「エルダー社員」制度でJR東日本本社と団交②

6481

「エルダー社員」制度交渉報告②
「指導添乗」にあたっての明確な位置づけはなし

(6480号からの続き)
 「エルダー社員」制度では、原則出向の外、JR本体において勤務する場合があるが、この場合「指導添乗」が行われるとしている。しかし、どのような立場で「指導添乗」が行われるのかは明確な回答行われなかった。概要は左記のとおり。

「エルダー社員」制度に関する申し入れ(動労総連合申10号)に対する回答
申し入れ
回答及び見解

7.「労働条件等」について、次の点を明らかにされたい。
(1) 「転勤等」について、出向先会社の変更も含まれるのか。

◇出向先での勤務先が変更になる場合はどうするのか。

【文書回答】個別に判断することとなる。
【口頭回答】
本人と出向先会社の業務がマッチしない場合、個別に判断することになる。

◆勤務地が代わる場合は、JRが事前に本人に連絡することになる。

(2) 出向先での「勤務評定」について、どのように行うのか。 【文書回答】エルダー社員の業績、態度、知識、技能を公正に判断して勤務評価を行うこととなる。
【口頭回答】
出向先会社からJRに報告してもらうことになっている。従来から同様の方法で行っている。
(3) 業務上の災害等により療養した場合の「解雇」の取り扱いについて。 【文書回答】業災休暇については、社員と同様に取り扱う。
【口頭回答】
業災の場合、労基署の判断が出るまでは私傷病の扱いになるが、業災の判断が出た場合、遡って適用することになる。
(4) 「フルタイム勤務」「ハーフタイム勤務」の選定の考え方について。

【文書回答】会社において勤務するエルダー社員については、基本的に、系統にかかわらず適用可能と考えている。なお、出向するエルダー社員については、出向先会社において、会社におけるハーフタイム勤務に相当する規程がある場合に適用することがある。
【口頭回答】
自己申告及び面談時に「ハーフタイム勤務」を希望するかどうかを把握する。しかし、本人が希望しない場合には、「ハーフタイム勤務」になることはないと考えている。

□ただし、出向先会社の業務量の関係で、ワークシェアリング的に業務を分ける場合もあり、この時は本人に内容を説明することになる。

(5) 「年次有給休暇」の勤続期間の計算について、会社において勤務する場合と、出向者で違う取り扱いとした理由について。
 また、「ハーフタイム勤務」の年次有給休暇の取り扱いについてどのようになるのか。

【文書回答】提案内容のとおりである。
【口頭回答】
年休の取り扱いは、JRに残る場合も、出向になる場合も、JRと同様の取り扱いになる。

□ハーフタイム勤務は、 週平均21時間程度とし、 「 休日」 「 時間」 の二種類となる。「 休日」 の場合には、 年間の特休が168日で通常より多いため、 年休は11日で、 増加はしない。
□「 時間」 の場合は4時間30分の労働時間になる。年休は20日となる。この場合、 年休は1勤務に対する年休となり、1日単位で消化することになる。

(6) 「エルダー社員」が行う指導添乗とは、具体的にどのような業務を考えているのか。
(7) 「指導添乗等」の「等」とは具体的に何を想定しているのか。
(8) 指導添乗にあたって、「エルダー社員」がハンドルを握ることはあり得るのかどうか。

◇指導添乗中に運転士の急病等が発生した場合、ハンドルを握ることは想定しているのか。職制、職名を設けない中で、ハンドルを握ることはできないと思われるが。

【文書回答】会社において勤務するエルダー社員が、乗務員の添乗指導を行う場合などを想定している。
【口頭回答】
指導員が行う一般的な指導添乗+αでの業務を行ってもらう。「等」とは、アドバイザー的な役割を含むという意味合いである。

□ハンドルを握ることは想定していない。また、制服については、JRと同様の制服になる。
◆特には想定していないが、確認し、改めて回答する。

(9) 「エルダー社員」が行う「人材育成」「技術継承」「指導添乗等」の指導的業務は、指揮・命令の権限などどのような立場で行われるのか。 【文書回答】指揮命令系統には入らずにアドバイザー的な役割として、人材育成や技術継承を目的とした業務に従事することとなる。
【口頭回答】
現場長の指示を受けて業務を行うようになる。
(10) 「乗務員及び自動車乗務員の勤務制度は設けない」とした理由について。 【文書回答】会社において勤務するエルダー社員は、人材育成や技術継承を目的とした業務に従事することとなるため、乗務員や自動車乗務員の勤務制度は設けないこととしたものである。
【口頭回答】
アドバイザー的な役割を担ってもらうことから、乗務員等の勤務は設けないこととした。
(11) 出向先のグループ会社等が倒産等になった場合の取り扱いについて。 【文書回答】個別に判断することとなる。
【口頭回答】
このような場合は、JRで改めて別の出向先を提示するようになると考えている。

