16年1月からマイナンバー制度の利用が開始されようとしている。個人番号は全員に強制的につけられ会社ではすでに社員の番号を集め始めている。
「国民総背番号制」そのもの
政府は「消えた年金」問題を口実にマイナンバー制度を推進してきた。しかし問題はその次元を完全に超えている。社会保障や税だけでなく民間でも利用され、18年から預貯金口座とのひも付け開始も決定されている。
「税の公平性」「富裕層に対する課税強化」のためなどというのは完全なペテンだ。ひとたび制度が完成すれば、民衆から金を徹底的に取り立てることに使われるのは明らかだ。
さらに個人番号カードは、まず国家公務員の身分証として利用が強制されようとしている。民間でも社員証やポイントカードに利用させるという。
また、顔認証や指紋などの生体情報も入力され、運転免許証や健康保険証、キャッシュカードやクレジットカードなど、あらゆる機能をこのカード1枚に集約しようとしている。
こうして一人一人の生体情報から貯金額、健康情報や趣味趣向まで、あらゆる個人情報をマイナンバーにひも付けしてしまおうとしているのだ。
戦争にむけ治安強化ねらう
最大の狙いは国家があらゆる個人情報を監視できるようにすることだ。現実の戦争にむけて治安体制の強化を狙っているのだ。実際、集められた個人情報は警察の捜索のために活用できると政令によって定められている。政府の方針に反する者への弾圧に徹底的に利用されることは間違いない。
住基ネットをめぐる裁判で最高裁は記載される情報が「個人の内面に関わる秘匿性の高い情報ではない」として合憲だと判断した。その最高裁の基準からいっても、マイナンバー制度は明らかに違憲だ。
制度廃止まで闘いぬこう
動労総連合は11月27日、マイナンバーの取扱いについてJR東日本本社との団体交渉を行った。
会社は、「ナンバーの登録は強制できない」「登録しないことで会社においての不利益はない」「行政との関係で支障をきたす可能性はあるが、どのようなものかは会社もわからない」などと回答をしてきた。
しかも取扱者が、「正当な理由なく」情報提供した場合、「4年以下の懲役か200万円以下の罰金」という重罰が課せられる。そんな業務を現場に強制するな!
何より許しがたいことは、これほど重大な問題を労働組合を無視して進めようとしたことだ。組合員一人一人の権利にかかわる問題であり、ナンバーの取扱いに関わる可能性もある。絶対に見過ごせない問題だ。
労働組合として、こんな制度を認めることは絶対にできない。制度廃止まで断固として闘いぬこう。
本社団交での会社回答(11/27)
◎労働組合に対して提案しなかった理由
→労働条件に関する内容ではないから提案は考えなかった。
◎マイナンバーの登録
→会社としては、マイナンバーの記載が義務づけられていることから、登録をお願いすることになる。あくまでも個人の番号であり、強制はできない。
◎登録しないことによる不利益について
→登録しないことで会社においての不利益はない。行政との関係で支障をきたす可能性はあるが、どのような支障かは会社もわからない。
◎マイナンバーを取り扱う者について
→現場長が規定に関する講習の受講者から選任する。現場の規模により取扱者の下で業務を行う者を指定する場合がある。取扱者は最小限に止める。
◎登録する際の取扱いについて
→会社から報告票を渡して提出してもらう。取扱者の下で、本人確認及びナンバーの確認を行う。配偶者、扶養者の登録もお願いする。
◎登録後の情報管理について
→本社に集まった報告票の取扱いはJR東日本パーソナルサービス(JEPS)に委託する。情報漏えいが発生した場合は、その状況に踏まえて対応するとしかいえない。
◎出向者のナンバー登録について
→JEPSの専用窓口に直接郵送してもらう。免許証のコピーなどで本人確認を行う。ナンバーが間違っている場合は、再度記入をお願いする。