7/1 副業問題 JR東日本本社 団体交渉(総連合申第12号)

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副業の目的は「付加価値の創造」―鉄道業務と安全、労働者の健康をないがしろにするな!

「副業」の目的・根拠

組合 グループ会社での副業を行う理由、目的、根拠についてどうか。

会社 根拠としては、「会社の許可を得た場合を除き、他の業務についてはならない」という就業規則16条の条文に基づき、副業を認める考えだ。業務に支障を生じないことを前提にして、社員自らの活躍の場を拡げたり、社外での多様な業務経験を通じて成長機会を得ていくことは必要だ。グループ会社で条件を満たせば認める。

組合 申請の流れはどうなるのか。

会社 通達に許可申請書類がある。それを本人から箇所長に提出する。箇所から所属する人事担当課に提出され、人事担当課で受付、審査、回答等をして、問題なければ箇所を通じて本人に許可をしたと伝える。

組合 どういう「活躍」を期待し、どういう場所での業務を想定しているのか。

会社 さまざまだ。グループ一体となって経営を行っていくという観点から、本業以外のグループ会社の業務を経験していくことが、グループにとってためになる。本人の成長にも資することが期待できる。

組合 副業と本業とはどう関連するのか。

会社 グループ会社での業務経験が成長の機会になる。成長を本業でも活かしてほしい。

組合 例えば、退職まで運転士をやりたいということは、「成長」ではないということか。

会社 ジョブローテーションで言えば、自分自身の希望やキャリアイメージをもって、多様な経験をしていく中で成長していくということが趣旨だ。若い人が会社を選ぶ理由に、多様な業務経験を積めることがある。選択肢を増やしていくことが必要だ。

組合 一般的に副業は生活維持など経済的な問題がある。しかし、なぜJRがやるのか。今後収入が減るから副業で補えということなのか。

会社 コロナ以前から副業は社会的な要請だ。個人の収入増が目的ではない。

組合 本人の収入増が目的ではないということは、業務上の必要、目的ということか。

会社 社員の成長に資する観点から副業を認めていく。

組合 目的の「付加価値の創造」とはどういうものか。

会社 新しい暮らしの提案や、チケットレスやモバイル化を進めて新しいサービスを進めること、新しいお客様サービスが付加価値と考えている。

組合 報道では「収益基盤の強化」「連結売上高の3割を占める非鉄道事業を5割に高める」とある。

会社 あくまで新聞報道だ。収益基盤の強化は、副業に限らず求められている。

要員削減への利用は許されない

組合 対象のグループ会社は70社程といわれた。現状はどうか。

会社 JRが直接出資している70社程度に求人の依頼をした。現在までにポータル上に登録があったのは20社程度だ。職種は、設計やシステム関係のエンジニア、パンフレット等の原稿作成、駅ビルのインフォメーションや催事の説明、文書作成の事務業務、駅構内の接客・調理などだ。

組合 それ以外の会社は考えていないのか。

会社 状況を見て検討する。現時点で具体的な予定はない。

組合 例えばJESSに駅業務が委託されているが、JR社員が直接委託業務はできない。副業としてやらせるということは可能なのか。

会社 時間的な制約があるが、JESSが副業で可能と判断すれば可能だ。

組合 グループ会社の年間の労働する人数は決まっている。要員の削減になりかねない。

会社 グループ会社の労働力確保が主目的ではない。

組合 この間、CTSは人が足らなくても採用を止めている。JRがコストを削減すると言っているからだ。副業をJRでいう標準数に入れてしまおうとなる。

会社 そうはならない。労働力の補充が目的ではない。

組合 ライフサイクルの時も聞いた。だが、実際は要員ギリギリで回された。これまで何度もそういうことが行われてきている。

長時間労働を自己責任にするな

組合 副業許可の基準で「60時間」としたのはなぜか。

会社 労働時間を副業先と通算して、法外労働時間が単月100時間未満、複数月平均80時間を超えてはならない。歯止めとして判断基準は60時間と定めた。60時間が継続することがふさわしいとは思っていない。

組合 副業の申し込み先は1つだけか。

会社 複数の副業を禁止はしていない。通算した労働時間が多くなれば、副業そのものを許可しないことになる。

組合 60時間を超えなければ許可するということか。

会社 基本的に通達の枠組みに入っていれば認可する。基準を下げ過ぎれば過度な制約になる。

組合 時間以外の条件はなにか。

会社 業務内容として社員自らが活躍の場を拡げて多様な業務経験を通じて成長の機会を得ることに資すること、本業に支障を及ぼす恐れがないこと、個人情報漏洩など会社の利益を害する恐れがないことを基準にしている。本業に支障をきたさないかどうかが中心だ。

組合 最終的には誰が判断するのか。

会社 各機関の人事担当課だ。

組合 「休日がなくなるのはダメ」など、勤務形態も含めて判断するのか。

会社 月間の見込み時間を事前に申告してもらう。1度、月60時間を超えて、再度超えれば、許可取り消しを告知すると定めている。

組合 そのチェックは本人申告か?

