参考:声明文&画像
政府・文部科学省は「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史と公民の中学生教科書を検定合格させた。「つくる会」教科書の特徴は、日本の戦争犯罪の事実や被害者数の記述がただの一ヶ所もなく、日本の戦争犯罪それ自身を抹殺する一方で、他国の戦争犯罪は具体的人数を挙げて記している。この教科書は、歴史を歪曲し、戦争賛美、皇国史観の教科書である。アジア人民の怒りの声に応えこの「つくる会」教科書を弾劾し、採択を阻止しなければならない。
「つくる会」教科書攻撃と一体の教育改革関連法の成立、教育基本法の改悪を阻止しなければならない。5・27闘争は改憲と戦争に突き進む小泉内閣打倒の重要な闘いになった。5・27全国闘争に総決起しよう!
「つくる会」教科書の作られた背景
一九九〇年代、歴史教科書における侵略戦争の記述は、日本軍軍隊慰安婦政策、南京大虐殺、強制連行の記述が増えるなど一定の改善を見せてきた。97年度以降使われてきた中学生用歴史教科書では、全社で日本軍軍隊慰安婦についての記述がされた。
その背景には、朝鮮・中国-アジア人民の多くの戦争犯罪の被害者、遺族からの日本に対する告発・糾弾があったからであった。
これに対して95~96年以降 「自由主義史観研究会」などの勢力が日本軍軍隊慰安婦、南京大虐殺の記述を「反日的・自虐的・暗黒的」と非難し教科書から排除せよと運動してきた。
97年には「新しい歴史教科書をつくる会」を結成し、教科書作成と採択運動を展開してきた。
侵略の歴史の抹殺
第一に、侵略戦争と植民地支配の歴史を隠蔽し、戦争を賛美し正当化している。アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、
「アジア諸国の独立のきっかけとなった」と肯定する立場を貫いている。
「日本政府はこの戦争を大東亜戦争と命名した。日本の戦争目的は、自存自衛とアジアを欧米の支配から解放し、そして『大東亜共栄圏』を建設することであると宣言した。
「戦争の当初、日本軍が連合国軍を打ち破ったことは、長い間欧米の植民地支配のもとにいたアジアの人々を勇気づけた。日本軍の南方進出は、アジア諸国が独立を早めるきっかけとなった」
また、南京大虐殺のついては「この東京裁判では、日本軍が一九三七年、日中戦争で南京を占領したとき、多数の中国人民衆を二〇万人以上を殺害したと認定した。(南京事件)。なお
この事件の実体については資料の上で疑問点も出され、様々な見解があり、今日でも論争がつづいている」と南京大虐殺の事実そのものに疑問をはさみ、否定しようとしている。
また、軍隊慰安婦問題については一言も言及していない。そもそもこの「つくる会」運動の狙いはこの日本の戦争責任を追求し、生き証人としての軍隊慰安婦を抹殺することだったのだ。そのため97年度から使われた教科書では全部の教科書で軍隊慰安婦の記述がされていたのに、「つくる会」教科書の検定合格と一体の政府・文部省、自民党の介入により今回検定に合格した他の教科書でも「慰安婦」の言葉を使わなくなったのだ。この残虐な戦争犯罪の事実を消しさることはできない。
皇国史観と天皇のための死を賛美
「つくる会」教科書は神話が大量に盛り込まれ、しかも神話と史実を意識的に混同して書いていることだ。「神武天皇の東征」では神武天皇が「初代天皇」に即位したと書き「神武天皇が
進んだと伝えられるルート」なる地図を掲載している。そして、かつての一九三一年から始まった十五年戦争を神武天皇の東征神話になぞらえて戦争の目的を「神武天皇以来の大事業である八紘一宇の理想を実現するための戦争だ」と宣伝した。そして中国侵略戦争は乱暴で道理にもとる中国を懲らしめるための戦争として遂行されたのだ。
また、「つくる会」教科書は、「教育勅語」を全文掲載している。「教育勅語」はこの戦争を遂行するために「日本国民」は臣民として天皇に仕え、いったん国が危険な事態に直面したならば一身を捧げて天皇とその治世を守らなければならないと説いたのだ。
そして戦争そのものを賛美し、「玉砕」や「特攻隊」という言葉が当たり前のように教科書にのり、国のために死ぬことが美談として取り上げられている。
「玉砕」とは玉が美しく砕けるように名誉や忠義を重んじて潔く死ねということである。実際は、弾丸や食料の補給が途絶えても戦闘をつづけ「生きて虜囚の辱めを受けることなかれ」と降伏して捕虜になることを禁じ、攻撃に参加できない傷病者は自決させられ、全員が戦死させられたのである。
「つくる会」教科書は沖縄線についても国体=天皇制維持をするために沖縄県民が積極的に闘ったかのように描き、日本軍による沖縄県民の虐殺や集団自決の強要、国体護持のための捨て石にされたことを隠蔽しているのだ。
こうした内容の教科書で子どもたちを教育し、実際に戦争を出来る国を作ろうとしている。
「つくる会」教科書の採択を阻止しよう。侵略戦争のための 「教育改革」とそれに連なる改憲攻撃を粉砕しよう!5・27闘争に結集し全国の闘う仲間と共に闘おう!