1047名闘争に問われている課題は何か
「1047名の総団結で不当解雇撤回!JR採用差別事件の勝利判決をめざす4・4全国集会」は、日比谷野音に4600名が結集し、成功をかちとった。
大同団結の気運-闘いの到達点
集会は、冒頭、呼びかけ人の芹澤壽良さんが、「苦節20年、9・15判決を契機に国労、建交労鉄道本部、動労千葉に所属する五つのグループが共闘する気運が生まれ、2月16日には画期的な大同団結が宣言されて1047名連絡会が形成された。本日の集会はこの到達点を前進させ、勝利の日まで、運動を大きく発展させることを誓いあう闘争20年目の歴史的集会だ。1200団体の賛同を得、呼びかけ人と1047名連絡会が集会を準備した」と開会を宣言。
改憲阻止と同一の課題!
呼びかけ人を代表して、中山和久さん、小森陽一さんから、 「当時中曽根首相は一人も路頭に迷わせないと約束した。総理大臣の約束は重みを持つ。解雇は、総評-社会党をつぶすことが目的だった。組合の方針に従ったことを理由に差別し、生存権を侵すのは違法・不当だ。だから各地の労働委員会は不当労働行為を認定した。フランスでは理由のない解雇を認めるという法律に反対してゼネストが行なわれている。しかし日本では違法な解雇が20年放置され、裁判所もJRに責任がないと復権要求を否定した。法の精神、人間の心を失った判決だ」、「自民党は新憲法草案を決定し、9条2項の戦力不保持を捨て、自衛軍保持を明記した。これが発表された日、米軍が横須賀に原子力空母の配備を通告した。そして日本全土を基地にする米軍再編の中間報告を出した。戦争するための改憲だ。沖縄は島ぐるみで基地をなくす運動に立ちあがっている。岩国では9割が反対の投票をした。この集会も短期間で大きな支持が集まった。労働者は正面から大儀を掲げて立ち上がり、闘って権利を主張する以外に生きるすべがない。問題は、戦争する国か、しない国かだ」と熱烈な訴えが行なわれた。
1047名と「日の丸君が代」被処分者の闘いを結合して!
続いて、大内裕和さんより、「私は教基法-憲法改悪反対全国連絡会の呼びかけ人でもある。国鉄分割・民営化は、国労と反戦平和勢力としての総評解体を目的に行なわれ、人活センターへの収容、脱退強要、洗脳教育、そして解雇等、激しい弾圧が行なわれた。これが今、教育現場にかけられている。03年10月23日の都教委の通達に基づき「日の丸・君が代」の強制に従わないと職務命令で処分される。これは憲法の思想・良心の自由に違反する。これまでに344人を処分し、さらに都教委は3・13通達を出した。生徒に立て、歌えと指導することを強制するものだ。すすんで国家に従う教師、子供をつくることが目的で、改憲と一体の動きだ。3月13日、33名に処分が出された。この闘いと本日の集会は深く結びついている。本日の集会は1047名の当事者がつくった。当事者の新たな運動が生まれている。新自由主義、戦争政治に対抗する新たな労働運動を、1047名と「日の丸・君が代」被処分者を中心につくりあげよう」と力強く訴えた。
1047名の団結を軸に!
続いて、当該3労組を代表して、国労・佐藤勝雄委員長が発言にたち、「9・15判決は、時効までの限られた時間に被解雇者、当該組織が大同団結しなければJR復帰を含む全体解決は実現できないという現実を突きつけた。国労は様々議論を重ね、組織の混乱を克服した。呼びかけ人代表から当該組合が闘いの先頭に立てと激励を受けた。統一交渉団を組織して解決の舞台をつくる」とあいさつ。しかし会場からは「鉄建公団訴訟をやれ」「ごまかしだ」「いままで混乱させたのはだれだ」「謝罪しろ」と厳しい指摘の声があがった。
続いて、国鉄闘争共闘会議・二瓶久勝議長より、「共闘会議20万人を代表してあいさつをしたい。われわれは01年5月の発足から、鉄建公団訴訟をはじめ四つの原告団の運動の発展に寄与してきた。闘いはいよいよ正念場だ。9・15判決を期に総団結の気運があがり、2・16集会で団結が生まれ、そして本日は支援の仲間たちとの団結が築きあげられている。9・15判決はきわめて不当な判決だが、不当労働行為を認めさせる成果を得た。これは300名原告団・家族・支援者の力の賜物であり、その上に今日の集会がある。運輸機構側は強行であり、国土交通省も交渉のテーブルにはのらないとしている。1047名連絡会の団結をさらに強化していきたい。裁判をうっていない人達はすぐにも裁判に立ってほしい。国労本部にも要請したい。総団結して闘争に勝利するために全力で取り組む」と訴え、満場の拍手が送られた。
当該五団体が決意表明!
