「現業機関における柔軟な働き方の実現について」 「融合化」提案の本質②

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5月26日、「現業機関における柔軟な働き方」なる提案が明らかにされた。攻撃の本質を3回にわけて暴く。(第2回)

【攻撃の狙い2】乗務員の融合化・外注化

“職名全廃”と“融合化”は一体の攻撃だ。だが、提案の本当の狙いは単なる融合化ではない。

今回の融合化攻撃の最大の特徴は、乗務員区に狙いを定めていることにある。JR東日本の乗務員(運転士・車掌)数は約1万3千人。全体数の3割を占めている。それがJR本体に残っており、その他業務の外注化政策の中で深刻な矛盾を生み出している。

駅を次々に無人化、委託・外注化した結果、運転士として養成していく〝原資〟が居なくなろうとしているのだ。駅→車掌→運転士という養成体系なのに、駅員はほとんど別会社の人間になってしまっている。

車掌は、中編成だろうが、長編成だろうが、安全を犠牲にしたワンマン化で廃止していくという方策がたてられても、運転士はそうはいかない。会社は“これからはドライバレス運転だ”というが、それは多額の投資が見合う一部の線区だけのことだ。

われわれはこの間、JRに対し「会社は駅外注化を急激に進めているが、今後の運転士の養成はどうするのか?」と追及し続けてきたが、会社はそれに沈黙し続けた。そして出てきたのが今回の提案だ。

乗務員を駅・事業店舗等の生活サービス業と融合化する。どちらもその多くは外注会社が運営している。つまりJRは運転士をまとめて外注化―別会社にしてしまうハラを決めたとしか考えられない。融合化で運転士の大リストラをを断行し、外注化する。そうすれば運転士の養成をどうするのかという現下の最大の矛盾も「解決」できる。それがこの攻撃の最大の目的であるとみて間違いないように考える。

【攻撃の狙い3】管理部門の大リストラ

もう一つ、大きな狙いがあるように思われる。それは異常に肥大化した管理部門、管理者層を大リストラすることだ。

正確な人数はわからないが、JR東日本には1万人を遥かにこえる管理者層が存在しているはずだ。現場の要員数は、国鉄時代と比べて全系統で半分以下になっている。それなのに管理者層だけが膨れ上がっていった。

発端は組合潰し―労務政策のために管理者を増やしたことにあった。しかし、そうした管理者を昇進させるために意味のないポストが次々につくられ、自己運動的に肥大化していったのだ。

JRがどれだけの規模で「一部支社機能」を新しい現業機関に下ろそうとしているのかは不明だ。だが、こうした仕組みを作って現業機関を統合し業務を融合することによって、管理者層の大リストラをしようとしていることは明らかだ。

デイヴィット・グレーバーというアメリカの学者が「ブルシット・ジョブ」という本を書いてベストセラーになっている。日本語では「クソどうでもいい仕事」と訳されている。新自由主義政策下の社会では、無くてもいい会議のための資料を集めて書類を作ったり、現場で働く者を管理・監視し点数を付けるために一日を費やしたり、「その存在を正当化しがたいほど無意味で社会的に不必要な、蜃気楼のような仕事」が膨大に生み出された。その一方で社会にとって絶対に必要な仕事(エッセンシャルワーク)の処遇が徹底的に低められたことを明らかにしている。まさにJR東日本がやってきたことだ。

【攻撃の狙い4】分社化・転籍、グループ会社再編

JR東日本はホールディングス(持株会社)化を考えている。それはグループ全体を操るような機能だけをJR本体に残し、その他の業務は「水平分業」し、さらには下へ下へと連なる無数のグループ会社に移していく(分社化・転籍)ということだ。1万3千人の乗務員と肥大化した管理部門に手をつけることで一気にそれを進める。それが今回の攻撃の狙いだと考えられる。

今回の提案の中では、車セ・技セ等も「統括センター」と「兼務・連携する」ことが記されているがその具体的内容は分からない。しかし、「変革2027」が明らかになって以降、車両検修関係はそれにふまえた具体的攻撃内容が示されていない。今回の提案を契機に、新たな合理化や外注化計画が打ち出されてくることが予想される。

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