06年版経労委報告を弾劾する

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06年版経労委報告を弾劾する
06春闘にたちあがろう!

経営者よ 正しく 強かれ

 06春闘にのぞむ財界の側の基本方針である「06年版経営労働政策委員会報告」は、その表題に「経営者よ 正しく 強かれ」という、日経連結成時(1947年)のスローガンを掲げた。
 われわれの先輩たちは、敗戦による国家支配の崩壊のなかから、次々と労働組合を結成し闘いにたち上がった。その闘いは、1947年2・1ゼネストまで一挙に登りつめた。恐怖にかられたGHQ(米占領軍)は、銃剣を突き付けてゼネストの中止をラジオ放送させて闘いを圧殺したのである。敗戦から2年余りの歴史の真実は、現在ほとんど闇に隠されているが、それは「戦後革命期」と規定されるべき、日本の労働者階級の歴史にとって最も輝かしい、誇るべき闘いの過程であった。
 日経連は、その直後の4月、このスローガンを掲げて結成されたのである。そして、その後に起きたことは、誰もが知っているように、政令201号による公務員労働者からのスト権のはく脱であり、三大フレームアップ事件による激しい労働運動弾圧であり、レッドパージ、産別会議の解体、そして朝鮮戦争であった。
 日本経団連が、今またこのスローガンを掲げたのは、間違いなく意識的である。今、労働運動は、「総屈服」と言うべき状況にある。しかし、にも係わらず彼らは、このままでは、現場からの大反乱が起きかねない、その予兆ににおののき、より一層の屈服を迫ろうとしているのだ。

さらなる構造改革の推進

 序文では、「バブル経済とその崩壊によるダメージはきわめて大きく、その後の低迷は長きにわたらざるをえなかったが、日本経済が今日の回復をみることができたのは、政府による構造改革への取り組みもさることながら、なによりもわれわれ民間企業の努力によるところが大きいと自負する」「われわれ民間企業が、硬直的な年功序列賃金などに大胆にメスを入れながら……適切に対応した成果だ」と、終身雇用制や年功制賃金の解体攻撃こそが「日本経済の回復基調」をつくりだしたと自画自賛し、さらに攻撃を強めよ、と煽りたてている。

貧困と格差が世界的に拡大

 しかし他方では、「(一気に進行した経済のグローバル化の)負の側面として、これらは新たな格差を生み出した。世界各地で格差と貧困にその原因の一端を有する紛争が多発しており……、先進国も例外ではない。……まさに現代は歴史上の激変期にあると言えよう」と、自らが生み出した、世界を覆う飢餓と貧困、格差社会と、それへの怒りの声の噴出に対する恐怖感を隠そうとしていない。日本でも「アークヒルズ」族なる者が登場し、「勝ち組」「負け組」などという言葉が流行語になっている。この間の弱肉強食政策によって、正規雇用の大規模な解体と社会保障制度の解体が一気に進み、年収200万以下の世帯が激増し、日本は巨大な貧困大国化している。

規制緩和と民間開放の断行

 そして、「経営者は、……民間企業が本源的にもつ活力と企業家精神を発揮していかなければならない。行政には、そのための環境整備として、規制緩和・民間開放を中心とした改革の断行をつよく求めたい」とし、そのために経営者に求められるのが「正しさ」と「強さ」だというのだ。一見すると、相次ぐ企業不祥事に対し「経営者は正しくあれ」と説いているような書き方がされているが、主眼は明らかに「もっと徹底して規制緩和、民間開放を断行しろ、それは労働者に激しい痛みをもたらし、矛盾が噴出するが、経営者はそんなことに負けない強さをもて」というところにある。
 そして、つまるところ全てを治安弾圧の徹底した強化に収れんさせようとしている。「治安の維持は、社会・経済活動の基盤である。いまこそ国をあげて治安・防犯対策に注力すべき」「自衛の意識を持つこと、産業界も社会の一員として治安・防犯対策を担う必要がある」というのである。

企業が社会の主人公!

 06年版経労委報告の最大の特徴は、「社会の主人公は企業である」と、何度となく繰り返していることだ。いわく「今日の社会において、富を生み出し、雇用を生み出す主役は企業である」「経済活動の主体は企業である」と。労働者など、企業の歯車として以外に何の価値もない存在だと露骨に言い放っているのである。
 そして、だから「企業が本来の力を発揮してより自由に活動できるようにするためには、規制改革、行財政改革による民間への一層の機会拡大(市場化テストなど)や、公務員制度の改革を急がなければならない」という。───企業が自由に活動するために労働者が犠牲になることなど当たり前のことだ!───これが経労委報告全体に貫かれている資本の側の根本的な構えである。

労働分野における規制緩和

 そして、何よりも強調されているのが、国際競争にうち勝つために、労働分野における規制緩和を徹底して断行せよ、という政府への要求である。
 「最大の効果をあげる方策が雇用ポートフォリオ(9割の労働者の非正規雇用化)だ」「長期雇用だけが望ましい働き方であるとの発想に立った不自然な規制は撤廃すべき」「派遣の期間制限を撤廃せよ」「職業紹介事業を民営化せよ」「雇用保険三事業を絞り込め」「労働時間の規制(8時間労働制)を撤廃せよ」「労使の自主的な労働条件の決定、契約自由の原則を最大限に尊重せよ」等、まさに言いたい放題の要求を列ねている。そして昨年に続き「工場法時代の遺制を引きずる労基法を抜本的に見なおせ」という。資本が労働者を食い殺していた19世紀に時代を戻せと要求しているのである。
 こうした資本の要求に基づいて、現に政府が進めている「労働契約法」制定攻撃は、労資関係における憲法改悪というべき攻撃だ。厚労省案は、労基法と併存させると言っているが、その内容は、労基法を食い殺す癌細胞を植えつけるものだ。

