相次ぐ新幹線事故・トラブルに喜㔟社長会見 「ルール順守、安全上の緩み確認」

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鉄道・安全軽視のJR弾劾!
融合化・外注化を撤回しろ

1月23日
東北新幹線上野―大宮で架線を張るための重りの部品が破損し、垂れた架線が列車に接触して停電・復旧時に作業員が感電
3月6日
東北新幹線郡山駅でつばさ121号(E3系7両編成)が停止位置を約520㍍オーバーラン
4月2日
東北新幹線福島駅構内で工事車両のエンジンオイルが漏れて故障

JR東の喜勢社長は4月9日、社長就任後初の定例会見を開き、この間相次いでいる新幹線での事故・トラブルについて語った。

その内容は、「社内やグループ内で日々の仕事の中でルールや順守すべきことが守られているか、安全上の緩みや課題がないかを確認する」というものだ。あたかも現場での「ルール遵守」「緩み」が問題のように語っている。

この事自体が許しがたい! 喜㔟は職名廃止や融合化、「IT企業化」を主導してきた張本人だ。誰が鉄道と安全を切り捨ててきたのか!

会社の責任をごまかすな!

そもそも、この間の新幹線での事故は、現場の責任ではまったくない。

1月の停電・感電事故では、耐用年数を大幅に過ぎて使われていた重錘ロッドが破断したが、会社は「年数は目安」と問題にもしなかった。「耐用年数を超えて使って当たり前」という会社の姿勢こそ、事故の原因だ。

安全よりコスト削減を優先した結果、復旧作業中に外注先の仲間が感電・救急搬送されるというさらに深刻な事態が引き起こされた。過程についてはJRの責任をごまかすペテン的な説明だけで、詳細は未だに明らかにされていない。

3月6日のオーバーランでは、会社は「駅進入時に制限80㌔のポイントを最高約145㌔で通過」「乗務員及び駅社員は非常停止を行った」「ATCや車輪、ポイントやレール表面に異常はない」と発表した。乗務員や駅員に何の責任もない。

また、早々に「今回の条件では脱線や列車衝突の恐れはなかった」とも発表した。

だが、ATCが正常で非常停止手配も取られたにも関わらず、ポイントでの2倍近い速度超過と520㍍もの大オーバーランが起こるというのは、鉄道の安全を守る仕組みの根本が崩れるような重大問題だ。条件が一つ違えば、脱線や衝突というさらに深刻な事態になっておかしくない。重大な危機感をもって対処すべき問題を、「深刻ではない」かのように見せようとしている。会社がいかに鉄道と安全を軽視しているかの表れだ。

技術継承・安全の深刻な崩壊

さらに深刻なのは、以前の事故とまったく同じ形で事故が繰り返されていることだ。

オーバーランを起こしたE3系は1年強前の22年12月にも同じ郡山駅で160㍍のオーバーランを起こしている。その時は滑走制御時に回生ブレーキ力が残ったことが問題とされ、ブレーキシステムの改修が行われた。

ところが今回は、回生ブレーキは完全に停止したが、前回をはるかに上回るオーバーランが繰り返された。その原因はいまだ「調査中」だ。

原因が分からないというなら、その事自体が深刻だ。そして、止まれない恐れがあるなら、あらかじめ速度を抑えていなければならない。

重錘ロッド破断は05年に山手線でも起こった。重りとロッドの隙間を検査し、「5㌢以上の間隔」を確保することが「対策」とされた。

ところが、今回の事故後の追加点検では9箇所で間隔が5㌢未満であり、点検担当者の何と約半数が測定範囲を「誤解していた」ことが分かった。これは現場の責任ではなく、半数もの担当者が「誤解」する会社の指導や体制の問題だ。

会社は「マニュアルが曖昧だった」というが、これも表面的なごまかしだ。深刻なのは、「再発防止策」の意味や目的が伝わっておらず、同じ事故を繰り返したことだ。安全を守る技術力の根本が崩れていることを示しているからだ。

会社施策の矛盾が事故続発に

根本原因は、コスト削減を優先して安全をないがしろにし、鉄道業務をバラバラに外注化してきたことだ。その結果、技術継承は崩壊し、誰も鉄道全体に責任を取らなくなっている。職名廃止や「IT企業化」施策の中で、その矛盾が事故続発という形であらわになっているのだ。

JRは鉄道業務と安全を軽視する職名廃止・業務融合化をただちに撤回しろ! 外注化を撤回し、仕事と仲間をJRに戻せ!

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