指先を切断!
8月12日、CTS幕張事業所で、車輪転削業務中に指先を切断する重大な労災事故が発生した。受傷したのはJRからの出向者。早く作業に着手しようとして手を車輪に挟んでしまった。
しかし、起きるべくして起きた事故でもあった。幕張では、車輪転削機の改修工事が予定されており、工事が始まれば長期わたって削れなくなる。そのため、今は土日も返上して転削作業が行なわれているのだ。そうじゃなくとも時間内に作業が終わらないこともたびたびある状態であった。
しかし、JRは車輪転削業務を外注化し、いっさいの責任を放棄していた。一方、業務を受託したCTS側には、車輪転削業務について安全管理をしたり、技術指導したりする体制は全くない。それまで、車輪転削業務など行なった経験は全くないのだがら当然だ。それゆえに、実際の作業担当者はJRからそっくり出向させるという、露骨な偽装請負によって業務が遂行されていたのである。
さらにこの間は、CTSプロパー採用の労働者も配置され始めていた。つまり、企業としては、作業を指示したり責任をとる体制が全くないまま、日常の業務は現場の労働者にまる投げされている状態なのだ。
頻発する作業ミス
それだけじゃない。われわれは、指先切断事故が起きたこの日、丁度同じ位の時間に、JR千葉支社に対して、車輪転削業務の委託契約を解除し、直ちに直営に戻すよう求める申し入れを提出したところであった。CTS幕張事業所や京葉事業所で、重大事故につながりかねない作業ミスが頻発しているのだ。
幕張では、ATS―Pの車輪径を誤って設定してしまう作業ミスが、7月18日と8月1日に連続して発生していた。7月18日の件は、銚子派出から、同列車のATS―Pパターン常用最大が動作するので確認してほしいという連絡が入り、調査の結果わかった。8月1日の件は、JR検修助役がチェックシートで発見し、CTSに委託した業務にも係わらず、検修当直とともに千葉駅東部まで出向いて修正している。CTSには全く対応能力がないのだ。そして、12日に指先を落としてしまう傷害事故が起きたのである。
さらに、京葉事業所でも、5月22日に速度発電機の回転子を取り付け間違うミスが起きている。京葉では、その前に車軸を一本オシャカにしてしまう事態も起きており、CTSの労働者たちは「こんな責任の重い仕事をさせるなら、ちゃんとした教育をしてほしい」と声をあげているが、CTSは何もしていない。
このままで重大事故が!
そもそも、車輪転削業務でこれほど作業ミスや傷害事故が頻発するのは、これまで聞いたことがない事態だ。絶対に当該の労働者の責任ではない。外注化そのものが無理だったのだ。業務の経験が全くないばかりか、CTSの事業所にはJRの技管のように技術指導や教育を担当する部門すらない。
CTSとは、清掃部門でも安全教育が全くできていないことや、疑似マスコンキーの取り扱いを契約社員に行なわせていること等について、7月23日に団交をやったばかりであった(7月30日付「日刊」参照)。しかし、団交をやって何日も経たないというのに、疑似マスコンキーをしないまま作業していたということが幕張事業所で起きている。
これも断じて当該の労働者の責任ではない。異動禁止合図の表示や疑似マスコンキーの取り扱いなどは、本来作業責任者が扱うべきものだ。作業者はそれまで列車に触れないのが鉄則だが、そうしたイロハがあいまいにされている。
そして、それをさせているのはJRに他ならない。コスト削減のために委託費を叩いて、ぎりぎりの要員、超低賃金でCTSの労働者を使い捨てているのだ。
安全よりカネ儲け
長い経験がある清掃業務ですらこの状態だ。CTSは、車輪転削や仕業・構内で、これまで経験のない促成栽培的やり方でプロパーの養成を行なっているが、そもそも車両センター構内は事故と背中あわせの職場だ。こんなことをやっていたら、いつか間違いなく人命に係わるような重大事故が起こる。事故が起きたとき、生命を失い、責任を問われるのは現場の労働者だ。運転保安の破壊を許すな。カネ儲けのために安全を破壊するな。委託契約を解除し、検修・構内業務を直ちにJRに戻せ。
次回 労働学校実践講座
『港合同の闘いの歴史と教訓』
8月23日(土) 13時~
中村吉政氏(港合同委員長)