11・2労働者集会へ① 解雇撤回要求なき「政治決着」に反対する・上

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11・2労働者集会①
解雇撤回要求なき「政治決着」に反対する

 1047名闘争が重大な岐路にたっている。4者4団体によって進められている現在の政治決着運動は、明らかに進むべき道を過っている。現在の政治解決運動は、政府・鉄道運輸機構やJR、連合などに全面的にひれ伏すような形で進められているのが偽らざる現実だ。
 「最終局面」「有終の美を飾る」「雇用、年金、解決金の三項目は譲らない」「解雇撤回を下ろしたわけではない」等、語られていることと、実際に進められていることは天地ほどにも開きがある。聞こえのいい言葉だけで現実の深刻さから目をそらし、おそらくは自分自身をもごまかして事が進められている。その実態は酷いものだ。それだけは絶対にやってはならない見本のようなことが進行している。こんなことで「納得のいく解決」が実現されることなど絶対にありえない。

政治解決運動の現実

 そもそも現在の政治解決運動は、政府やJRに対し「詫び状」を提出することから始まっている(06年)。「4党合意」を破たんさせたことに対するものと、JR東日本の株主総会を「混乱」させたことに対するものだ。一体なぜ首を切った相手に「詫び状」など出さなければいけないのか! こんなものを出してすがる「解雇撤回闘争」とは一体何なのか! そして次が民主党への「白紙委任」(07年10月)だ。
 また、この過程でJRとの「包括和解」が進められ、すべての不当労働行為事件が取り下げられた。さらには、スト生活資金の積み立ても止めている。これはストライキの放棄を社会的に明らかにしたことを意味する。こんなことをしていて、解雇撤回闘争の勝利などありえないのは自明のことだ。
 そして、7月末に開催された国労大会は、こうした姿勢を大会という最高決定機関の意志として明らかにするものであった。高橋委員長は、次のように、政府、資本、連合、民主党にひざまずく重大な態度表明を行なったのである。しかも、闘争団も含め、誰からもひと言の批判もでずに大会は終わっている。逆に闘争団ニュースでは、「力強いあいさつだった」と総括されている。

●国土交通大臣を神のようにあがめる
 大臣の言明はまさに真夏の日輪がほのかに黎明を兆す朝を象徴するものであり発言を受け止めた闘争団遺族の思いは、両衫(りょうさん)を湿らせるが如き感慨にあるといっても過言ではありません。
●JR資本への全面降伏
 国労として、20年間の労使関係を抜本的に転換させるため、正面から会社と向き合っていきたい。
●連合路線への転落
 連合は『貧困と格差』の是正を最重要課題として真正面から取り組むとともに、JR不採用問題の解決を労働界全体の課題であるとの立場からさまざまなご協力をいただいている。連合とは、中央・地方における連携の強化をさらに追及していきたい。
●民主党の全面賛美
 民主党をはじめとした野党の躍進によって、国民生活重視の政治の流れが創りだされました。

 この大会で、闘争団・原告団を代表して発言した代議員が「雇用要求」として訴えたのは、「闘争団が運営する事業体に対し、JR関連会社の下請けや仕事の発注、駅舎内のテナントでの活用などJRからの支援策を求めていくことになる」というものであった。「雇用・年金・解決金の三本柱」というが、その「雇用」も、あらかじめここまで要求を引き下げ、しかもそれを公言してしまっている。ただひたすら頭を低くしてお願いする。これではまさに奴隷の道だ。

いわれなき非難
解雇撤回要求なき解雇撤回闘争?

 国労本部はこれまで、「国鉄改革法の承認」「JRの発展に寄与する」等の態度表明を行い、ついには4党合意を受け入れてそれに従わない闘争団員を統制処分し、抗議する組合員を警察権力に売り渡すところまで後退を重ねてきた。そして今度は4者4団体という形をとって「統一要求」から解雇撤回を引き下ろしてしまったのだ。「解雇撤回要求なき解雇撤回闘争」など絶対にありえない。それどころかこの間は「不当労働行為の有無」すらあいまいにしようとしている。4者4団体は「解決要請署名」を取り組んでいるが、その文面では「被解雇者4者は、不当労働行為の有無を前提にするのではなく、……」と明記されているのだ。解雇撤回を取り下げ、不当労働行為の有無すらあいまいにして、一体どうして勝利がかちとれるというのか。
 しかもそれは、今、解雇撤回闘争を貫こうと訴える者に対し、「解雇撤回を掲げ、和解を拒否して突っ込む『アホ』がいる」(9・24鉄建公団訴訟控訴審報告集会)「考え方が違うのだから別にやればいい」等、いわれなき非難が投げかけられる事態にまで至っている。「政治決着以外の道はないではないか、動労千葉は永久闘争主義者だ、玉砕の道だ」というのだ。闘いの主体自身の中で、「石が浮かんで木の葉が沈む」ようなことがまかり通っている。