会社 副業の従事時間は本人申告だ。前月分の副業従事時間数について、毎月10日までに箇所に報告してもらう。実施時間報告書は通達に添付されている。

組合 副業・兼業に関するガイドラインでいう簡易な労働時間管理なのか。

会社 そうだ。法定内労働時間はJR本体のみで、副業先はすべて法外労働時間として計算する。

組合 確定申告の対象にもなるか。

会社 副業で得た部分は本人で確定申告してもらう。確定申告が必要だという案内はしている。

労災発生時の補償は激減

組合 副業の場合、通勤災害や労災の取り扱いはどうなるのか。

会社 労災は各雇用先で適用される。副業先の労災で本業も休みになる場合、副業先の雇用条件に基づく労災の適用になる。

組合 労災と認められても、支給はJRより明らかに少なくなる。JR側は業務災害ではなく、自己都合での休みになるのか。

会社 そうだ。JR側では労災と扱わない。支給が少なくなることはありうる。

組合 休日が減って仕事が増える。それに応じて健康診断をやるということはないのか。

会社 追加的に健康診断はやらない。健康管理としては、超勤が80時間を超えた場合、社員本人から産業医との面談を希望できると通達でうたわれている。そこを本業の時間外と副業先の従事時間を通算して80時間と読みかえて、面談を希望できるようにした。

組合 あくまで自己申告か。

会社 そうだ。

組合 副業先の健康診断はあるのか。

会社 各社毎の定めに則って行われる。

「休養徹底」といいながら副業?!

組合 これまで副業は認めてこなかった。本来業務に支障をきたすからということが大きかったはずだ。それは変わったのか。

会社 本業に支障しないことが前提だ。自分の時間の使い方は個々人あるが、副業を申請する社員は一定数いる。申請が基準を満たせば会社は認める。

組合 乗務割交番作成規定の在宅休養時間との関係はどうなっているのか。これを確保することが乗務員に対する最低限の義務だ。

会社 乗務割交番作成規定は交番作成上のものだ。副業は明けや休みの自分の時間で行われる。何か改めるということはない。

組合 会社の言う「休養の徹底」と矛盾するのではないか。

会社 自分の時間の使い方はそれぞれだ。

組合 副業は労働だ。今でも事故があればそれまでの何日間の勤務状況等は調べられる。会社は「副業は個人が勝手にやった」ですませるのか。

会社 副業が事故に直結するとは思わない。あくまで各社員の自己管理の中で行うものだ。

組合 とくに乗務員は特殊な労働条件だ。それで在宅休養時間などが厳密に規定されている。会社の主張はそれを否定している。一般的に自分の時間ではない。

会社 あくまで自分の時間だ。

組合 事故の危険性を排除するという考え方がなくなっている。乗務員にそれだけの休養が必要ということではないのか。

会社 勤務ごとの緊張からの緩和などは必要だ。

組合 副業ではなく、JRの本業で明けに1往復、2往復乗務したいと言ったらやらせるのか。副業で1日6~7時間やることは問題ないなら、そこに短時間行路をあてはめても問題ないということか。

会社 それは業務指示によって行う。在宅休養時間にはあたらない。問題ないということだ。

組合 付加価値の創造が目的で、本人の収入増は目的ではないと言った。会社のためにやるということだ。事故が起きれば会社の責任だ。事故を防ぐための、ひとつの網は抜けてしまうことになる。在宅休養時間でも副業して良いとなれば、歯止めが外れる。専門の業務の意識が薄れていくことはあってはならない。

会社 安全安定輸送が大前提だという主張、懸念は承った。現場等からの意見は聞いていく。異常時対応や時期的に繁忙になる場合もある。その場合、副業先と調整することになる。

職場に競争と分断を持ち込むな!

組合 副業しない場合の評価はどうなるのか。

会社 副業に従事しているかどうかだけで判断することはない。経験を通じて自身の成長につなげてもらいたいという趣旨だ。

組合 副業をやらなくても成長を実感している、やる必要がないと判断して、申請しない場合はどうなるのか。

会社 何も変わらない。そこだけを見て評価することはない。

組合 会社のためだと奨励しているのではないか。それならマイプロや委員会活動と変わらない。自分の時間でも、やるのが当たり前になれば、やらない人の評価が低くなる。現場ではそういう形で進んでいる。仕事の査定には絶対にしないという確約が必要だ。そうでないと必ず競争が始まる。

会社 社員の経験の機会を増やす仕組みだ。あくまで副業の許可基準を整えたということで、直接評価に反映することはない。

組合 現場では半ば強制的にやらされることもある。そういったことがないようにすべきだ。

会社 あくまで希望者が自分で探すものだ。

副業制度を中止しろ!

組合 出向中の社員についてはどうか。

会社 基本的に許可の対象外だ。ただし出向先によっては認めているケースも有る。

組合 各職場の反応、応募の状況など、例えば今月いっぱいで教えてもらいたい。

会社 提起があれば検討して、示せるとなれば示す。できないとなればできない。

組合 労働者の健康管理の問題、在宅休養時間の問題、グループ会社の要員など、問題が多い。JRは鉄道業務を行う会社であって、グループ会社での副業は必要ない。安全を守るために鉄道業務に専念するべき労働者が揃っている。それを副業に駆り立てるべきではない。

以上

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