3月上旬、CTSは各職場代表と労働組合に就業規則改定案を提示した。CTSでは今年から適用となる「働き方改革」関連法に対応するためのものだが、正規・非正規の格差を是正するどころか、賃金その他の大きな格差を居直り、それを固定化するとんでもない内容だ。
契約・パート社員の班長・主任受験資格をはく奪!
2016年10月の就業規則改定で契約・パート社員の無期転換制度ができた。その際、契約・パート社員にも班長・主任試験の受験資格が発生した。班長・主任に登用されれば、それぞれ時給20円・40円が加算、月5千円、1万円の役職手当も支給されることになっていた。今回の改悪案では、この受験資格をバッサリと削除。それに代わる(?)措置として無期転換から5年で、わずか時給10円の加算が提案されている。
正社員にも不利益!
65歳以降の再雇用時に班長・主任の役職・手当をはく奪
正社員が65歳到達で嘱託を終え、65歳以降の再雇用を希望する場合は契約社員としての契約になるが、これまでは班長・主任等の役職はそのまま、役職手当も支給されていた。改悪案ではこれも削除され、「一契約社員」に降格すると提案している。契約社員の超低賃金で主任・班長などの職責を担っているのは矛盾するため、役職も手当もカットしてきたのだ。
少しでも格差を是正するのではなく、労働条件を「下に下げて」合わせることで法的な矛盾を「解決」しようとしているのだ。これの、どこが「同一労働同一賃金」なのか!
「自己啓発、業務改善はしなくていい」→だから低賃金だと居直り
さらに腹立たしいのは、これまでの就業規則では契約・パート社員は「職務に対する知識習得、技能向上などの自己啓発、意見具申などの業務改善」の義務を負うとされていたが、これも改悪案ではバッサリ削除されたことだ。改悪案では「同僚と協力して職務を遂行する」としている。
要するに「社員と契約・パート社員の職務内容の明確化」の名のもと、〝自己啓発も意見具申もしなくていい、だから低賃金のまま一生働け〟とCTSは言っているのだ。
技能の習得や作業の工夫なしに仕事ができるか!
ふざけるのもいい加減にしろ。実際にはみんな、必要な知識や技能を習得し、作業上の工夫や業務改善などもしながら仕事をこなしているのだ。契約社員で「機器取扱者」として責任ある仕事をしている人も多く、駅でも車両センターでも、社員とまったく同じ担務をこなしている契約・パート社員は多々いる。仮に失敗をすれば厳しく責任も追及されてきた。
CTSの3分の2は契約・パート社員であり、現場を担っている者の多くが非正規雇用なのだから当然そうなる。いくら就業規則の字面の上で「職務内容が違う( だから契約・パートは低賃金で固定化)」と確認しようが、CTSの現場は矛盾だらけだ。同じ仕事をしている者には、同じ賃金を出すのが当然だ!
CTSはふざけた就業規則改悪案を撤回しろ!
扶養手当廃止で「生活給」のカットへ
さらに今回の就業規則改悪では扶養手当の廃止(いま支給されている者は10年間は経過措置で支給)、子ども手当の新設が提案されている。これの持つ意味も重大だ。昨年、日本郵便の最高裁判決で「扶養手当支給の差別は違法」との決定が出たため、子ども手当は契約・パート社員にも支給を拡大するとしている。
問題は、扶養手当ではなく子ども手当にした点にある。扶養配偶者に手当支給はなくなり、子ども手当は18歳まで。経過措置期間が終了すれば会社の支出は大幅減になる。
しかもCTSでは社員の平均年齢が高いため、子ども手当支給の該当者はかなり少数とみられる。
さらに、基準内賃金から基準外賃金に外している。これにより期末手当も削減されるなど大幅な賃金の減額になる。
財界は「次は通勤手当廃止」の声
財界ではこの間、「扶養手当廃止」の流れが強まり、大企業では扶養手当から子ども手当の切り替えが進んでいる。労働者が生きていく上で必要な「生活給」的部分は、次々と廃止の対象となっている。
次は「通勤手当も廃止」という声も財界では高まっている。「まさか」と思うかもしれないが、コロナ禍とテレワークの拡大で大手では通勤手当廃止の動きは一気に強まっている。
CTSから提案された就業規則改悪案は、「(正規・非正規の)職務内容の明確化」の名のもと、“職務内容が違うんだから賃金が違って当然”とばかりに契約・パート社員への賃金差別を居直り、格差を固定化するとんでもないものだ。職場から「絶対反対!」「白紙撤回!」の声をあげ葬り去ろう!