和解・政治決着について

 日本の労働運動は、長い歴史の中で、これまで数多くの解雇争議を経験してきた。勝利があり、敗北があり、また様々な形での和解決着があった。しかし、解雇撤回をめぐる争議で、相手側が和解交渉の席にもついていないのに、あらかじめ解雇を容認して和解を求め、「納得のいく解決」をかちとった例など一度もない。それは労働運動の常識だ。そうしたこともわきまえない人たちが、何か浮き足立ったかのように、政府・鉄道運輸機構への幻想だけを頼りに進めているのが現在の政治解決運動だ。和解や政治解決は、団結と闘いの戦列が強化・発展していったときにはじめてなりたつものだ。だが実際に行なわれていることは、絶対に譲ってはならない最後の一線まで譲り、とめどない後退を続けているだけである。
 動労千葉は、国鉄分割・民営化に反対して闘った二波のストライキを理由に不当解雇された28名の解雇撤回闘争で、1997年に勝利的和解をかちとった。全員の解雇を撤回させたものの、国鉄時代の解雇だったこともあり、原職復帰を実現することはできなかった。だから完全な勝利ではない。しかしそれは「『解雇』の二文字が消えない和解は絶対に認めない」という一点で闘いぬいた結果であった。旧国鉄側は「公労法解雇を撤回したことなど前例がない」と激しく抵抗した。われわれの側の揺るがない構えだけが、そうした抵抗を打破できた、ただ一つの根拠であった。そうしてかちとった勝利だったからこそ、団結は強化され、今日までJRとの非和解的な闘いを貫く土台となったのである。
 われわれは「玉砕の道」など絶対に歩んでいない。分割・民営化から今日まで動労千葉ほど団結を守り、被解雇者を守って、原則的な闘いを貫いてきた労働組合はないと自負している。

何が問題か?

 「闘争団はもうもたない、1047名闘争は正味期限切れになる、こういう現実だから仕方がない」という言い方がされている。「仕方のない現実」によってすべてが正当化されている。しかし、現実を変えようのないものと見て屈服していくのか、現実を労働者の団結した力で変革していくものとして見るのかは労働運動にとって根本問題だ。こういって後退を続けた結果が、「貧困と格差」の現実であり、その出発点が国鉄分割・民営化だったのではないのか。困難に直面したときに、問題は指導部の構えにあるにも係わらず、それを現場や情勢のせいにして後退を繰り返すという否定的現実も、これまで日本の労働運動が散々経験してきたことだ。22年間不屈に闘い続けてきた1047名の労働者たちはそんなヤワな存在ではない。魚は頭から腐る。問題は4者4団体の指導部にある。今1047名闘争をめぐって起きている問題は、日本の労働運動全体とって決定的な路線問題だ。
 「当事者がいいと言えばいいではないか」という声がある。しかし、1047名全体に現実が正確に伝わってはいない。
 問題は、このような屈辱的な形で「和解」を進めることによって、1047名や国労、そして日本の労働者・労働組合の団結が少しでも強化され、闘いが一歩でも前進するのか、ということだ。絶対にそうはならない。
 鉄道運輸機構側の構えは「和解交渉は金銭のみ、金額は500万円マイナスα」だ。1047名の誇りは打ち砕かれ、生活は困窮し、自殺者がでるような事態になりかねない。国労は連合派に最終的に転落し、これまで以上に激しい民営化・労組破壊攻撃が日本の労働者と労働組合を襲うようになることも明らかだ。「1047名闘争はすべての労働者の未来をかけた闘いだ」という、昨日までは誰もが主張していた原点は、今ではすっかり忘れ去られ、誰も語らなくなっている。
(つづく)

11・2労働者集会へ
11月2日  /正午開会
日比谷野外音楽堂
▼生きさせろ!、大幅賃上げ、非正規職撤廃のストライキを!
▼国鉄1047名解雇撤回!
▼万国の労働者団結せよ!
《海外からの代表》
■韓国・民主労総ソウル本部
■ロサンゼルス統一教組
■国際港湾労組ローカル10
ジャック・ヘイマン執行委員

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
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