職場討議資料 –「乗務員勤務制度の改悪を阻止しよう!」

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乗務員勤務制度の改悪を阻止しよう!

①乗務員勤務制度の抜本的“解体”提案

3月ダイ改に合わせた実施ねらう

はじめに

(1)JR東日本は、5月17~18日にかけて、「乗務員勤務制度の見直しについて」を提案しました。それは、たんなる改悪にとどまらず乗務員勤務制度の抜本的“解体”に向けて扉を開け放つものです。ある本社幹部は、「すでに無人運転ができる技術が開発されているのだから乗務員を特別扱いする必要はない。乗務員手当など廃止する」と公言しています。そうした発想の下につくられたのが今回の見直し提案です。
会社提案の別紙の絵を見ると、現在は「乗務員(運転士・車掌)」となっているのが将来は「輸送サービススタッフ」となってます。運転士でも車掌でもなく、単なる「保安要員」程度の位置づけにする。それが最終的な狙いです。

(2)しかもそれを、反対の声をあげられないようにするために、「育児・介護」「多様な働き方」「ワーク・ライフ・バランス」を口実にして強行しようとしています。やり方は、「雇用延長」を口実として外注化推進協定の締結を迫った「シニア制度」導入の時と全く同じです。それは、業務外注化がそうであったように、一旦認めたら際限なく拡大する攻撃です。

(3)さらに、それは乗務員だけの問題ではありません。この提案と同日に出された深澤社長声明は、乗務員勤務制度は第一歩で、今後、乗務員以外の勤務についても見直すと言っています。
JR貨物では、勤務制度の抜本的な改悪が提案されようとしています。それは、65歳定年延長と引き替えに、全面的な賃下げを強行しようとするものです(生涯賃金を変えない定年延長)。基本給だけでなく、都市手当や扶養手当、特勤手当まで廃止されようとしています。

(4)結局、JR東日本がやろうとしているのは、①勤務制度の抜本的改悪、②JRで働く労働者の転籍を伴う全面的な外注化・分社化(賃金・労働条件の根本的解体)、③ワンマン化・無人化、地方ローカル線の大規模な切り捨て、④CBM等技術の高度化を理由としたメンテナンス極小化等、これまでの次元をこえた大合理化=第3の分割・民営化攻撃です。
「時間軸を意識し」「スピード感をもって」が会社の最大のスローガンとなっています。有無を言わせずに進めようとしています。そのために、労働組合を解体しようとしているのです。

(5)乗務員は、苛酷で責任の重い仕事を担っています。早朝3時過ぎから深夜1時過ぎまで、毎日勤務時間の違う不規則な仕事を、十分な休養時間も確保されていない状態の中、数十秒単位の厳格な正確さで続けることがどれほど大変なことなのか。何千人もの乗客を乗せ、その生命と安全の責任を担って過密なダイヤを高速で運転することがどれほど神経をすり減らすことなのか。その労働はいくら技術が高度化したとしても、置き換えることのできないものです。
それを、いくらでも取り替えのきく将棋の駒のように軽々しく扱う発想、「生産性向上」のかけ声の下に極限的な労働強化や要員削減を強いるようなやり方は絶対に許せません。それは運転保安を根底から解体するものです。
今こそ職場から声をあげよう。その声は決して弱々しいものではありません。不利益変更は職場の過半数の労働者が容認しなければ絶対にできないものです。声をあげれば、情勢は必ず動きます。

 

 

提案概要

●「育児・介護」を口実として、朝・夕のピーク時間帯にも「短時間行路」を設定する(現行「短時間行路」が設定されている庫は日中帯)。
●育児・介護勤務適用者に「行路選択制」を導入するとともに、勤務制限を緩和し、6時間を超える勤務、深夜帯の勤務に就けるようにする。
●指導員に本線乗務を指定する。また、支社課員、当務主務(当直)に短時間の本線乗務を指定する(その際の勤務は「日勤」「変形」「交代」とする)。
●「短時間行路」は乗務割交番から遊離し、乗務割交番内の勤務は実乗務の割合を増やす。
●稠密線区の拘束時間の限度を日勤で1時間、泊勤務で2時間延ばす。一般線区も同様に労働時間(7時間10分)ギリギリまでの行路作成に努める。
●手当の見直しを行う(具体的内容は未だ提示されていない)。

②支社課員・当直・指導員に定期列車への乗務を指定?!

「乗務員」という考え方そのものを解体

 「育児・介護」を口実として、朝夕のラッシュ時間帯に、短時間行路を設定するとともに、指導員や支社課員、当務主務(当直)に定期列車への乗務を指定する。乗務員についての考え方の根本的な転換・解体を孕む内容が提案されています。
早朝に短時間乗務してから支社に出勤して勤務するとか、早朝に乗務して当直業務をやり、また夕方に乗務するという勤務を組むというのです。指導員の場合は短時間行路だけでなく、長時間行路も指定できる提案になっています。しかもその際の勤務指定は、乗務員勤務ではなく「日勤」「変形」「交代」とするとしています。乗務労働を片手間仕事のように、資格さえ持っていれば誰でもいいとする発想をもち込もうというのです。まさに、乗務員勤務制度そのものの解体への第一歩です。こんなことで絶対に安全が守れるはずがありません。
しかもそれは、本線運転士・車掌の大規模な要員削減につながるものです。朝夕は、指導員、当務主務、支社課員を動員すればいいという発想が導入されれば、間違いなく本線運転士・車掌は削減されます。朝夕の短時間行路設定は、「育児・介護」のためのものではないのです。

ポイント

●指導員等、支社企画部門の課員、「当務主務」(当直)が定期列車に乗務。
乗務終了後(開始前)は、指導担当は指導業務、支社企画部門は支社業務、当務主務は当直業務を行う。

