JR東日本における、乗務員の極限的な労働強化と人員削減、乗務員勤務そのものの解体をもたらす乗務員勤務制度改悪提案をめぐる情勢が切迫する中、JR貨物においても来年4月1日実施にむけて「人事制度の見直し」が進められています。
「本年度は『JR貨物グループ2021』の2年目であり、平成23年度から取り組んできた『経営自立計画』の最終年度でもある。効率的な事業運営を進め、鉄道事業の黒字継続と単体経常利益89億円を計画するとともに、連結経常黒字100億円以上の達成を目指し、グループ一体となって一層の利益の拡大に取り組んでいく」と、その「根っ子」が「人事・賃金制度改革」ということです。
現制度の酷さを逆手にとって
「若手社員の賃金が低いことで、当社への入社を希望する新卒者が少ない原因にもなっている・・一方、子どもさんなどが成長して教育費などがかかる中高年の賃金が低く、55歳になった途端、賃金が3割カットされる」「社員が、いきいきとしてやりがいのある人事・賃金制度」にすると、さも素晴らしい制度を導入するかのようです。
しかし、その中身は、
①現行の人事制度は流動性を欠いており、ともすればぬるま湯的になってしまう傾向がある。ある程度流動性やダイバーシティを採り入れる仕組みにしていかないと、組織は硬直化してしまう。
②年功序列原則ではなく、働き度合いによって報われる評価制度を「公平、公正」につくる。能力に応じて地域も職種も地位も変わり得る、「そんな自由で、のびのびした会社にしたい」!
「公平、公正な評価制度」とは
この「公平、公正な評価制度」とは、「業績や果たす責任によって同じように評価する」、ひと言でいうと評価制度による格差の容認、固定化です。近年導入する会社が増えている「役割等級制度」では、期待される役割や等級ごとに「行動評価」を行い、「職務や能力等の明確化と、賃金や待遇との関係を明らかにし」、例えば、労働者に成績表を1から5までつけて、その評価を反映して「能力に応じて」賃金が決まるということです。
成果主義・能力主義的人事制度とは、いかに労働者に払う賃金(総額人件費)を低くおさえるか、そのための方便にすぎません。それだけではなく、労働者の生活を十分に成り立たせる「生活給」としての賃金を否定するとんでもないものです。
闘いの火蓋を切ろう
「一見して分かるように数値化し、その評価賃金があっているのかどうか」、「当事者(個々の労働者)が納得できればいい」。団体交渉やストライキで賃金を決めるという集団的労使関係を、会社と労働者個々の契約関係にし、労働者の団結・労働組合・労働運動をぶちこわすのが、安倍政権の「働き方改革」です。
「働き方改革」は改憲に向けた攻撃と一体です。これを具体的に職場に貫徹するために東労組崩壊から始まった、JRの大再編=この社会から労働組合を消し去ろうという攻撃が東日本の乗務員勤務制度改悪であり、貨物における新人事・賃金制度です。
動労総連合は、「乗務員勤務制度改悪阻止!外注化粉砕!65歳まで働ける労働条件確立をめざす8・25総決起集会」を開催します。貨物職場からも大合流し、旅客の仲間と心を一つにして、第3の分割・民営化攻撃との本格的な闘いの火蓋を切ろう!