これを受けて当該5団体が登壇。国労闘争団全国連絡会議・神宮芳秋議長、全動労争議団・森哲雄事務局長、鉄建公団訴訟原告団・酒井直昭団長からは「2・16集会を期して1047名解雇者の大同団結がはかられた。闘いのなかばで33名の同志が逝去した。緊急を要する実態であり、解決を強く求める。集会の力を発展させ勝利的解決に向けてともに頑張る」「9・15判決は不当労働行為を司法の場で断罪した。1047名闘争連絡会に結集して切実な要求の実現に向けて、意見の違いや過去にとらわれることなく、ともに闘い抜く」「2・16から4・4と、大同団結の道が築かれた。1047名連絡会はガラス細工と言われたが、しっかり団結を固めたい。もう一歩闘いを進めて解決をもぎ取る。話し合いや政治折衝では何も動かない」と、決意を表明。
運転保安闘争と結合し勝利へ!
動労千葉争議団・高石代表からは「昨年の7・15集会を期に当事者の団結が生まれ、1047名連絡会を結成した。動労千葉は06春闘において、安全運転闘争を闘ってきた。この闘いをもってJRに一矢を報いること、それが1047名闘争を勝利に導く闘いだと考えている。JR当局はこの闘いに対し、今日から組合員への事情聴取をはじめ、不当処分を強行しようとしている。1047名闘争を全力で闘うとともに、この闘いにも支援をお願いしたい。闘いはまだ続くが、何年かかろうと勝利の日まで闘い続ける」と訴えた。
集会はその後アピールを採択し、呼びかけ人の山口孝氏が、「政治権力と闘い、解雇反対の闘いを大きく広げ、戦後民主主義の危機に立ち向かうためにさらに団結を固めて頑張ろう」と閉会のあいさつ。
大同団結した1047名闘争は、解雇撤回闘争の勝利を実現し、小泉-奥田による改憲や大民営化攻撃と対決する砦だ。会場を埋め尽くした参加者全員がそのことを確認し、意気高く国会デモに出発した。
問われた課題
一方、4・4集会の組織化の過程では、ついに実現した1047名の団結に水をさそうという様々な動きがあったことも事実だ。例えば、全労連は、「動労千葉は労働組合の仮面をかぶった暴力集団」と誹謗中傷し、この団結を破壊しようとした。さらには「政治解決」のために、この間必死に情勢を切り開いてきた原告団や支援共闘会議の思いを無視して、再び国労本部を前面におし立ててそれに従わせようとする動きなどだ。
4・4集会は、こうした状況をのりこえて4600名の結集で成功をかちとったが、被解雇者1047名が本当の意味で前面にたって闘いを呼びかける構造が後退せざるを得なかった。20年も永きにわたって全国で国鉄闘争を支援し続けてくれた多くのの仲間たちが何よりも望んでいたのはこのことだったはずである。そうなれば集会はもっと爆発的な成功をかちとっていたことは間違いない。
政府・運輸機構側が「最高裁まで争う」と断言している状況のなかで、政治解決路線にのめり込んでいくのは、この間の混迷、分裂を再び繰り返す道でしかない。国会で行革関連三法の審議が山場を迎え、郵政民営化を始めとして、社会全体を覆い尽くすような大民営化攻撃が開始されようとしている情勢を見てもそうだ。しかも政治解決路線では、1047名闘争を自らの課題として共に闘おうとしている多くの仲間たちの力を本当の意味で結集することはできない。
今必要なことは
今この闘いに必要なのは、1047名の団結や支援の仲間たちの力を「政治解決の舞台」をつくるために利用することではない。1047名の団結、1047名の解雇撤回闘争を中心として、改憲と民営化の大攻撃にたち向う労働運動の新たな潮流をつくりあげ、それによって政府を追いつめることだ。それは、国鉄分割・民営化-中曽根によっされた労働運動を再生する闘いでもある。政治解決とは、おもいきった大衆的な運動の組織化によって、政府や運輸機構、JRを引きずりだしたときに、その結果として初めて実現できることだ。主観的に政治解決を願い出るようなことを繰り返したら足元を見透かされ、4党合意がそうであったように、闘いの戦線にくさびが打ち込まれるだけである。
1047名闘争が今も屈せず、国鉄分割・民営化という犯罪的政策、国家的不当労働行為を弾劾して闘い続けていることの意味はますます大きくなっている。今こそ原点にかえって闘いを強化しよう。