JR東日本ー「さらなる飛躍に向けた新たな組織と働き方」について提案 ㊤

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JR東日本は、5月7日から、「JR東日本Gのさらなる飛躍に向けた新たな組織と働き方」について提案を行ってきた。提案は、説明資料の冒頭で、「国鉄由来の人事・賃金制度等を抜本的に見直す」と記載するなど、これまでの組織体制、人事・賃金制度のあり方ー労働条件を全て解体し、会社を一から作り変えるような内容だ。しかも、人事・賃金関係は来年4月、組織体制再編は7月に実施するとしており、あまりにも乱暴で傲慢な態度だ。会社がこうした提案を行うことができた背景には、「社友会」が多数を占める中で職場から声を上げることができないことを前提にしているからだ。しかし、激しい攻撃には必ず矛盾があり、それを暴き出すのは職場からの怒りの声であり、労働者の団結した力だ。今こそ闘う労働組合を甦らせよう。

2本部10支社を解体ー36の事業本部を設置

1.組織の見直しについて
現行の2本部10支社を解体して36の事業本部を配置するとしている。(表1)
■千葉支社関係(線区単位で区分)
◇千葉事業本部
外房線・千葉~本千葉
総武本線・千葉~銚子
成田線・佐倉~銚子
鹿島線・香取~鹿島サッカースタジアム
我孫子線・成田~東我孫子
◇京葉総武事業本部
京葉線・千葉みなと~八丁堀
総武線 西千葉~市川
武蔵野線・市川塩浜・南船橋~南八柱
◇房総事業本部
外房線・蘇我~安房鴨川
内房線・浜野~安房鴨川
東金線・大網~求名
久留里線・木更津~上総亀山
事業本部の事業所については、提案段階では未確定となっている。
また、首都圏本部に所属する幕張車両センター、京葉車両センタについては、所在する事業本部の所属とするとしている。

青森   土浦   京葉総武  立川
盛岡   栃木   松戸    横浜
仙台   群馬   東京    川崎
秋田   大宮   品川    伊豆湘南
山形   浦和   新宿    新潟
庄内   熊谷   上野    長岡
福島   武蔵野  渋谷    山梨
浜通り  千葉   池袋    長野
水戸   房総   八王子   松本

定年年齢を65歳に引上げ、出向期間を5年間に延長

2.人事・賃金制度の見直しについて
■定年年齢の引き上げ
定年年齢を60歳から65歳に引き上げ。
定年の引上げに伴い、満60歳以上は、原則としてグループ会社に出向する。
■勤務制度の見直し
①特別休日 62日→68日とし、年間休日を120日(公休52日、特休68日)とする。
②乗務員の「出勤予備」は廃止し、「変形日勤」等で対応する。
■出向の見直し
出向期間を「3年以内」から「5年以内」に見直す。
■転籍の見直し
転籍した場合、転籍会社の賃金がJRと比較して低下した場合の補填として、会社が認めた場合、転籍一時金を支払う。
・主幹職A、同B等      200万円
・主務職等          150万円
・主任職、指導職、、係職   100万円

現行の賃金体系を廃止ー「職務能力給」を導入

■賃金制度の見直しについて
①職務能力給の新設について
◇現行の賃金体系(基本給、都市手当、乗務員手当、深夜早朝手当等の特殊勤務手当、退職一時金等々)を廃止し、「職務能力給」とする。
◇各種手当は、仕事に対する手当として「業務手当」、生活に対する手当として「住宅等手当」として支払う。
◇移行時に10000円以上の引上げを行う。
◇現行の定期昇給から「能力昇給」に見直す。
◇昇給能力額 勤務成績に応じて区分のいずれかの額を支払う。◇「能力昇給」は65歳定年まで継続する。
※能力昇給に関して、提案時点で、基準(評価が+-ゼロ)となる適用区分はないとしている。
※提案時の説明では、昇給額は低くなるが、移行時に一定額が加算されること、65歳まで定期昇給が続くことから、生涯賃金は変わらないとしている。
◇「能力昇給」のイメージ(提案資料より)

移行時は賃金が高くなるが昇給額が低いため40歳代で逆転、55歳時点では現行賃金より低くなる。

◇能力昇給の移行措置
「職務能力給」への移行及び初任給の引き上げに伴い、勤続年数及び採用時の初任給に応じた金額(1万円を下回らない額)を加算する。
※高校卒業の地域総合職(エリア職)の場合
来年初任給額 改正前初任給
例 218000円ー185100円=32900円
※来年4月の高卒新規採用者には32900円が加算される。
※今年度(25年度)の採用者には、来年4月時点で、来年度の新規採用者の賃金を上回らない額が加算される。
※勤続年数1年毎に2000円が減額され、14年度以前の採用者には10000円が加算される。

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