総延長約200㌔が「一職場」
統括センター化で権利を根本から破壊
7月に狙われている全駅の(営業)統括センター化は労働者の権利を根本から解体する攻撃だ。そして、鉄道の専門的な技術・経験を否定して労働者の誇りを奪うイデオロギー攻撃だ。それによって現場労働者同士を分断し、労働組合を一掃しようとしている。
職場も職種も勤務指定一つ
統括センター化では広大な範囲が「一職場」とされる。茂原統括センターでは大網~鴨川駅で営業キロは70・4㌔、エリアとしては総延長102・1㌔もの広大な範囲が「一職場」だ。木更津統括センターでは内房線と久留里線で総延長135・6㌔、成田統括センターは何と総延長198・3㌔だ。
これほど広範な範囲が駅も運輸区も「一職場」として扱われる。「今日は銚子駅、明日は運転士、次の日は成田駅」といったことが勤務指定一つで決められるということだ。
労働者の権利や労働条件は、「どこで、どんな業務をして働くか」ということと切り離すことはできない。統括センター化は、広範なエリアにわたって職種も勤務地も、勤務指定一つで会社の好きにできるというものだ。それは、労働者の労働条件と権利の根本からの解体攻撃だ。
とくにその焦点は、鉄道にとって最も中心をなす職種である乗務員にあてられている。乗務員の労働条件・権利の破壊を通じて、すべてのJR・グループ会社の労働者の権利を奪おうという狙いだ。
団結破壊するイデオロギー攻撃
統括センター化に含まれていない運輸区も次々に「兼務」が発令され、業務融合化攻撃が進められている。だが、こんな形で「業務融合」する合理性など何もない。
それは、乗務員であっても駅業務、企画業務、草刈り、コンビニの品出し等もやらせ、「どの場所で、どんな働かせ方をさせても文句を言うな」「すべて会社の自由で、それが当然だ」と考え方を転換させるための攻撃だ。
鉄道の安全は各系統の専門的な技術・経験によって守られている。しかし、会社は乗務員さえ「片手間仕事」とし、専門性を「必要ないもの」のように扱おうとしている。鉄道業務そのものを軽視し、安全を守る現場労働者を軽んじて、労働者から誇りを奪うイデオロギー攻撃だ。それを通じて、労働者同士を分断し、競争に駆り立て、団結と労働組合を破壊する攻撃だ。
〝企業の壁を超えた働き方〟
業務融合化攻撃は、「グループ内副業」とも一体の攻撃だ。深澤社長は「これからは仕事、系統の壁だけでなく企業の壁も越えていく」と語っている。「副業」という形を通して、「偽装請負」などの制約をなし崩し的に解体することまで狙われている。それは鉄道業務の全面的な外注化、分社化・転籍へと突き進むものであり、グループ会社の大リストラ・大再編を不可避とする攻撃だ。
攻撃を打ちやぶる展望を開くのは職場からの闘いと労働組合の力だ。職場から本気になって声を上げることの持つ力は決して小さくない。今こそ闘う労働組合を職場に取り戻そう。