外注化-コスト削減のための手段選ばず
検修・構内業務の外注化は絶対止めなければならない。JR東日本本社は、「当面、委託する業務量は1500人分」としている。それは東日本全体の検修・構内業務の約3割に当たり、1500人の仲間たちが強制出向に駆り立てられる。今回の京葉車両センターでの構内業務外注化は「1500人強制出向」への突破口だ。これを許したら、文字通り丸投げ外注化=転籍までのレールが引かれることになる。そうなれば雇用も安全も全てが破壊される。それは脅かしでも何でもない。現実にこの社会で起きていることだ。
外注化・子会社化の現実
例えば、1984年に民営化されたNTTで何が起きたのか。民営化時点でNTT社員は31万4千人だった。しかし、現在の社員数は3万人余りしかいない。何と10分の1。現場の労働者はどうなったのか。蒸発してしまったわけではない。仕事ごと子会社・孫会社に追いやられたのだ。労働者を放り出すために次から次に関連会社が作られた。現場は実に347社の下請・孫請会社にバラパラにされた。その際、51歳以上は一旦退職させられ、賃金は30%下げられて転籍されている。
これは例外的に起きたことではない。NTT社員全員を対象にしてこんなことが吹き荒れたのだ。
その間、連結決算の対象となる子会社の数は次のように激増した。▼1991年/1社、▼1993年/10社、▼1994年/30社、▼1999年/54社、▼2001年/128社、▼2003年/347社。
JRで外注化攻撃が始まったのとちょうど同じ2001年から文字通り丸投げ外注化が一気に進行した。JRもこれと同じことをやろうとした。実際、保線・電力・信通など設備関係では全く同じことが進んだ。今、設備関係の業務は100以上の子会社・孫会社にバラバラに外注化され、働く仲間たちは強制出向させられている。
だが、検修・構内業務の外注化攻撃は、身を切るような闘いで必死に抵抗し、少なくとも千葉では10年間にわたって止めてきた。2009年には全面外注化提案が出されたが、これは今も手をつけさせていない。闘えば止められるのだ。
外注化の大いなる欺瞞
民営化やアウトソーシングは、良いことずくめの構想だと宣伝されてきた。だが、民間委託され、外注化された世界では、労働者が劣悪な労働環境の中で、酷い低賃金・不安定な雇用条件に甘んじながら労働を強いられる現実が生まれた。当たり前のことだ。委託元が求めるのは効率性と低コストだけである。経費節減が実現されさえすれば、手段は問わない。すべては委託先に丸投げされる。
その大いなる欺瞞は、公共部門の民間委託の現実を見れば明らかだ。「サービスの質を向上させる」などと言って民間委託がどんどん進められたが、それは雇用を破壊し、貧困を拡大再生産した。経費節減のための民間委託が、貧困対策のための財政負担の増大をもたらす。それでますます経費節減に突き進まざるを得ず、もっと安上がりの民間委託を進める。そのことがワーキングプア化する人々をますます増やしていく。こうやって若者の半分以上がまともな就職先もなく非正規職に突き落とされるという恐るべき現実が生まれたのだ。
JRがやろうとしていること
鉄道会社なのに、鉄道業務の全てを外注化し丸投げしていく。人件費やメンテナンスコストを削減するために手段を選ばない。熱心なのは、ステーションルネッサンスや電子マネー事業など、鉄道事業とは直接関係のないことばかりだ。だが、鉄道の場合こんなことをやったら安全は間違いなく崩壊する。絶対にしてはならないことだ。しかし、これが今JRがやっていることだ。必要に迫られているわけでもない。JR東日本の場合、人件費削減によって経常利益はどんどん上がり、ボロ儲け状態で今日まできている。無理やり外注化しなければいけない理由などないのだ。
外注化反対闘争は若者の未来のための闘いだ。労働者の雇用と権利のための闘いだ。第二の尼崎事故を絶対に許さないための闘いだ。構内業務外注化を許すな。ともに闘おう。