賃金制度の根本的解体

 こうした立場にたって提起される06春闘への具体的対応は、「市場横断的なベースアップは、もはやありえない。生産性の裏付けのないベースアップはわが国の高コスト構造の原因となるだけでなく、企業の競争力を損ねる」「定期昇給制度の見直しが引き続き重要な課題」と断じている。しかも、団塊世代の大量退職を前にして、退職金や年金制度の見直しも早急な対処が求められるとしている。06春闘を前に、資本の側にここまで平然と言わせている元凶は連合に他ならない。

社会保障制度の解体を宣言

 また、経労委報告は、社会保障問題への対応について、「経済・社会環境が激変するなかで、従来の枠組みのままで制度を維持することは不可能」として、年金・医療・介護保険制度の抜本的解体と大増税、公的医療制度への株式会社の参入(民営化)をうたっている。年金・医療費負担は激増し、年金支給は大幅に削減され、競争原理の導入によって、金持ちしかまともな医療を受けることができない社会が到来しようとしている。

噴き出す矛盾への悲鳴

 一方、経労委報告は、噴き出す矛盾に悲鳴をあげている。少子高齢化で人口が減少する、若年無業者(ニート)、フリーターの増加で人材が失われる、「07年問題」(団塊の世代の大量退職)で技術、技能、ノウハウが失われる、「現場力」が低下している、企業活動がマネーゲーム化している、……と。 また彼らが唯一の生き残りの道とした「東アジア自由経済圏」構想での決定的な立ち後れに危機感をつのらせている。
 だが、それは全て自らが生み出したものだ。民営化、規制緩和政策がもたらしたものは、耐震強度偽造事件であり、日航などの相継ぐ事故やコンビナート火災、原発の事故、JRにおける尼崎事故、羽越線事故であり、ライブドア事件であり、若者の希望喪失、犯罪の多発、自殺者の急増、生活の困窮を最大の背景とした少子高齢化であった。そして、改憲への突進や国家主義の台頭は、アジア諸国の激しい危機感に火をつけている。これは資本主義社会の末期症状だ。その意味で、われわれの安全運転闘争のもつ意味は大きなものだった。われわれの闘いは、こうした現実全体と鋭く対決し、労働者が団結して闘うことの意義を鮮明に示すものとなったのである。

労働者こそ社会の主人公

 経労委報告では直接は触れられていないが、日本経団連は、別な提言で①愛国心教育、
②日教組の解体、③小中学校の民営化を三本柱とした「教育改革」を政府に迫り、「安全保障の強化とそのための憲法9条改正」を政府に迫っている。この危機を乗り切るためには、戦争のできる国家に脱皮する以外ないというのだ。この現実に対し、原点に帰り、退路を断って闘おう。
 われわれは、労働者階級の未来をかけて、次のように言う。「社会を動かしているのは労働者であり、労働者こそが社会の主人公だ。労働者がそうした存在であることを取り戻すために、今こそ労働者階級相互の団結と労働運動の再生が問われている」と。 われわれは昨年、安全運転闘争をとおして、多くの労働者が日頃漠然と感じている民営化政策に対する怒りをどうすれば結集することができるのかを学ぶことができた。「闘いなくして安全なし」のスローガンは、普遍的な労働運動の旗印になるものであることを実感した。労働運動の再生に向け、労働者よ、固く団結せよ。
 労働者こそが社会の主人公とならなければ未来は拓けない!

幕張業務移管錦糸町派出廃止反対!

▼こんなことでいいのか!
 217系検修業務の鎌倉への全面的な移管は根本的におかしい。217系車両は、総武快速線や東京70㎞圏を運行する千葉支社のまさに主力車両だ。その保全検査業務を千葉支社は一切タッチしなくするというのだ。今後、車両故障などが起きた場合、一体どうするというのか。この目的は要するにコスト削減である。車両メンテナンス近代化第Ⅲ期計画で、車両検修基地の全面的な統廃合がおし進められている。今回の業務移管は、その計画に基づくものだが、それは、安全や異常時の対応を切り捨てて、ひたすらコスト削減に突き進む攻撃だ。

▼舌の根も乾かぬうちに
 錦糸町派出廃止も全く同じである。この間、検修本区の大合理化・要員削減が進められてきたが、その際の会社回答は、「派出検査体制の強化で対応するから大丈夫」であった。だが、その舌の根も乾かぬうちに今度は廃止するというのだ。こんなやり方は絶対に許せない。

▼安全など無視して突っ走れ
 車両故障は多発している。検査周期は例えば仕業検査で言えば、24時間 48時間 72時間 6日~10日へと大幅に延伸されている。派出検査もろくに居ない。さらに検査業務は外注化、レールはボロボロという状況のなかを、今の速度で突っ走れというのだ。こんなことがまかり通っていいはずはない。尼崎事故、羽越線事故を忘れるな。

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
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