●短時間行路を乗務割交番から外して乗務。

→乗務員勤務以外で定期列車を運用

 ③さらなる労働強化と極限的な要員削減

  ワンマン(無人)運転拡大と一体の大攻撃

朝夕に短時間行路を設定する一方で、「生産性向上」「効率性のさらなる追求」として、「拘束時間限度の延長」「乗務割交番内の行路は実乗務割合を増やす」ことが提案されています。
今でさえ乗務員の労働強化は限界をこえています。とくにダイ改毎に泊行路の明け部分が日勤並に長大化し、乗務中に倒れる仲間が相次いでいます。それなのに、稠密線区の拘束時間を10時間から11時間へ、泊行路は20時間から22時間に延ばす。それに合わせて一般線区もさらに長大化させ、「実乗務の割合をさらに増やす」というのです。
乗務員勤務は、労基法の特例的扱いによって、休憩時間も設定されていない特殊な勤務です。だからこそ、本来は乗務員の健康や列車運行の安全を守るために、拘束時間や一継続乗務時間等を厳しく制限しなければいけない。それが乗務員勤務制度の任務です。しかし、短時間行路を設定して枠外に出し、それを乗務員ではない者が乗務員勤務制度外で乗務する。その一方で、本来の乗務割交番内の勤務は殺人的なロングランになる。それを「お互い様」の精神でやれというのです。

ポイント

●短時間行路を乗務割交番から外す
●乗務割交番内行路の実乗務割合増
●稠密線区の拘束時間限度を延長
●ワンマン運転拡大と一体
→さらなる長時間・長大行路化
極限的な要員削減につながる

○着後点呼から発前点呼が4時間50分
○千葉~木更津~千葉を乗務した後、 千葉~安房鴨川を2時間乗務
○拘束時間20時間6分?2時間延長でもう一山?!もう限界だ!

さらにそれが、「ワンマン運転の拡大」とワンセットで進められようとしています。千葉支社では、2020年までに、内房線・君津以南、外房線・上総一ノ宮以南、鹿島線のワンマン化が強行されようとしています。5両でワンマン運転できる車両も開発されており、ワンマン化は昼間時間帯だけにとどまらないかもしれません。
今回の乗務員勤務制度改悪とあわせて考えれば、要員の激減、運転士の耐え難い負担増が累乗的にのしかかることになります。さらに、入出区作業外注化拡大等が画策されているのです。乗務員の命も鉄道の安全も顧みず、効率化・利益優先の提案は絶対に許されません。

④「育児・介護のため」は口実だ!

  提案強行・労働強化に利用するな!

提案資料では、「育児・介護と両立するため」「自由な時間が増える」「社員の希望に応えた」などと、あたかも「育児・介護のための制度」のように書かれています。しかし、それは現場労働者が提案に反対できないようにするための「口実」です。
そもそも育児や介護に関する制度は、会社として労働者の生活を保証する上で必ず必要なものです。それを逆手に取り、「お互い様の精神」などといって現場労働者に提案を飲ませる口実に利用する。その会社の姿勢は怒りに耐えません。
その上、朝や夕方の短時間行路で、育児や介護と両立できるでしょうか?
現在の短時間行路は10時から16時といった日中帯の設定です。育児を考えた場合、出勤前に子どもを送り、退勤後に迎えに行くことも成り立ちます。
その一方、新制度の例としてあげられている勤務は、7時出勤で13時退勤です。ラッシュ時間帯に合わせるとすれば、実際に短時間行路が拡大していった時に作られる行路は、もっと早朝、あるいは深夜になることは明らかです。あるいは、枠内の行路の労働時間が今以上に非人間的なものになります。早朝・深夜では子供を保育園に連れていくことも、迎えに行くこともできません。
さらに、労働時間や深夜帯勤務の制限緩和は完全な労働強化そのものです。結局、「育児・介護」と言いながら、徹底的に効率的な勤務を組むことが狙いです。

ポイント  

●育児・介護勤務適用者に行路選択制を導入
●育児・介護勤務適用中の勤務制限の緩和
・育児・介護勤務A適用中の社員:
労働時間が6時間を超える勤務が可能に
・育児・介護勤務B適用中の社員:
  深夜帯の勤務が可能に
→これで育児・介護と両立するのか?
勤務制限緩和は労働強化そのもの

⑤乗務手当廃止―分社化・転籍強制へ

JR・関連会社の全労働者の権利破壊

今回の提案では、「手当見直しについては別途提示する」としています。提案は昨年夏には大筋固まってます。「手当見直し」の具体的内容が決まっていないはずはありません。意図的にギリギリまで出さないようにしているとか考えられません。
JR東日本は、この間「特殊勤務手当(乗務員手当)廃止」を検討していました。今回の提案全体の構造や、「乗務員を特別扱いしない」という出発点の発想を考えると、「廃止」が提案されると見なければなりません。別な形の手当を設定するとしても、大幅な賃下げ攻撃です。絶対に許してはなりません。
それは乗務員だけの問題ではありません。乗務員勤務制度や乗務員手当は全職種、全JR労働者の最後の砦のような位置をもち、権利破壊の歯止めになってきました。それに手をつけることは、全体の労働条件の解体や分社化・転籍への突破口が開かれることを意味します。さらには、都市手当、扶養手当等の廃止、賃金制度全体の改悪への扉を開くものでもあります。それは、グループ会社で働くすべての労働者の権利を奪う攻撃でもあります。
特殊勤務手当(乗務手当)の廃止を絶対に許してはならない。われわれは何があってもあきらめない。反撃に起つ時が来ています。職場から声を上げよう。乗務員勤務制度改悪を阻止しよう。

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