貨物列車の京葉線乗り入れ以降の諸問題について申し入れた動労千葉申第16号の団交が7月13日に開催され、貨物関東支社より考え方が明らかにされた。
10km/hの速照は設定に問題あり
貨物の京葉線乗り入れにともない、京葉~武蔵野線にATSーPの代用となる速度照査機能(以下「速照」と略す)を持ったATSを備えたELを運用することとなった。また京葉線に続いて総武快速線も同様の速照の設置工事が行われている。
この速照は、ATS-Pの代用として機能するため、貨物列車の停車箇所には停止位置目標(以下「停目」と略す)の手前に「30km/h」「20km/h」「10km/h」と段階的に速度制限を設け、これを超過した速度で速照を通過すると、非常ブレーキがかかる設定になっている。貨物列車は、電車のような固定編成ではなく、また荷の積載状況等によって編成両数等が違うという条件のなかで運転されている。したがってこれまで必ずしも停目位置に列車を停止させるわけではなく、最後部がクリアーされれば、停目の手前であっても列車は止まっていた。ところが、速照が設置され、特に10km/hがあることにより、列車のブレーキ扱いがより煩雑になることとなっている。
つまり10km/hの速照をそれ以下の速度で通過し停目に停車させるためには、ブレーキをかけたり緩めたりという作業を行うことが必要となり、これまでのブレーキ扱いとは異なる扱いが出てきたのである。しかもこれを繰り返せば、「込め」不足が生じることにもなりかねない。安全という観点からすると10km/hの速照の存在は、かえって不安なものとなっているのだ。
京葉線乗り入れにあたって、この速照を取り上げた団交の中で関東支社は、この10km/hの速照について「誤出発防止を目的に設置されたものであり、信号設備は東日本のものであり変更はできない」と回答していた。結局は電車の運行の視点から、こうした速照が設置されたとしか思えない。
しかも一部の10km/hは出発信号機が青であっても、常時機能したままのものがあり、貨車をもったままそこを10km/h以下で通過させなければならないなど、およそ貨物列車のことなど考えた設定ではないところもある。
停車したのち再起動し、停目まで小移動を-関東支社
こうした現状に対し関東支社から、停目の手前で止まった時は、「一旦停車したのち、再起動し、停目まで小移動してほしい」との見解が出された。また申16号で速照設置箇所には「限界表示灯」を完備することを要求したが、「東の設備に変更を加えることは、場所によって管理主体が違い手続きが煩雑になり出来ない」と言うのみであった。
今後そうした速照は、順次各線区に拡大されると思われるが、特に停止にかかわる速照については貨物列車の走行に見合うものへと、今後も機会あるごとに改善を求めていかなければならない。
「携帯時刻表」貨物用に改修を
12月ダイ改を前後して、JR東日本の運転計画システムを貨物関東・東北両支社に導入することとなった。ところが東日本のシステムを貨物に取り入れたことによる問題が発生している。
とりわけ乗務員の携帯時刻表が、列車によって2枚にまたがるものになっている。たとえば蘇我~新鶴見(信)直通の列車は途中停車駅がない場合、走行中に時刻表を差し替えるという事態がおきている。
現在は止むを得ず走行中の橋梁上で差し替えることになっているが、本来携帯時刻表は「1列車1面」で表示すべきものだ。また列車種別の扱いや到着番線の表示などわかりずらいものが多い。これに対し、支社は「各現場からもいろいろ問題点は出ている。ただ改修には多大な費用がかかる。システム会社には要望も出している。『貨物バージョン』が出来ればいいのだが」と述べるにとどまり、今後のシステム改修時に貨物の要望をのせていくことを明らかにした。
「遅れ回し」や突然の変更は乗務員に負担が多い
この間特定の長距離列車が遅れる傾向があり、その遅れを引きずったまま、次行路の列車も遅らせて運行するいわゆる「遅れ回し」が発生している。また行き先地で遅れた列車を突然運休にし、他区の列車を急遽乗務させることが起きている。こうした「遅れ回し」の限度や突然の持ちかえについて、運転保安上も問題があることを指摘した。
これに対し支社は、「列車が大幅に遅れると、荷主が途中駅でトラックに荷を積みかえてしまうことがあり、一刻も早く目的地に到着させないと荷主離れが起きてしまうので協力してほしい。列車の変更も望ましいことではないが、東海道などでは頻繁にやっている。駅からの通告ではなく、自区の当直をとおして連絡していくようにしたい」と述べるに止まった。
また鹿島サッカースタジアム駅の電化については、予定どおり10月目途で進めている。佐原駅手前の橋梁についても強度の問題はないと千葉支社から連絡を受けていることを明らかにした。