位置を間違えた場合等の対応はどうするのか。
会社 行き過ぎた距離にもよるが、指令に連絡し、その後、運転台を換えて停車位置を直すことになる。
信号や踏切の接点を踏んでしまった場合は、指令に連絡し、指令の指示で対応してもらうことになる。

●無人駅での車いす等への対応
組合 無人駅に車いすを利用する乗客が来た場合はどう対応するのか。
会社 車いすの取り扱いは、事前に利用日、利用時間、利用列車を駅に伝えてもらい、駅が対応することになっている。無人駅で乗る場合は、管理駅に連絡してもらうことになっている。無人駅に1人で来た場合、無人駅がバリアフリーになっていないため、来ること自体考えられない。対応できない場合は、断る場合もある。
組合 視覚障害者の人で杖の人や盲導犬で利用する場合、ワンマン列車のドアが半自動で閉じている場合、ボタンの位置が分からない可能性があるがどうするのか。
会社 自治体等への周知を行っていく。仮に視覚障害の人が困っていたら運転士で対応してもらいたい。
組合 何かあれば「運転士」というが、そもそも駅員がいないことが問題だ。駅員がいることが乗客への最大のサービスだ。
会社 ・・・。

●精算等の問い合わせへの対応
組合 精算の問い合わせがあった場合はどうするのか。また、無札の人への対応は。
会社 運転士は精算しないので、駅の収納箱に精算金額を入れていただくようになる。
無札の場合は、後日、有人駅で精算してもらうように案内してもらいたい。

木更津~安房鴨川~上総一ノ宮を通しで運転

●ワンマン列車の運行の考え方
組合 ワンマン列車の運行について、時間帯や本数はどのように考えているのか。
会社 基本は、日中帯の運行を考えている。その上で、夜間や早朝もワンマン運転が数本あると考えている。詳しくは、提案できる段階になったら明らかにする。
組合 ワンマン運転を導入する区間の列車本数はどう考えているのか。
会社 基本的には維持すると考えている。
組合 前回の団交で、木更津~上総一ノ宮間を通しで運転することを検討していると回答しているがその点はどうなったのか。
会社 通し運転を行うことを考えている。
組合 通し運転の目的は何か。
会社 乗客の利便性や乗り換え等を考慮した。
組合 通し運転の本数はどの程度を考えているのか。
会社 それはまだ分からない。

●ワンマン運転の訓練計画
組合 今後の訓練計画の詳細を明らかにすること。
会社 ワンマン運転を行う区所には掲示を出している。木更津運輸区は11月下旬から12月中旬で2~3時間程度の現車訓練を予定している。ワンマン運転訓練は、1月~2月の下旬頃まで実施予定となっている。内容としては木更津~館山間で考えている。
組合 訓練の内容はどうなるのか。
会社 現車ではカメラの位置やモニターの表示、各機器の取り扱い、ワンマン訓練では、モニター、ドア扱いなど一連の取り扱いを行ってもらう。定例訓練と別に現車訓練を行う予定だ。
組合 現車訓練の実施場所はどこか。
会社 木更津運輸区は木更津駅構内に131系を入れて行う。鴨川運輸区は安房鴨川駅電留線、佐倉運輸区と千葉運輸区は東千葉の東部電留線で行う。

●運転台モニターの取り扱い
組合 運転台モニターについて、発車後もモニターが消えるまで後方の安全確認等を行うのか。
会社 基本は前方注視になる。取り扱いとして、ドア閉め、パイロットランプ点灯、モニターで再確認し、出発という手順になる。
組合 ノッチを入れた後はどうなるのか。
会社 ノッチを入れた後は前方注視になる。

●中編成でのワンマン運転
組合 会社の資料に「利用状況により中編成ワンマンを実施する」とあるが4両・6両でのワンマン運転を考えているのか。
会社 来年3月以降、中編成ワンマンを行う可能性がある。
組合 中編成ということは、最大6両のワンマン運転も考えているということか。
会社 千葉支社としては4両で考えている。
組合 訓練時に4両の取り扱いも行うのか。
会社 4両実施時にあらためて訓練を行う。
組合 4両でワンマン運転を行う条件は何か。
会社 そこまではまだ回答できない。
組合 4両ワンマンを行うということは、2両編成12本以外に増配置はあるのか。
会社 それは考えていない。
組合 コロナ感染症の関係もあり、ワンマン訓練時に運転台に何人も乗ったら「密」になり危険だ。訓練は中止すべきだ。
会社 運転台以外の客室でも問題ないと考えている。
組合 客室で訓練など聞いたことがない。
会社 ・・・問題はない。

●131系にATSーSNが搭載されていない問題
組合 131系にはATSーSNが搭載されていない。幕張に入る場合、ATSーPが反応し停まってしまう。Pへの対応をどうするのか。
会社 現状では、CTSの副所長が添乗して対応している。
組合 ずっと副所長の添乗ということもできないはずだ。今後の対応はどうするのか。
会社 運転士の注意力による運転で対応する。
組合 そもそも保安装置は、人間の注意力だけでは限界があるからATS等をつけてきた。構内は一番事故が多いため、事故を起こさない対策としてSN等をつけてきた経緯がある。それが今後は運転士の注意力になったら、保安度が下がってしまう。車両の改造あるいは車両センターへのP設置しか方法がないがどうするのか。
会社 車両センターへのPの導入も含めて検討を行っている。

動物の死骸処理で伝染病への感染の危険性を指摘

●動物との衝突、死骸処理の問題
組合 動物との衝突がこれまで以上に多発している。ワンマン運転になったら対応できない。
会社 9月末で昨年と同じような数になっている。対策は行っているが・・・。
組合 先日、組合員から、イノシシの死骸処理の関係で、伝染病に感染する危険性があるとの指摘があった。イノシシの死骸処理には、自治体ではゴム手袋、ゴーグル、前掛け等の防護服を配布している。国立感染症研究所も、「人獣共通伝染病への感染の危険性があり、一般の人は死骸に触れるべきではない」と指摘している。会社として認識しているのか。
会社 今回、初めて聞いた内容であり、何らかの情報を持っているわけではない。指摘されたことについては、会社としても検討する。
組合 病原菌への感染の危険性があるとすれば、動物と衝突した場合、死骸に触れていいのかという問題になる。早急に対応を検討すること。
会社 了解した。

(了)

JR千葉支社は、4両でのワンマン運転まで計画している。また、動物の死骸処理による感染の危険性も明らかとなった。安全を守るために、職場から反対の声をあげよう!

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