JR東日本は、東労組が「指名スト」方針を決定したことをきっかけに、東労組への攻撃を一斉に開始した。支社課員、管理者、ポテンシャル採用者などが、各地で続々と東労組から脱退している。その人数はすでに数千人に及んでいるという。会社から管理者層に「脱退」の指示が出されていることは明らかだ。管理者と言ってもそれは1万人規模にのぼる層だ。事態が一気に拡大していくことは明らかだ。JR東日本は、30年以上にわたる労務政策を転換し「東労組解体」に全面的に踏み出したのである。
「東労組崩壊」の背景にあるもの
この間、JR東日本は、国鉄分割・民営化から30年以上続けてきた東労組・革マルと結託した労務政策を清算しようと動き出していた。東労組はそれに震えあがり、労使関係の維持を求めて必死に会社に泣きついていた。36協定問題等で意図的に「対立」を作り出しては和解し、その途端にまた別な「対立」を作りだすというこの間の組織的乱調の背景には、会社の労務政策転換がのしかかっていたのである。
労働者の権利をもてあそぶな!
「将来にわたって『格差ベア』をやらないと約束しろ」という今回の「指名スト」も、現場の組合員とは全く無関係なところで、労使関係の維持をとりつけるための手段として持ち出されたものであった。
ストライキは労働者の最も重要な権利だ。本来、労働組合は労働者のために存在するものだ。一部幹部の自己保身の手段や政争の具であってはならない。しかし東労組・革マルは、会社との癒着体制を守るために、組合員とストライキをもてあそんだのである。
会社と東労組による異常な労務支配
東労組は、国鉄分割・民営化に際して、20万人におよぶ国鉄労働者の首切り賛成に転ずることによって、会社との腐りはてた癒着体制をつくりあげてきた。総評や社会党の解体も旧動労・革マル―JR総連がその手先にならなければ貫徹できなかったことだ。
その後も東労組は、現場の切実な要求を踏みにじって、業務外注化やライフサイクル制度導入の手先になってきた。一方会社も、JR東日本もそうした東労組・革マルを職場支配の道具として徹底的に利用してきたのである。JR東日本と革マルが手を組んで職場を支配する異常な労務政策は、国鉄分割・民営化の最大の暗部でありながら、30年以上それを清算することができなかったのは、JR東日本が合理化や職場支配のすべてを東労組に依拠して進めてきたからであった。
この事態の本質は何か?
冒頭にも述べたように、会社は今回の「指名スト」をきっかけに、いよいよ「東労組解体」にふみ切った。しかしそれは、単に東労組に攻撃を開始したというだけの問題ではない。会社はJR体制を大再編する新たな攻撃攻撃にのり出したのだ。そのために革マル結託体制をも清算し、旧国鉄的なものを一掃しようとしているのである。それは、鉄道業務を無数の子会社・孫請会社に分割し、JRに働く労働者を、行く場のない状態に追い込んで転籍させていく「水平分業」と称する攻撃だ。それは、雇用・賃金を根本から破壊する総非正規職化攻撃であり、職場に限界をこえた労働強化をもたらすものだ。鉄道の安全は破壊され、非採算線区は廃線に追い込まれていく。まさに「第3の分割・民営化攻撃」だ。
われわれは今回の事態の本質がここにあることを真正面から見すえなければならない。東労組は労働者を裏切り続けてきた存在だ。その「スト」は労働者の権利をもてあそぶものだ。しかしだからと言って、ストを理由に労働組合を破壊するような資本の攻撃を許してはならない。それはすべての労働者の権利に係わる問題だからだ。
職場に闘う 労働組合が必要だ
動労千葉は、国鉄分割・民営化攻撃に真正面から立ち向かい、その後の業務外注化攻撃にも非妥協的に闘いを挑んで団結を守りぬいてきた。それは小さな抵抗であったかもしれないが、その闘いが職場の怒りの声に結びついたとき、決して小さな力では終わらなかった。
闘う労働組合など存在してはならなかったはずの民営化されたJRの職場でも、職場の権利と鉄道の安全を守り、外注化を10年―転籍攻撃を10年以上遅らせる力となって今日も闘いが続いているのだ。悪口を言う者は、動労千葉のことを「玉砕路線だ」と言ったが、動労千葉は「玉砕」などしなかった。今日まで組合員を守り、団結を貫くことができたのは動労千葉だけである。団結さえ崩さなければ展望は必ず生まれる。それが動労千葉の信条だ。
国会では「総非正規職化・解雇自由」社会をつくろうとする「働き方改革法案」が審議され、JR体制の大再編が始まろうとしている。今こそ職場に闘う労働組合が必要だ。動労千葉に結集し、共に闘おう。