JR貨物は昨年3月ダイヤ改正時に、国鉄時代からの最大の懸案事項であり鉄道建設・運輸整備支援機構が進めていた最後の基盤整備事業である梅田駅の「吹田貨物ターミナル駅・百済駅への機能移転」を完成させた。
吹田貨物ターミナル駅の東海道線上に位置する立地条件とE&S機能(着発線荷役システム)を使用した、リードタイムの短縮と各方面への中継アクセスを改善し、百済駅は26両(1300㌧)編成列車に対応できるように改良された。
日本海縦貫線における雪害時等の輸送障害時は東海道・東北線経由での代替輸送の計画を速やかに実施し、上越線不通時には金沢・新潟~関東間の貨物を吹田貨物ターミナルを中継するルートで輸送するとしている。
また、1999年度より国の補助事業として進めてきた「隅田川駅鉄道貨物・輸送力増強事業」が完成。首都圏の北の玄関口である隅田川駅を、全荷役ホームを20両編成コンテナ列車に対応できるように改良した。
これらによって、昨年3月ダイヤ改正は、列車の設定、輸送ルート等について、会社発足以来、最大規模での見直しとなった。
巨額設備投資でさらなる破綻へ
関東支社における今年のダイヤ改正は、「平成25年春ダイヤ改正以降に寄せられたお客様の声、新たなご要望を真摯に受け止め、更なる収入拡大に向けること、また、列車別の収支状況から収益性の高い列車へと向上させることを目的に、列車体系の一部見直し、選択されるモードとしての品質向上を図って顧客満足を高めていく」としている。
主なものは、①関東~関西間における速達列車の設定(約7時間)。②主要地帯間(関東~関西、関西~九州、関東~九州)における列車の速達化。③関東~北海道間列車の運転経路見直し(東北線経由へ)。④瓦礫輸送終了に伴う輸送体系の変更。⑤石油列車輸送体系見直し、輸送力増強。貨車置き換え完了による高速化(75㌔→95㌔)の実施だ。
また、入換機関車の老朽化に伴い、駅構内に架線を増設し、本務機(電気機関車)で入換を行い、輸送障害時に備えて主要な機関区、駅に輸送機材(機関車・貨車)の配備を行うとしている。
ダイヤ改正にあわせ、今年度中に機関車14両を新製(EF510・1両、EF210・2両、H D 3 0 0・11両)、コンテナ貨車178両、コンテナ4000個を投入するとしている。しかし、これらの設備投資は「借金」として長期債務に重くのしかかることになる。分割・民営化政策破綻の最たるものだ。
全国的な列車計画規模では、一日あたりの列車計画キロは、コンテナ列車で約2400㌔の減、車扱列車で約500㌔の減、合計で約2900㌔の減となっており、年間輸送量はコンテナで約119万トンの増、車扱で約5万トンの増、合計で約125万トンの増となっている。これは、新形式機関車の投入・駅設備の改良=貨物列車の長大編成化によって、列車キロを減らして要員を削減し、輸送量を増やすというものだ。
運用関係では、千葉機関区においては、大宮~宇都宮貨物ターミナル駅間の乗務線区を拡大するとしている。
賃下げ・労働強化に団結し闘おう
2月21日、関東支社との3月ダイヤ改正に関する団体交渉が行われ、安全確保のために、十分に休養を取ることのできる交番作成、長距離通勤対策、宇都宮乗り入れについては余裕のある訓練計画を求めた。
ダイヤ改正は、この先一年間の労働条件を決める重要な取り組みだ。新採の抑制で職場の高齢化も進んでいる。先日の二度にわたる大雪では、2 泊も3 泊も乗務が続く状態となった。現場労働者の頑張りが日々の列車運行を支えているのだ。しかし貨物会社は「鉄道事業部門の黒字化、株式上場= 完全民営化」に向けて「働き度を高める」としている。
「働き度を高める」=賃下げと労働強化は、運転保安に重大な危機をもたらすことは明らかだ。65歳まで安心して働ける労働条件を確立するためには、貨物に働く労働者が職場をこえて、団結して会社と闘う以外にない。
日貨労は「会社は黒字なのに組合員の生活は苦しい。これだけ収益がでているのは組合員の努力の結果…日貨労の組合員だけは…」といっているが、これは本質的に間違いだ。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」―全労働者のために闘う視点がなければ、自分一人、仲間も、家族も守ることは出来ないのだ。
「貧しい白人と黒人が争っている」。ILWUの同志がわかりやすく教えてくれました。「差別(分断)はボス(資本家)の武器」だと。
闘いはいよいよ本番。「14春闘勝利! 貨物賃下げ攻撃粉砕―JR体制打倒! 民営化阻止! 韓国民主労総ゼネスト連帯! 2・25JR貨物抗議行動」の大成功をバネに、全国の貨物職場で闘いを巻き起こそう!
JR総連・日貨労打倒! 貨物労働者の連帯を取り戻そう!