今年の経労委報告は、「構造的な賃金引き上げ」「23年以上の熱意を持って臨む覚悟」など、「賃上げ」を連呼する内容になっている。岸田も含めて「賃上げ」を叫び立てているが、そもそも誰がこの30年賃金を下げ続けてきたのか。自民党と財界の連中だ。こんなことを言わせている事自体、許せない。政府や財界が賃上げを連呼する異様な光景は何を意味するのか? その本質を見すえなければならない。
社会崩壊への危機感
経労委報告は、「構造的な賃金引き上げを加速できるかどうかに日本経済の未来がかかっているという極めて強い危機感がある」と書いている。30年間、雇用を破壊し、賃金を下げ続けた結果、気がついてみると日本社会全体が崩壊の淵に立っていたことに気づき、がく然としているのだ。
賃上げ連呼の直接のきっかけになったのは、43兆円の大軍拡だった。岸田政権は、36 ・9%・2100万人以上が非正規で最低賃金すれすれという現実の中で、防衛増税を言い出すことすら出来ない現実に直面した。しかしそればかりでなく、人口減少ー「労働力不足」であらゆる産業が崩壊しようとしている現実は、労働者の超低賃金化と地方崩壊、つまり新自由主義によって人為的に生み出されたものだ。賃上げ連呼は、日本資本主義が瓦解しようとしている危機感に突き動かされたものなのだ。
労働生産性への危機感
第2に、経労委報告は日本の労働生産性が地に落ちてしまっていることへの激しい危機感をあらわにしている。「総非正規職化で発展途上国並の賃金を実現し国際競争力を確保する」(日経連)が、日本型新自由主義の最大のスローガンだった。しかしそれは完全に破産した。賃金は「発展途上国並」に下げたのに、労働生産性は先進国中最低水準に転落したのだ。経労委報告は、エストニアやハンガリー以下だと嘆いている。
そして「アウトプット(企業利益)の最大化」のためにさらに徹底した雇用流動化・柔軟化を進めるとしている。働く場所・労働時間の柔軟化、時間と賃金の対応関係の柔軟化、兼業・副業、雇用主の複数化、フリーランス等雇用契約の柔軟化、解雇規制の柔軟化等を進めるというのだ。
しかし、それは雇用と賃金をさらに破壊するものでしかない。経労委報告は、労働力が確保できなくて瓦解しようとしている職種について、医療・福祉・介護、育児、製造、建設、交通・運輸、小売サービス、農林・水産、警備等をあげている。しかし、それでも賃金が下がり続ける現実を作ったのが日本の新自由主義攻撃だった。非正規職化・民営化・外注化、労組破壊攻撃(総評解散・連合結成)こそが、こうした現実を労働者に強制し続けたのだ。
結局、経労委報告は、賃上げを叫びながら、連合と手を組んで、大幅賃上げなど絶対に許さない、徹底的に賃金を抑え込むことを宣言している。「30年ぶりの賃上げ率」と称される昨春闘も、定昇(現状維持分)を除けば、わずか1・7%だ。経団連は、実質賃金が低下しているというのはウソだ、厚労省の統計のとり方が間違っているからそのような数値になるのだとまで言って、今春闘でも始まる前から「定昇込みで5%程度」に抑え込むことを既定事実かのようにふれ回っている。
日本の賃金を欧米並みにするとすれば2倍=100%以上の賃上げが必要なのだ。
賃上げ闘争に対する憎悪
経労委報告は第3に、「労使は闘争関係ではなく、価値共創に取り組む経営のパートナー」と語り、「社会に混乱をもたらした賃上げ闘争の歴史」が憎悪を込めて書きたてられている。そして、連合とは基本的な部分で認識が一致しているというのだ。連合会長の芳野も「春闘の方向性は政府や自民党と同じ」「日本の労働組合はストの多い海外とは違う」「労使一体で企業を発展させる」と語っている。新聞では、「大手・要求を上回る回答」などの見出しが踊っている。それは連合がどれほど犯罪的な賃金抑制機関なのかを示している。
3・15~16ストライキへ!
連合の崩壊と「産業報国会化」が一線を越えて進み始める中で、11・19集会に参加した仲間たちが、次々と職場ストに立ち上がった。現場から日本における労働運動を再生させる可能性を生み出している。
物価高騰は止まらず、金権政治は腐敗を極め、それにすり寄る連合。戦争への深い反省と飢餓賃金打破を掲げて始まった戦後日本労働運動は、朝鮮戦争の特需ー経済成長にのみ込まれる形で挫折した。その後の春闘は、闘えば闘うほど体制内化していく性格をもつものに、国鉄分割・民営化ー総評解散に行きついた。そして連合は30年以上にわたって賃上げ闘争を完全に放棄した。
「国力」の全てが戦争に注ぎ込まれようとしている今こそ、我々の手で階級的労働運動を創り上げなければならない。
3月ダイ改阻止ー24春闘勝利!3・15~16ストを断固闘いぬこう!
3・16総決起集会へ全力結集を!
3月16日(土)14時~
千葉市民会館地下小ホール