4月生まれの退職者だけが期末手当を受け取れないという重大な賃金差別が生じている。この問題で10月27日、今年の4月退職者を対象に夏季手当の支払いを求める裁判を東京地裁に提訴した。
4月退職者だけ期末手当支給の対象にならない
JR東日本の期末手当の規定は、基準日が6月1日と11月1日とされ、基準日の1ヶ月前の退職者まで支給対象にするというものになっている。そのため、同じ年度に退職する労働者の中で、4月末退職になる者だけが期末手当を受け取ることが出来ない。
しかも4月退職者は、夏季手当の調査期間を満了した上に、年末手当の調査期間中にも働くことになるが、どちらの手当も支給されない。その一方で、再雇用でエルダー社員になっても、JRの期末手当にあたる「精勤手当」の夏季分は、調査期間1ヶ月分しか支給されない。重大な賃金差別が行われているのだ。
誕生月末退職へ変更で重大な賃金差別が発生
そもそも、国鉄時代には年度末退職であったため、このような問題は発生しなかった。
しかし、JR発足当初、誕生月末での退職に変更されたことで、同年度の労働者でも生まれ月によって期末手当を受け取れないという重大な賃金差別が発生するようになったのだ。
この中でJR貨物は、就業規則変更で基準日の2ヶ月前の退職者まで対象とすることで、賃金差別を解消した。
しかし、JR東日本は期末手当の基準日を6月1日と11月1日に変更しただけで、4月退職者への賃金差別をあえて続けた。
その一方で、調査期間については、夏季手当は「前年12月1日~5月31日」を「前年10月1日~3月31日」に、年末手当は「6月1日~11月30日」を「4月1日~9月30日」に変更した。
変更以前は、調査期間を満了すれば期末手当の支給対象になっていたが、この変更によって調査期間を満了しながら支給対象にならない場合が発生したのだ。
会社自身「矛盾」認める 賃金差別を撤廃しろ!
この賃金差別に何の正当性もない。団交でも会社は理由を説明できず、「確かに矛盾です」と認めざるを得ないほどだ。
当初、会社は「基準日は公務員に合わせている」と説明した。だが、公務員の基準日は6月と12月だ。会社は、あまりに明白なウソでごまかそうとしたのだ。
結局、組合の追及の前に、「公務員と基準日は違う」と自らのウソを認めた。何の理由もない賃金差別であることが完全に明らかになったのだ。
それにもかかわらず、われわれがこの賃金差別を解消するよう何度も申し入れた後でも、会社は「現行の制度で妥当」といって問題を放置し続けた。
自ら「矛盾」と認めながら、重大な賃金差別を解消しようともせず、労働者に強制し続けているのだ。こんな実態を認めるわけにはいかない。賃金差別撤廃まで闘いぬこう。