能登半島地震・被災地からのメッセージ 出口威(動労総連合北陸委員長) 

能登半島地震に対するみなさまからの温かい思い、激励、ご支援に対して心からお礼申し上げます。引き続きご支援をお願いします。
今回の地震はマグニュチュド7.6で阪神淡路や熊本の7.3をはるかに超え、港が最大4㍍も隆起する大地震でした。その被害は甚大で人命、家屋、生活を奪い去りました。
地震は天災です。しかし、その後に襲ってくるのは人災です。「苛政は虎よりも猛し」と言います。岸田は、被災者に向かって「最大20万円貸す」と言い放ち、旅行業者には「北陸応援割に104億円」と誇らしげに言っています。また、石川県知事の馳は「大阪万博ぜひやって!」と大阪万博を応援しています。いまや政府はサラ金業者になり下がり、知事はイベント屋に精を出しているのです。「こんなひどい政府聞いたことない」「知事は地元のことや被災者をどう思っているのか」と怒りが噴出しています。
そんな最中、輪島市の3中学生250名が1月17日、白山市の青少年の家に集団避難し、共同生活を始めました。ところが、輪島市の教育委員長は2月4日、2つの中学生全員19名を親元に強制的に戻しました。それも教育委員会内で審議せず、教育長と2名の校長で決め、保護者には充分に相談もせずに。安全な家屋もなく、避難生活を続けているにもかかわらずです。
被災した方々で住む所のなくなった方はまず地元の小学校や公民館などに避難しています。この方を1次避難者としています。孤立集落などから丸ごと旅館やホテルなどに避難された方を2次避難者と呼び、ホテルなど希望しても入れず、スポーツセンターなどで待機する方を1.5次避難者と呼んでいます。ある意味では恵まれていると思われる二次避難者には公費が1日1万円でそれで賄われます。
しかし、実態はとんでもないものがあります。一つ目は、「宿は貸すが食事は自分で用意せよ」というところです。毎日、宿からスーパーやコンビニ、食堂を廻っています。食費は全額個人負担です。
二つ目は、3食付きだがその内容がひどいところがありました。アパホテルがそうです。夕食がプラ容器にシュウマイ3個、焼きそばはシュウマイと同じくらいの量、それにご飯です。みそ汁などの汁物も付きません。これを知り、県庁へ猛烈にアタック! 順次改善させ、2月からは避難者が満足する食事になりました。


被災者は住む家も失い、避難所ではいまだ水道が使えず、食器洗いや洗濯さえすることができません。トイレも使用できません。こうした状況か、孤立集落から避難された方は、まず地元の避難所、次いで金沢や小松などの1.5次避難所、ホテルや旅館の2次避難所へたらし廻しをしてきました。3月から線敦賀延伸に伴う観光業社の儲け第一主義に歩調を合わせ、「応援割」を実施、被災者を2月末にはホテルから追い出すというとんでもない事態が発生しています。

2007年3月25日にマグニュチュド6.9の能登半島地震がありました。近年は群発地震が続き、2023年5月5日にマグニュチュド6.5の地震があり、その7か月後が今回の地震です。
去年の5月12日、原発の新規制基準適合性に係る審査会合が開かれました。そこでは「最大マグニュチュド8.1が想定されている」という評価を下しています。私は北陸電力の株主として、そのことを質しましたが聞く耳を持ちませんでした。しかし、それが的中したのです!!
停止中の2基の原子炉は隆起し、変圧器は破損しい、オイルが流出、送電線は破断し電源は遮断されました。内部はどうなっているかはまったく不明のままです。
2014年10月8日、緊急時迅速放射能影響ネットワークシステム(SPEEDI)の運用については、緊急時における避難や一時移転等の緊急又は早期の防護措置の判断にあたって、SPEEDIによる計測結果は使用せず、モニタリングポストの計測結果により判断することに代わりました。ところがモニタリングポストは次々と倒壊し用をなしません。にもかかわらず、岸田は再稼働、新増設をうたっています。
ところで今回の震源地の真上には、中部 ・関西・北陸電力3社で100万㌔ワット2基の建設計画がありました。地元の皆さんがスクラムを組み建設計画を完全に撤回させました。もし建設されていたら、3・11の再来どころか日本には誰も住めなくなっていたでしょう。

珠洲原発、止めて良かった」 反対運動率いた僧侶も被災、避難も屋内退避もできず:中日新聞Web
2013年から西海漁協の方と一緒に保養をはじめ、2016年から独自に保養を続けてきました。それを支えてくれたのが珠洲原発反対闘争を担った方達です。その人たちが例外なく被災しました。この方達の支援を呼び掛け活動してきました。それに応えてくださった方々に重ねてお礼を申し上げます。
能登の皆さんは誰一人として被災しなかった方はいません。全員が被災者です。とりわけ漁業関係者は完全お手上げで、真っ暗闇に叩きこまれています。能登半島沿岸の港はことごとく破壊されました。陸に上がった船そのものです。港を新造しなければ出漁できません。そこで早くも「コストパフォーマンス、受益者が少ないのだから」とブレーキをかけてくるのは必至です。鉄道で言えば駅や線路がなくなったのと一緒です。

 

本日は国鉄分割・民営化で不当解雇から37年の国鉄集会です。
3月16日の北陸新幹線敦賀開業はとんでもない事態を産み出しています。その一つは、日本海側の大動脈北陸本線は米原~敦賀間のローカル線になり下がります。並行在来線廃止により「えちごトキめき鉄道、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道」に加え「ハピラインふくい鉄道」が登場します。沿線自治体は新幹線誘致に血道を挙げ、在来線に対してはいかにしてJR西日本から譲渡条件を良くすることしか考えていません。
その典型例が富山県の高岡から山手に向かう城端線、海に向かう氷見線をJR西に存続させるのではなく、あいの風とやま鉄道に吸収合併されます。能登半島の穴水~輪島間及び穴水~蛸島間は廃線、七尾~穴水間は第三セクターのと鉄道となっています。今後は枝線、ひげ線の大糸線、高山線、七尾線、九頭竜線(越美北線)などは順次JR西から切り捨てられることは必至です。
その一方で、貨物列車輸送は安全保障上、北海道→東北→中部→関西→中国→九州の縦貫鉄道として軍事輸送をものとしてクローズアップされています。
岸田政権は被災者を踏みにじり、自衛隊を前面に押し立てた戦時体制の構築をうちだし、地方切り捨てで被害を甚大化させた責任には一言も触れずに居直っている。被災地能登から「戦争国会粉砕・岸田打倒」の狼煙を上げよう!

タイトルとURLをコピーしました