12月16日、第17回動労総連合・出向命令無効確認訴訟が行われ、第2回証人尋問が行われた。傍聴希望者が170人を超え、大法廷を埋め尽くして裁判闘争を闘った。
現場から安全破壊・偽装請負暴く
初めに証言にたった動労水戸・石井委員長は、動労水戸結成から一貫して不当労働行為が行われてきたことを明らかにした。
またMTSの水戸、大子、土浦事業所ではプロパー社員がまったく育成できていないという、MTSの養成の実態を暴いた。
唯一、仕業検査と構内運転が別々に行われている勝田事業所ではプロパー社員が育成されている。しかし、勝田から他事業所へプロパー社員を配転したが、そこでは一本にすることができずにいる。さらに、大子では夜間にMTS作業責任者が不在となるため、大子のJR当直、水戸のMTS作業責任者、大子のMTS作業者の間で何往復もFAXでのやり取りが必要になる。実際に、輸送混乱で計画担当者が仮眠も出来ない状態が発生した事実を突きつけた。
そして、MTSが動労水戸のスト対策で東労組組合員に休日出勤を命じたことをめぐってJRが団体交渉に応じ、スト対策のためにJRが出向者を増やしたことを証言した。まさに偽装請負そのものの実態だ。
次に動労水戸・藤枝組合員が、外注化によって引き起こされた勝田車両センターでの脱線事故について証言した。
この事故の根本原因は、外注化で誘導補助者が削減されたことだ。それが検修担当者の、「電車の動力で動かすことはない」という思い込みを生み、指揮命令系統が分断されたことで事故が発生した。
外注化がいかに鉄道の安全を破壊しているかを、現場の実態から暴ききった。
動労連帯高崎・漆原副委員長は、入区の順序変更等がJR駅員や信号から直接指示されるといったことが横行しており、発注書もない中で作業にあたらされることが何度も起きていると証言した。また、16年3月に籠原駅で起きた漏電・炎上事故について製造から48年もたった碍子が使われ、高さ8mの場所を目視で点検していたことを暴いた。メンテナンス部門の外注化で責任が曖昧にされ、技術継承も寸断された結果であることをJR・裁判所に突きつけた。
反対尋問で会社側弁護士は、「エルダーの行き場がなくなるからプロパー社員を養成するなというのか」「組合員にも出向を望んでいる人がいるのではないか」などとふざけた尋問を行った。
これに対し、「すべて外注化が悪い」「元の仕事を続けたいが出向以外の選択肢が奪われている」「職場をJR本体に戻せ」と、証人に立った仲間と傍聴席が一体となり、怒りに燃えてJRを徹底的に弾劾した。
「3年」に根拠なく実質的転籍に
会社側証人の齊藤庄一(本社運輸車両部次長)は、 外注化強行時に水戸支社の外注化施策策定、遂行の責任者だった。
反対尋問での弁護団の追及を前に、「3年で出向を解除する計画はなかった」「当初10年を目標にしていた」と語り、会社の言う「3年」が何の根拠もないことが改めてはっきりと示された。さらに、「若い人はJRに戻していく」とし、国鉄採の仲間を戻すつもりが初めからなかったことまで証言した。完全に実質的転籍だったのだ。
勝田での脱線事故について、本来であれば電車の動力で押し込むよう作業を変更する前に、新たな発注書が必要なはずだ。このことについて何と、「緊急時なので発注書を出さなかったことは処分の対象ではない」とした。この作業変更は単に作業を早く終わらせるためのものであり、緊急性など一切存在しない。会社の言う「緊急」がいかに恣意的であるかも明らかになった。
また、「出向者を増やしたことは動労水戸のスト対策ではない」と証言した。
しかし弁護団から、「以前から一人不足していると言われ続けていながら、なぜ動労水戸のストの直後に出向者を増やしたのか」と追及され、「ただの偶然」と苦しい言い訳に逃げるのが精一杯だった。
終盤には、勝田事業所のFAXでのやり取りについて、「作業は煩雑にはなっていない」というなど支離滅裂な証言が続き、完全に追い詰められ切った姿を露呈した。
1・13出向裁判に大結集を
証人尋問では組合側が完全に会社を圧倒している。次回は動労千葉・田中委員長とJR本社の証人尋問が行われる(1月13日9時50分~ 東京地裁103号法廷)。さらなる大結集で闘いぬこう。
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