新保全体系を撤回しろ-幕張支部からの報告-

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幕張電車区での新保全体系の矛盾と職場の問題点を明らかにしたいと思います

矛盾だらけ!
 4月から実施している新保全体系は、これまでの車両検査体系を抜本的に改悪する攻撃だ。新系列車両(E217系、255系)については、3ヶ月に一回やっていた交番検査を1年に一回(年検査)にし、作業工程から消耗品取替、設置装置検査を削除し(個別管理といって臨検班が施行しているが将来は外注化と考えられる)、E217系の作業人数は、午前中6名体制で13時30分から2名体制、255系は午前中5名体制で14時30分から2名体制となった。
 3ヶ月毎の検査は月検査とといい、年検査で除外された項目+継電器・電磁弁・絶縁測定検査まで除外している。作業人数は、E217系・255系も午前5名体制で午後から2名体制で作業している。支部はこれで車両の安全が保てるのか、運転保安は大丈夫なのか、作業工程どおりに仕事が終わるのかと職場でも団交でも訴えてきた。
 実際、新保全体系を実施した4月以降、作業ダイヤどおりに作業が終わったことは一度もなく、消耗品交換の個別管理に臨検班から4〜6名の要員をつかうので、いままでの交検より合計すれば要員が多くなる状態が続いてきた。
 こうした状況のなかでJR千葉支社は8月9日、「新保全体系」の10月本実施に向けた要員の見直し▲1という提案をおこなってきた。この要員削減は、検修・構内業務の全面的な外注化につながるものであり絶対に許すことのできない攻撃だ。この要員削減提案は何の根拠もなく撤回を求めて断固闘いぬかなければならない。

作業工程を修正
 一方千葉支社はこの日、要員削減と合わせて、4月以降実施してきた作業ダイヤを撤回し、新たな作業ダイヤを提案した。今回の作業工程は午後検査要員を抜く時間がE217系月検査で1時間30分、年検査で1時間10分、255系月検査で2時間30分、年検査で一時間遅区なっている。JRは発足以来一度提案したものは、絶対に変更しないという姿勢をとってきたが、今回はわずか半年で提案を修正せざるを得なくなったのだ。この間幕張電車区には、本社までが直接視察に来て、何としても提案どおりに作業が終わる状況をつくろうとしたが、われわれが指摘してきたとおりの現実が明らかになった。
 だが8月9日の修正提案も矛盾だらけだ。例えば、255系の月検査と年検査は、検査内容や作業量が違うのに終了時間が同じなのだ。とくに255系は、作業ダイヤどおりに終わらず新保全になってからの実態は5時以降の超勤作業になっている。また、15時30分から3名が臨検班に行くことになっているが、車両故障は15時30分に合わせて発生するとでもいうのか。あったとしても、その時間から作業にかかれば、毎回超勤になってしまうという矛盾もある。検修作業は、パートタイマーとはちがう。千葉支社は実態把握して元の交検へもどせ!

故障が多発!
 新保全を行っている新型式車両をめぐっては、原因不明の故障等が多発している。その特徴は、一つの故障が発見されると、どの車両どの編成にも同じような故障が発見されることである。
戸閉装置の金具が落失
 7月、E217系の新保全を行っていたところ、戸閉装置のDLSドアリミットスイッチを押すL字型の押し金具が落失していた。この部品がないとパイロットランプがつかないという重要な部分である。原因は新車の時から取付ネジ部が未加工であり、ネジをロックタイトというボンドをぬって押し込んであるだけだったのである。当然組合は、他の車両もはやく検査と対策をとったほうがいいと言ったが当局は、どのように一斉検査するか検討中であると答えるだけだ。
ドア枠固定ボルト折損
 同じ7月には、E217系のドア上部枠固定ボルトの折損・脱落及び弛みが発見された。助役をよんで担当する7号車〜11号車を調べたところ全車両とも同じだった。1号車〜6号車及び他の編成も一斉検査したほうがいいと助役に提言したが、「今日は時間がないから、7〜11号車だけでいいです」というのだ。あいた口がふさがらなかった。上から言われないと事の重大性が判断できないという体質は、おそろしいことだ。
パンスリ板の異常磨耗
 パンタグラフもE217系だけが架線との接触部分が異常に左右に振れ、補充スリ板が異常摩耗するという状態が多発している。スリ板と補助スリ板の間には10mm程度のスキ間(溝)があり、ここに架線が入ってしまえば切断等の大事故になりかねないが、これも支社は「原因不明」と回答したままになっている。
 ここに載せたのは、ごく一部だが運行中に起きた事故・故障は、大丈夫でも一斉点検するが、新保全・交検で発見したものは、重要と思わないという当局の体質がある。

安全が崩壊する
 こうした状況の中で、新保全体系により見るべき箇所、検査すべき箇所が減らされ、要員も削減されるということが何を意味するのかは明らかだ。千葉支社は、新保全体系合理化を撤回し、元の交検にもどせ。職場からの抵抗闘争を強化し、新保全体系合理化粉砕!要員削減阻止!検修・構内業務の外注化阻止!にむけて闘いぬこう。

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