「現業機関における柔軟な働き方の実現について」 「融合化」提案の本質①

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“この会社は終わったな”―――職場では、5月26日に明らかにされた「現業機関における柔軟な働き方」を見て多くの者がそう語りあっている。現場管理者まで「これから乗務員は悲惨なことになるよ」と言っている。

攻撃の本質を3回にわけて暴く。(第1回)

鉄道の歴史をくつがえす攻撃

提案された内容は、第1に、医療関係を除き、現業機関におけるすべての職名を廃止し、残るのは、係員、指導係、主任、副長、所長という上下関係を示す名前だけにする。

第2に、駅と乗務員をエリア毎に融合した現業機関(『統括センター』『営業統括センター』)をつくり、そこに「生活サービス業務」「一部支社機能」も融合するとしている。

規模が大きすぎて統合できない乗務員区も新しい現業機関と兼務・連携させ、エリア内各駅の業務を行う他、「除草効率化チーム」「地域活性化チーム」等に入れるとしており、例外は許さない構えだ。

示された勤務のモデルは「エリア内の駅」「拠点駅」「乗務」「除草・除雪、店舗や“くらしお届けサービス」「企画」等の業務が毎日クルクルと変わっていく姿だ。一日の中でも「出勤時」「日中時間帯」「夕方以降」と時間毎に業務が変わる勤務形態まで示されている。

第3に、具体的な内容は伏せられているが、「グループ会社再編」を今回の提案と一体で進めると位置づけられていることを見逃してはならない。

「融合化」と一体をなす諸攻撃

第4に、同提案を前後して『みどりの窓口』7割削減、月60時間までグループ会社での「副業」に労働者を駆り立てていく制度が提案され、周知のように今3月ダイ改で大規模なワンマン化(車掌廃止)が強行され、2024年に向け一挙に拡大されようとしている。さらには、ジョブローテーション=「同一担務最長10年で配転」制度の導入や、勤務指定と同じように自由自在に休業を命ずることができる就業規則改悪が強行されたことなど、すべてが一体をなす攻撃だと見なければならない。

第5に、今回は詳しく触れることができないが、こうした政策と表裏一体で大規模な地方路線切捨て、廃線化が進められようとしている。JR東日本は「23路線(51線区)の輸送モード転換」と称している。それは1982㎞・全体の35%に及ぶ路線だ。

【攻撃の狙い1】現業機関の職名全廃

現業機関におけるすべての職名が廃止される。乗務職も、車両職も、営業職も、輸送職も、施設職も、電気職も事務職もすべて無くなり、現場の労働者は〝名無しの権兵衛〟のような存在にされるのだ。

昨年、運転士・車掌の職名が奪われて「乗務係」にされるということが起きたが、全職名廃止など誰が予想できただろうか。まさに“ショックドクトリン”だ。様々な職種で働く労働者とその仕事の専門性など“何の価値もないもの”として扱い、際限のない競争に駆り立て、団結を破壊する。

現場は、重い責任がのしかかり、不規則でまともに睡眠をとることもできず、神経をすり減らす仕事を24時間守りぬいている。それなのに会社は“そんな仕事は何の価値もないものだ”と言いつのり、“付加価値を生む仕事をやれ!”“利益を生む仕事をやれ”“それができない者は必要ない”と言うのだ。絶対に許せない。

一方、運転・車掌、車両検修、駅、保線、電力、信号通信、機械、建築等、多種多様で膨大な技術分野をもつ鉄道会社にとって、それぞれの技術力や技能をもった人材の養成という問題は企業経営の根幹をなすことであった。何年にもわたる経験や教育を重ねなければ一人の労働者を育てることもできない。だから鉄道会社には無数の養成体系が存在し、それに伴う施設や設備が存在する。今回の“職名全廃”は、JR資本の側から見れば、それを完全に放棄することを明示に表明したことを意味する。

JRは「そんなことは全部AIで置き換えられる」かのように言うが、そんなことは100%ウソだ。それは今JRがやっていることを見れば明らかだ。人でなければできない仕事を次々に外注化して放り出しているだけのことだ。

 

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