(12) 「基本賃金」額の根拠について。また、「等級区分」「地域区分」とした理由について。

◇「地域区分」と出向先会社の関係はどのようになるのか。

【文書回答】基本賃金は、功労金及び公的給付を含む手取り額が、再雇用機会提供制度の最低基準額の場合の手取額を上回る水準となるようにすること等を勘案して設定したものである。
 なお、 等級区分及び地域区分については、 再雇用機会提供制度における最低基準額の設定方法を踏まえつつ設けたものである。
【口頭回答】
賃金については、「シニア制度」と同じように等級と地域の仕組みにした。今回の制度は、「シニア制度」よりも賃金としては数万円上回るようにした。

◆「地域区分」は、出向先会社が存在する地域を指しており、これにより基本賃金が決定する。基本的には退職時の地域が主な地域になると思われるが、仮に首都圏や東京地域に配属になった場合には、配属先の地域区分として基本賃金が決まる

(13) 今回提案の制度による出向先が、出向特別措置の支給対象となるのかどうか。 【文書回答】エルダー社員の賃金種別に出向特別措置は設けていない。
【口頭回答】
現役社員が出向した場合の取り扱いであり、退職後のエルダー社員には適用されたい。
(14) 金額を調整する場合の「特に必要と認めた場合」とは。 【文書回答】基本賃金について「特に必要と認めた場合」とは、人材育成や技術継承を進めるうえでグループ会社内での人材確保が必要不可欠な場合等の例外的なケースを想定している。
【口頭回答】
優秀な人材が他企業に引き抜かれないようにする場合、特に賃金面で調整する場合がある。
(15) 「割増賃金」で、1時間当たり賃金額の算式の分母を、「フルタイム勤務」で「155.8」、「ハーフタイム勤務」で「90.6」とする理由について。 【文書回答】割増賃金の1時間当たり賃金額については、エルダー社員に適用される勤務種別のうち1月平均所定労働事件数が最短となる勤務種別の時間数を用いて算定することとしたものである。
【口頭回答】
乗務員制度を設けていないため、日勤勤務による年間所定労働時間を算定した。計算式は以下のとおり。
フルタイム勤務  1870.4時間・12ヶ月=155.8
ハーフタイム勤務 1087.3時間・12ヶ月= 90.6

8.「福利厚生等」について、次の点を明らかにされたい。

(1) 社宅・寮の利用について、「社員から継続して入居する場合」とした理由について。 また、定年年齢前に再雇用先の勤務地が決まった段階で社宅・寮に入居することができるのかどうか。

【文書回答】住宅については、急激な住環境の変化を考慮して特に認めるものである。
【口頭回答】
再雇用に伴い異動が発生した場合は、特に認めることになると思うが、それ以外は新規の入居は認めることはできないと判断している。
(2) 「カフェテリアプラン」及び「社員共済会、社員持株会、社員預金、財形貯蓄、団体定期保険」を利用する場合の手続等について。 【文書回答】カフェテリアプラン及び社員共済会、社員持株会、社員預金、財形貯蓄、団体定期保険を利用する場合の手続は、社員の場合と同様である。
【口頭回答】
特段の申し込みや手続きを行うことなく継続できるようにしたいと考えている。
9.社員の年齢構成等について、次の点を明らかにされたい。
(1) 社員の年齢別構成人員の詳細。
(2) 社員数及び、鉄道事業の標準数、現在員数。
(3) 出向予定先のグループ会社等の数及び出向受け入れ可能数。
(4) 現在の出向者の総数。
(5) 再雇用機会提供制度における再雇用の総数。

【文書回答】平成18年4月1日現在の社員数は、約65380人、うち出向者数は約8920人である。
【口頭回答】
今後、年間約2000人から2500人が退職すると見込まれている。

□新採については、年間約1400人程度を採用している。

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
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